「なぜなぜ分析」とは、問題が発生した際にその真の原因(根本原因)を見つけ出すための手法です。トヨタ生産方式における重要な部分であり、表面的な原因ではなく、深いレベルでの真の原因(根本原因)を探ることを目指します。これを行うためには、「なぜ?」という質問を5回繰り返し、問題の因果関係を深掘りします。これにより、適切な対策が立てられます。
しかし、「なぜなぜ分析」を使うにあたって、次のような悩みはありませんか。
- 時間も人手も足りないのに、どうやって早くて正確な分析をすればいいのか分からない。
- 問題が複雑すぎて、どの点から手を付ければいいのか、どう進めればいいのかが分からない。
- 問題の原因はわかったけど、どんな対策を取れば効果的なのか、どうやって良い解決策を見つけ出せばいいのか分からない。
結論は次のとおりです。
- ChatGPTはすばやく効率的に情報を処理し、正確な分析を支援します。
- ChatGPTは問題を分解し、分析の方向性を明確に提案します。
- ChatGPTは多様な事例に基づいて、具体的な解決策を提示します。
当記事では、システムエンジニアの運用担当として障害発生時に「なぜなぜ分析」を実際におこなったことがある私が、ChatGPTを活用した「なぜなぜ分析」の手順を解説します。当記事を読むことで、ChatGPTなどのAIを活用した「なぜなぜ分析」する際のメリットやデメリット、注意点がわかり、分析をスムーズに進めることができるようになり、問題解決能力が新たなレベルになることでしょう。
※ChatGPT入門として何に使うか他の活用方法を知りたい方は、次の記事で解説しています。
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ChatGPTを活用して「なぜなぜ分析」するメリット・デメリット
今日のビジネスでは、すばやく効果的な問題解決が求められます。複雑な問題に対処するのは大きな挑戦です。ここで、ChatGPTなどのAIを使って「なぜなぜ分析」をするメリットとデメリットを深堀りします。これは、問題解決プロセスを理解し、より効率的に業務を進めるためのカギとなるでしょう。
- 【すぐにたくさんの情報を処理】ChatGPTは大量のデータをすばやく分析できます。これは時間がない時に役立ちます。
- 【公平な分析】ChatGPTは自分の感情や考えに影響されずに判断します。だから、偏らない意見が必要な時に便利です。
- 【大量のデータからパターンを見つける】ChatGPTは人間より多くの情報を処理でき、その中から重要な傾向やパターンを見つけ出せます。
- 【全ての問題に答えられない】ChatGPTも完璧ではありません。複雑な問題や独特な状況に対しては、答えが見つからないことがあります。
- 【人間の感情やニュアンスを完全には理解できない】ChatGPTはまだ、人間の感情や言葉の微妙な意味を完全には捉えられません。
- 【新しい問題に柔軟に対応するのが難しい】ChatGPTは既存の情報やルールに基づいて動くため、今までにない新しい問題に対する解決策を見つけるのは難しいです。
普段の業務が忙しい中、「なぜなぜ分析」を始めると、時間の制約で悩むことがよくあります。特に、原因が複雑に絡んでいる問題では、1週間以上の時間が必要になることもあります。
私自身、最初の数日間を「なぜなぜ分析」に集中して過ごすことが多いです。結論を出した後、チームメンバーと一緒に意見を交換し、漏れや認識のズレを見つけます。問題の原因となった相手に分析結果と謝罪の意を伝え、チームに結果を報告した後、改善策を実行します。
この手間のかかる作業には、ChatGPTのようなAIの活用が効果的です。ChatGPTは大量のデータを素早く処理し、様々な原因を示すことで、分析時間を短縮し、効率的な問題解決を支援します。AIツールの活用は、「なぜなぜ分析」の負担を減らし、スムーズな問題解決を期待させます。
ChatGPTを活用した「なぜなぜ分析」の手順の概念
ChatGPTを活用した「なぜなぜ分析」で問題の原因を探る手順は、次のような概念に基づいています。
手順 | アクション | 人間の役割 | ChatGPTの役割 |
---|---|---|---|
1 | 問題をはっきりさせる | 問題をしっかり理解し、ChatGPTに伝える | – |
2 | ChatGPTに問題を教えて、原因を探す | – | 人間が伝えた問題から、情報の中から原因を探す |
3 | ChatGPTが見つけた原因をチェック | ChatGPTが出した原因の中から、関連が深そうなものを選ぶ | – |
4 | 原因が問題にどれくらい影響しているかを考える | ChatGPTが挙げた原因が問題にどれくらい影響しているかを考える | – |
5 | 分析の結果を見守り、再分析 | 分析結果を見て、問題が再発したり新しい問題が出た時に再分析 | – |
6 | 定期的に分析をやり直し、結果を見守る | 定期的に分析をやり直して結果を見守る | – |
この流れに沿って、「なぜなぜ分析」を進めることで、問題の原因を明らかにし、解決策を見つけることができます。
ChatGPTを使った「なぜなぜ分析」の注意点
ChatGPTは、問題解決の強い味方ですが、使う際にはいくつかの注意点があります。以下のポイントを頭に入れておくと、より効果的にChatGPTを活用できます。
- AIの結果は完璧ではない:ChatGPTは情報をすばやく処理できますが、それは事実やデータに基づいたものです。人間の経験や感じることを完全には代わりにはできません。
- 自分で考えることが大切:ChatGPTの提案や結論をすぐに受け入れず、それを参考にして最終的な決断は自分で行いましょう。これにより、思わぬ間違いを防げます。
- ChatGPTの結果は状況による:ChatGPTは学習したデータや計算方法によって結果が変わります。現実の状況や目標と合わないこともあるので、注意が必要です。
- 批判的に考え、手作業で調整:ChatGPTの結果を批判的に見て、分析結果をしっかり評価しましょう。必要に応じて、自分で調整を加えることも大切です。
これらの点に注意すれば、ChatGPTを上手に使って、「なぜなぜ分析」を効果的に進めることができます。
私の経験上、ChatGPTから得られる答えはほとんど一般的なものです。ただし、それが問題解決の助けになります。いろいろな角度からの回答が得られるので、何かを見落とすリスクが減ります。そのため、ChatGPTの答えを自分の問題に適用してみるのが良い方法です。「なぜ?」「これはどうして?」と自分で考え、それから「どうすれば良いか」という対策を考える。このアプローチで、より効果的に問題解決へと近づけることができます。
【実践】ChatGPTを活用した「なぜなぜ分析」の具体的な手順
ChatGPTを使う際に重要なのは、入力する情報に基づいて答えが返ってくるということです。質問が具体的で明確なほど、得られる答えも具体的で明確になります。しかし、ChatGPTの出力を完全にコントロールすることはできないため、望む答えに近づけるためには具体的な指示が効果的です。さらに、ChatGPTによる分析結果は一例であり、あなたの状況によって結果が変わる可能性があることも覚えておくべきです。
これらの点を踏まえた上で、ChatGPTを使って問題を解析する際の具体的な作業手順について説明します。
まず、「なぜなぜ分析」を行いたい問題を選びます。問題が決まったら、その特性に応じて次のSTEPに進みます。
- 複数の原因がからんでいるような問題 → STEP2へ
- 特定の問題の深い理解や真の原因を知りたい → STEP3へ
ChatGPTに入力する際には、次の情報を含めないでください
・個人情報(名前、住所、電話番号、メールアドレス、クレジットカード番号、銀行口座番号など)
・会社の機密情報(商品・サービス開発の情報、研究開発の情報、経営戦略の情報、顧客情報、従業員情報、特許情報、商標情報、技術情報、財務情報、ノウハウなど)
ChatGPTが必要な情報として上記をあげてきた場合、
・〇〇〇〇、△△△△、□□□□、××××などの記号を使用する
・特定できない適当な単語に置き換える
・情報は未記入にする
など、特定できないように対策してください。
※ChatGPTの情報漏洩リスクは、次の記事で解説しています。
ChatGPTに以下のプロンプトを使って分析を始めましょう。
- 以下のChatGPTのプロンプト例をコピーしてChatGPTに貼り付けます。
- 「〇〇(問題)」の部分をSTEP1で選んだ問題に変えます。
- 「△△(数)」と「□□(数)」の部分を適切な数字に書き換えます。
- 全部終わったら、ChatGPTを実行して答えを求めましょう。
「〇〇(問題)」についてなぜなぜ分析をしてください。可能であれば次の情報を提供してください:
- 問題が起きた具体的な状況や環境:
- 問題が起きた直前に変化した要素:
- 問題が及ぼした具体的な影響:
- すでに試みた解決策とその結果:
それにもとづいて、△△(数)つの大きな原因を挙げ、それぞれの原因について□□(数)つの具体的な理由を述べてください。
問題が起きた具体的な状況や環境、問題が起きた直前に変化した要素、問題が及ぼした具体的な影響、すでに試みた解決策とその結果:全ての情報を書く必要はありませんが、具体的な質問をすればするほど、明確な答えが得られやすくなります。
△△(数)(原因を挙げる数):1つの問題に対して3〜5つの主な原因を挙げることが一般的です。これにより、AIが問題を多角的に理解し、それぞれの原因に深く思考をめぐらせることができます。
□□(数)(それぞれの原因について具体的な理由を述べる数):ここでも3〜5つが適切です。各原因を詳しく掘り下げることで、問題の本質をより深く理解するための基盤が作られます。
ChatGPTのプロンプト例と実行結果1
ChatGPTに以下のプロンプトを使って分析を始めましょう。
- 以下のChatGPTのプロンプト例をコピーしてChatGPTに貼り付けます。
- 「〇〇(問題)」の部分をSTEP1で選んだ問題に変えます。
- 「△△(数)」の部分を適切な数字に書き換えます。
- 全部終わったら、ChatGPTを実行して答えを求めましょう。
「〇〇(問題)」についてなぜなぜ分析をしてください。可能であれば次の情報を提供してください:
- 問題が起きた具体的な状況や環境:
- 問題が起きた直前に変化した要素:
- 問題が及ぼした具体的な影響:
- すでに試みた解決策とその結果:
それにもとづいて、△△(数)回「なぜ」の質問を繰り返してください。
問題が起きた具体的な状況や環境、問題が起きた直前に変化した要素、問題が及ぼした具体的な影響、すでに試みた解決策とその結果:全ての情報を書く必要はありませんが、具体的な質問をすればするほど、明確な答えが得られやすくなります。
△△(数)(なぜを繰り返す回数): 1つの問題に対して3〜5つの主な原因を挙げることが一般的です。これにより、AIが問題を多角的に理解し、それぞれの原因に深く思考をめぐらせることができます。
ChatGPTのプロンプト例と実行結果2
- 「なぜなぜ分析」をやっている途中で、話が全然つながらなくなった。
-
ChatGPTにどの部分が間違っているか聞いてみましょう。そして、間違った部分を直すためのアドバイスをもらってください。
ChatGPTのプロンプト例と実行結果(QA1)
- 「なぜなぜ分析」をやってる途中で、「なぜ?」の部分を別の「なぜ?」に変えたくなった。
-
具体的にChatGPTに「どこを」やり直したいのか、「何に」変えたいのか、教えてあげてください。
ChatGPTのプロンプト例と実行結果(QA2)
STEP2とSTEP3を実施すると、問題の「なぜ?」が深堀りされます。もし、まだ十分に深堀りできていないと感じたら、これまでに深堀りした「なぜ?」を基に、再びSTEP1から始めましょう。このプロセスを繰り返すことで、納得できる本当の原因を見つけ出すことができます。
ChatGPTから「〇〇、△△、××かもしれません」といくつかの回答が出てくることがあります。この場合、各回答が自分の問題に当てはまるかどうかを確認します。合致するものがあれば、それを原因として考えても良いでしょう。当てはまるものがない場合は、別の答えを探したり、STEP1からSTEP3までをもう一度試してみてください。
ChatGPTに以下のプロンプトを使って分析を始めましょう。
- 以下のChatGPTのプロンプト例をコピーしてChatGPTに貼り付けます。
- 「〇〇(問題)」の部分をSTEP1で選んだ問題に変えます。
- 「□□(根本原因)」の部分を、STEP2〜4で見つけた原因に書き換えます。
- 「△△(数)」の部分を適切な数字に書き換えます。
- 全部終わったら、ChatGPTを実行して答えを求めましょう。
- ChatGPTの結果を見て、自分の状況に合った解決策を考えることが重要です。
「〇〇(問題)」の根本原因は「□□(根本原因)」でした。
対策を△△(数)つあげてください。
ChatGPTのプロンプト例と実行結果3
参考まですが、私の経験上、ChatGPTに「なぜ?」と問い続けると、時に答えが曖昧になってくることがあるということです。この分析方法を使う際には、「なぜ?」を3~5回繰り返すのが最適だと感じました。なぜなら、それ以上になると、答えの精度が落ちてしまう傾向があるからです。私の経験を通して、分析では何事も欲張らずにバランスを取ることの重要性を痛感しました。
ChatGPTと協力し、「なぜなぜ分析」を効率化し、問題解決スキルを高めよう!
当記事では、ChatGPTを活用した「なぜなぜ分析」の手順を解説しました。まとめると次のとおりです。
- ChatGPTはすばやく効率的に情報を処理し、正確な分析を支援します。
- ChatGPTは問題を分解し、分析の方向性を明確に提案します。
- ChatGPTは多様な事例に基づいて、具体的な解決策を提示します。
当記事を読んで、ChatGPTなどのAIを活用した「なぜなぜ分析」する際のメリットやデメリット、注意点がわかり、分析をスムーズに進めることができるようになったことでしょう。
AIを使うことは、単にツールを使う以上の意味がある。ChatGPTと人が協力して問題解決に取り組むことで、効率と効果を上げられる。AIと人が一緒になって「なぜなぜ分析」を効果的に進め、問題解決スキルを向上させましょう。
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