基本情報技術者試験のクラウド・システム構成入門|仮想化・可用性・運用まで解説

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基本情報技術者試験のクラウド・システム構成入門を初心者向けに解説

基本情報技術者試験では、クラウドやシステム構成について、用語の意味だけでなく「問題文を読んで見分ける力」が問われます。

たとえば、SaaS・PaaS・IaaS、仮想化、3層構成、可用性、冗長化、負荷分散、バックアップ、RTO・RPOなどです。

クラウド・システム構成が試験全体のどこで問われるのかを整理したい方は、基本情報技術者試験の科目Aと科目Bの違いも参考にしてください。

これらは、ばらばらに覚えると混乱しやすい分野です。

大切なのは、次のように目的で分けることです。

ここだけ読めばOK

クラウド・システム構成では、「どう作るか」「止めないために何をするか」「止まった後にどう戻すか」を見分けることが大切です。

  • システムをどう作るか:クライアントサーバー、3層構成、クラウド、仮想化
  • 止めないための対策:可用性、冗長化、負荷分散、監視
  • 止まった後に戻す対策:バックアップ、復旧、RTO、RPO

この記事では、基本情報技術者試験で問われやすいクラウド・システム構成を、初心者向けに整理して解説します。

目次

基本情報技術者試験のクラウド・システム構成では何が問われる?

基本情報技術者試験のクラウド・システム構成では、システムを作る仕組み、クラウドの使い分け、障害に備える方法が問われます。

ITパスポートでは、クラウドを「使う側」から理解することが中心です。

クラウドやシステムの基礎から確認したい方は、先にITパスポートのクラウド・システム入門を読むと、サーバー、クラウド、SaaS・PaaS・IaaSの全体像をつかみやすくなります。

基本情報技術者試験では、もう一歩進んで、サーバー、ネットワーク、データベース、仮想化、運用、障害対策まで見ます。

クラウドの仕組みが問われる

クラウドは、サーバーやストレージなどのIT資源を、ネットワーク経由で使う仕組みです。

試験では、SaaS・PaaS・IaaSの違いがよく問われます。

ここで大事なのは、「何をクラウド事業者が用意してくれるのか」「利用者は何を管理するのか」です。

システム構成の特徴が問われる

システム構成とは、システムをどのような部品で作るかという考え方です。

Webシステムを例にすると、画面を表示する部分、処理を行う部分、データベースへアクセスする部分があります。

このように役割を分けて作る考え方が、3層構成です。

可用性や運用の考え方が問われる

システムは、作って終わりではありません。

できるだけ止めずに使えるようにし、もし止まった場合は早く戻す必要があります。

そのために、冗長化、負荷分散、監視、バックアップ、復旧などを行います。

基本情報技術者試験で押さえるクラウド・システム構成の全体像

基本情報のクラウド・システム構成の全体像を作る・止めない・戻すの3つに分けて示した図

クラウド・システム構成を学ぶときは、まず全体像をつかむと分かりやすくなります。

細かい用語を覚える前に、「作る」「止めない」「戻す」の3つに分けて考えましょう。

システムは複数の機能で成り立つ

システムは、1つの機能だけで動いているわけではありません。

たとえば、ネットショップには、商品を表示する画面、注文を処理する機能、会員情報や注文履歴を保存するデータベースがあります。

それぞれの役割を分けることで、管理や修正がしやすくなります。

サーバーやネットワークで構成される

システムを動かすには、サーバーやネットワークが必要です。

サーバーは、サービスを提供するコンピューターです。

ネットワークは、利用者のパソコンやスマホとサーバーをつなぐ道のようなものです。

ネットワークの基本から確認したい方は、基本情報技術者試験のネットワーク入門も参考にしてください。

クラウドでは必要な資源を借りて使う

クラウドでは、サーバーやストレージなどを自社で持たず、必要な分だけ借りて使えます。

自社でサーバーを買って設置するより、始めやすく、増やしたり減らしたりしやすい点が特徴です。

止めないために冗長化や監視を行う

システムをできるだけ止めないためには、予備を用意したり、異常を早く見つけたりします。

このときに出てくるのが、冗長化、負荷分散、監視です。

これらは「止めないための対策」として整理します。

止まった後に戻すためにバックアップを取る

どれだけ対策しても、障害や災害を完全になくすことはできません。

そのため、止まった後に戻せるように、バックアップを取ります。

バックアップ、復旧、RTO、RPOは「止まった後に戻すための対策」です。

一言でいうと

冗長化・負荷分散・監視は、止めないための対策です。バックアップ・復旧・RTO・RPOは、止まった後に戻すための対策です。

クライアントサーバーシステムとは?

クライアントが要求を送りサーバーが結果を返すクライアントサーバーシステムの基本構成図

クライアントサーバーシステムとは、サービスを使う側と、サービスを提供する側に役割を分けたシステムです。

身近な例では、Webサイトを見るときのスマホやパソコンがクライアントで、Webサイトのデータを送るコンピューターがサーバーです。

クライアントはサービスを使う側

クライアントは、サービスを使う側の機器やソフトです。

たとえば、パソコン、スマホ、Webブラウザなどです。

利用者が画面を見たり、文字を入力したりする場所と考えると分かりやすいです。

サーバーはサービスを提供する側

サーバーは、サービスを提供する側です。

クライアントからの要求を受け取り、必要な処理をして、結果を返します。

Webページ、メール、ファイル共有、データベースなど、多くのサービスはサーバーによって提供されます。

Webシステムの基本構成

Webシステムでは、利用者がブラウザからアクセスし、サーバーがページやデータを返します。

たとえば、ネットショップでは、利用者が商品ページを開くと、サーバーが商品情報を返します。

注文すると、サーバー側で在庫や支払いの処理が行われます。

集中管理しやすい理由

クライアントサーバーシステムでは、データや処理をサーバー側に集めやすくなります。

そのため、データを一元管理しやすいという利点があります。

社員のパソコンにばらばらにデータを置くより、サーバーに集めた方が管理しやすくなります。

3層構成とは?

プレゼンテーション層、ファンクション層、データベースアクセス層からなる3層構成の図

3層構成とは、システムを3つの役割に分ける構成です。

基本情報技術者試験では、3層クライアントサーバシステムとして、主に次の3つの層で考えます。

  • プレゼンテーション層
  • ファンクション層
  • データベースアクセス層

画面、処理、データベースへのアクセスを分けることで、修正や管理をしやすくする考え方です。

データベースの基本もあわせて確認したい方は、基本情報技術者試験のデータベース入門も参考になります。

プレゼンテーション層

プレゼンテーション層は、利用者に見える画面を担当する部分です。

Webシステムでは、ブラウザに表示される画面がこれに当たります。

入力フォーム、ボタン、画面表示など、利用者とやり取りする部分です。

問題文に「画面」「表示」「入力フォーム」「ブラウザ」といった言葉があれば、プレゼンテーション層を考えます。

ファンクション層

ファンクション層は、処理の中身を担当する部分です。

入力された内容を確認したり、計算したり、データベースアクセス層に問い合わせたりします。

たとえば、ログインできるかを判定する処理や、注文金額を計算する処理です。

ビジネスロジックを担当する層と考えると分かりやすいです。

問題文に「業務処理」「計算」「判定」「ビジネスロジック」といった言葉があれば、ファンクション層を考えます。

データベースアクセス層

データベースアクセス層は、データベースへのアクセスを担当する部分です。

会員情報、商品情報、注文履歴などを検索、登録、更新します。

データそのものを保存するデータベースと、そこへアクセスする処理を担当する層です。

問題文に「検索」「登録」「更新」「データベース操作」といった言葉があれば、データベースアクセス層を考えます。

役割を分ける理由

3層構成では、役割を分けることで、修正や管理がしやすくなります。

画面だけを変えたいとき、処理だけを変えたいとき、データの扱いだけを変えたいときに、影響範囲を小さくしやすいからです。

また、負荷が高い部分だけを増やしやすい利点もあります。

問題で3層構成を見分けるポイント

問題文に、画面、業務処理、データベースへのアクセスのような役割分担が出てきたら、3層構成を考えます。

役割見分ける言葉
プレゼンテーション層画面表示や入力画面、ブラウザ、表示、入力フォーム
ファンクション層処理や判定業務処理、計算、判定、ビジネスロジック
データベースアクセス層データベースへのアクセス検索、登録、更新、データベース操作

クラウドの基本

クラウドは、サーバーやソフトウェアなどのIT資源を、ネットワーク経由で使う仕組みです。

自分の会社や家にサーバーを置かなくても、必要な機能を使える点が特徴です。

クラウドはIT資源をネットワーク経由で使う仕組み

IT資源とは、サーバー、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェアなどのことです。

クラウドでは、これらをインターネットなどのネットワークを通して使います。

必要なときに使い、必要に応じて増やしたり減らしたりしやすい点が大きな特徴です。

オンプレミスとの違い

オンプレミスとクラウドの違いを自社で持つか借りて使うかで比較した図

オンプレミスとは、自社でサーバーやネットワーク機器を持ち、自社で管理する形です。

クラウドは、クラウド事業者が用意したIT資源を借りて使います。

項目オンプレミスクラウド
機器自社で用意する事業者の資源を使う
初期費用大きくなりやすい小さく始めやすい
増減時間がかかりやすい増やしやすい
管理範囲自社の範囲が広い事業者が管理する範囲がある

SaaS・PaaS・IaaSの違い

クラウドサービスは、どこまで提供されるかによって、SaaS、PaaS、IaaSに分けられます。

見分けるポイントは、利用者がどこまで管理するかです。

SaaS・PaaS・IaaSの違いを図で整理したい方は、SaaS・PaaS・IaaSの違いも参考にしてください。

  • SaaS:完成したアプリを使う
  • PaaS:アプリを作るための土台を使う
  • IaaS:サーバーなどの基盤を借りる

パブリッククラウドとプライベートクラウド

パブリッククラウドは、多くの利用者が共通のクラウド基盤を使う形です。

プライベートクラウドは、特定の会社や組織のために用意されたクラウドです。

パブリッククラウドは始めやすく、プライベートクラウドは自社向けに管理しやすい点があります。

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスなどを組み合わせて使う形です。

たとえば、外部公開するサービスはパブリッククラウドで動かし、重要な社内データは自社側で管理する、といった使い方があります。

SaaS・PaaS・IaaSの管理範囲

SaaS、PaaS、IaaSの違いを管理範囲と例えで比較した図

SaaS・PaaS・IaaSは、基本情報技術者試験でよく問われる用語です。

暗記だけだと混乱しやすいので、「どこまで用意されているか」「自分で何を管理するか」で見分けましょう。

SaaSはアプリまで提供される

SaaSは、完成したアプリをネットワーク経由で使うサービスです。

利用者は、アプリを作ったり、サーバーを管理したりする必要が少なくなります。

例として、Webメール、オンライン会議ツール、クラウド型の会計ソフトなどがあります。

問題文に「完成したソフトをネット経由で利用」「すぐに使えるアプリ」とあれば、SaaSを考えます。

PaaSはアプリを作る土台まで提供される

PaaSは、アプリを作って動かすための土台を提供するサービスです。

サーバーやOSなどの細かい管理を減らし、開発に集中しやすくします。

代表例としては、Google App EngineやAWS Elastic Beanstalkなどがあります。

問題文に「アプリケーション開発環境」「実行環境」「開発の土台」とあれば、PaaSを考えます。

IaaSはサーバーなどの基盤を借りる

IaaSは、仮想サーバー、ストレージ、ネットワークなどの基盤を借りるサービスです。

代表例としては、Amazon EC2やGoogle Compute Engineなどがあります。

仮想サーバーを作るときは、あらかじめ用意されたOSイメージを選んで起動する形が一般的です。

その後、OSの設定、ミドルウェア、アプリケーション、セキュリティ設定などは、利用者が管理します。

つまり、IaaSは「基盤を借りて、その上を自分で構築・運用するサービス」と考えると分かりやすいです。

問題文に「仮想サーバーを借りる」「OSの設定から上を利用者が管理」「基盤を提供」とあれば、IaaSを考えます。

自分で管理する範囲を見れば違いが分かる

SaaS・PaaS・IaaSは、名前だけで覚えるより、管理範囲で見ると分かりやすくなります。

種類利用者が主にすること見分けるポイント
SaaS完成したアプリを使うすぐ使えるソフト
PaaSアプリを作って動かす開発・実行の土台
IaaS仮想サーバーなどを借りて構築する基盤を借りる

たとえると

SaaSは完成した弁当を買う、PaaSは調理場を借りて料理する、IaaSは場所と道具を借りて自分で準備するイメージです。

仮想化とは?

1台の物理サーバーの中で複数の仮想サーバーを動かす仮想化のイメージ図

仮想化とは、1台の機器や1つの資源を、複数あるように見せて使う技術です。

クラウドの土台として重要な技術です。

仮想化は1台の機器を複数のように使う技術

たとえば、1台の物理サーバーの中に、複数の仮想サーバーを作ることができます。

それぞれの仮想サーバーは、別々のサーバーのように使えます。

これにより、機器を効率よく使えるようになります。

サーバー仮想化

サーバー仮想化は、1台の物理サーバー上で、複数の仮想サーバーを動かす技術です。

物理サーバーを増やさなくても、複数のシステムを分けて動かせます。

クラウドで仮想サーバーを作るときにも、この考え方が使われます。

仮想化の種類

ホスト型、ハイパーバイザ型、コンテナ型の違いを構造で比較した図

サーバー仮想化には、代表的な方式があります。

  • ホスト型:土台となるOSの上に仮想化ソフトを入れ、その上で仮想マシンを動かす
  • ハイパーバイザ型:物理サーバー上で直接、仮想化ソフトを動かし、仮想マシンを管理する
  • コンテナ型:アプリを動かすための実行環境を分ける方式。ゲストOSが不要で軽い

基本情報技術者試験では、ホスト型、ハイパーバイザ型、コンテナ型の違いが問われることがあります。

特に、コンテナ型は仮想マシンごとにゲストOSを起動しないため、軽く動かしやすい点が特徴です。

ストレージ仮想化

ストレージ仮想化は、複数の保存装置をまとめて、1つの大きな保存場所のように見せる技術です。

利用者から見ると、どの機器に保存されているかを強く意識せずに使えます。

保存場所を効率よく使ったり、管理しやすくしたりする目的があります。

ネットワーク仮想化

ネットワーク仮想化は、物理的なネットワーク構成にしばられず、仮想的なネットワークを作る技術です。

これにより、システムごとにネットワークを分けたり、柔軟に構成を変えたりしやすくなります。

クラウドと仮想化の関係

クラウドは、仮想化を使ってIT資源を分けたり、必要な分だけ提供したりします。

ただし、クラウドと仮想化は同じ意味ではありません。

仮想化は技術です。クラウドは、その技術などを使ってサービスとして提供する仕組みです。

可用性とは?

可用性を高めるための冗長化、負荷分散、監視の関係を示した図

可用性とは、システムを使いたいときに使える性質のことです。

基本情報技術者試験では、システムを止めないための考え方としてよく出ます。

可用性は使いたいときに使える性質

可用性が高いシステムは、必要なときに使える可能性が高いシステムです。

たとえば、ネット銀行やネットショップが長時間止まると、利用者は困ります。

そのため、システムでは可用性を高める対策が大切になります。

システム停止を減らす考え方

可用性を高めるには、障害が起きてもサービス全体が止まりにくい構成にします。

代表的な方法は、サーバーを複数台にする、ネットワーク経路を複数にする、負荷を分けるなどです。

稼働率との関係

可用性は、稼働率と関係があります。

稼働率とは、一定期間のうち、システムが正常に動いていた割合です。

稼働率が高いほど、システムが止まっていた時間は短くなります。

基本情報技術者試験では、稼働率の計算問題が出ることもあります。

可用性を高める方法

可用性を高める主な方法は、次のとおりです。

  • 冗長化する
  • 負荷分散する
  • 監視して異常に早く気づく
  • 障害時に切り替えられるようにする
  • 復旧手順を決めておく

問題文で「停止を防ぐ」「使い続けられるようにする」「障害時も継続する」と出たら、可用性を考えます。

冗長化とは?

冗長化とは、障害に備えて予備を用意することです。

「同じ役割を持つものを複数用意する」と考えると分かりやすいです。

冗長化は予備を用意すること

1台しかないサーバーが壊れると、サービスが止まってしまいます。

そこで、同じ役割のサーバーをもう1台用意しておけば、片方が故障しても、もう片方で処理を続けられます。

このように、予備を用意して止まりにくくするのが冗長化です。

サーバーを複数台にする

サーバーを複数台にすると、1台が故障しても他のサーバーで処理を続けられます。

特に重要なシステムでは、サーバーを1台だけにしない構成が使われます。

ネットワーク経路を複数にする

ネットワークの道が1本しかないと、その道に障害が起きたときに通信できなくなります。

そこで、ネットワーク経路を複数用意しておくと、片方が使えないときに別の経路を使えます。

単一障害点をなくす

単一障害点とは、そこが壊れるとシステム全体が止まる場所のことです。

SPOFと呼ばれることもあります。

基本情報技術者試験では、「単一障害点をなくす」「障害時も継続する」という文脈なら、冗長化を考えます。

負荷分散とは?

負荷分散とは、処理を複数のサーバーなどに分けることです。

アクセスが集中しても、1台だけに負担がかかりすぎないようにします。

負荷分散は処理を複数に分けること

1台のサーバーにアクセスが集中すると、処理が遅くなったり、止まったりすることがあります。

負荷分散では、複数のサーバーに処理を振り分けます。

これにより、全体として安定して処理しやすくなります。

アクセス集中に強くする

ネットショップのセール、チケット販売、合格発表などでは、短時間に多くのアクセスが集まることがあります。

このような場面で負荷分散を行うと、1台のサーバーだけに負担が集中しにくくなります。

ロードバランサの役割

ロードバランサは、アクセスを複数のサーバーに振り分ける装置や仕組みです。

利用者からの要求を受け取り、どのサーバーに処理させるかを決めます。

混雑をさける交通整理のような役割です。

可用性との関係

負荷分散は、可用性を高める対策にもなります。

複数のサーバーに処理を分けていれば、1台が故障しても他のサーバーで処理を続けられる場合があります。

ただし、負荷分散の中心は「処理を分けること」です。

冗長化の中心は「予備を用意すること」です。

止めない対策と戻す対策の違い

止めない対策と戻す対策の違いを冗長化やバックアップなどで整理した比較図

クラウド・システム構成で特に大切なのが、「止めない対策」と「戻す対策」の違いです。

ここを見分けられると、基本情報技術者試験の問題が解きやすくなります。

冗長化は止まりにくくする対策

冗長化は、予備を用意して、故障してもサービスを続けやすくする対策です。

つまり、止まる前に備える対策です。

問題文に「予備」「複数台」「障害時に切り替え」とあれば、冗長化を考えます。

負荷分散は処理を分けて安定させる対策

負荷分散は、処理を複数に分けて、1つに負担が集中しないようにする対策です。

アクセス集中に強くし、処理の遅れや停止を防ぐ目的があります。

問題文に「アクセス集中」「処理を分散」「ロードバランサ」とあれば、負荷分散を考えます。

バックアップは止まった後に戻すための対策

バックアップは、データの予備を取っておくことです。

システムが壊れたり、データが消えたりした後に、元に戻すために使います。

バックアップは、サービスを止めないための直接の対策ではありません。

止まった後に戻すための対策です。

復旧はバックアップなどから使える状態に戻すこと

復旧とは、障害や災害で使えなくなったシステムを、再び使える状態に戻すことです。

バックアップからデータを戻したり、別の環境でサービスを再開したりします。

対策目的見分ける言葉
冗長化止まりにくくする予備、複数台、切り替え
負荷分散処理を分けて安定させるアクセス集中、ロードバランサ
バックアップデータを戻せるようにする保存、コピー、世代管理
復旧使える状態に戻す再開、復元、障害後

バックアップと復旧

バックアップと復旧は、障害や災害に備えるための重要な考え方です。

基本情報技術者試験では、冗長化との違いもよく問われます。

バックアップはデータの予備を取ること

バックアップとは、データのコピーを取っておくことです。

データが消えた場合や壊れた場合に、コピーから戻せるようにします。

大事な書類のコピーを別の場所に置いておくようなものです。

復旧はバックアップから戻すこと

復旧とは、バックアップなどを使って、システムやデータを使える状態に戻すことです。

バックアップを取っているだけでは、まだ復旧したことにはなりません。

実際に戻して、使える状態にすることが復旧です。

災害や障害に備えるために行う

バックアップは、機器の故障、操作ミス、サイバー攻撃、災害などに備えて行います。

サイバー攻撃への対策もあわせて確認したい方は、基本情報技術者試験のセキュリティ入門も参考にしてください。

重要なデータほど、定期的にバックアップを取る必要があります。

また、同じ場所だけに保存していると、災害時に一緒に失うおそれがあります。

戻せるデータと戻るまでの時間が大事

バックアップでは、「どこまでのデータを戻せるか」と「どれくらいで再開できるか」が大事です。

ここで出てくるのが、RTOとRPOです。

基本情報技術者試験では、RTOとRPOを逆にしないことが重要です。

RTOとRPOをゲームのセーブで理解する

バックアップ、復旧、RTO、RPOの違いをゲームのセーブの流れで示した図

RTOとRPOは、バックアップや復旧の問題でよく出る用語です。

文字だけだと覚えにくいので、ゲームのセーブで考えると分かりやすくなります。

RTOは再開までにかかる時間

RTOは、障害が起きてから、システムを再開するまでに許される時間の目標です。

ゲームでたとえると、ゲームオーバーになってから、もう一度プレイできるようになるまでの時間です。

「何時間以内に再開したいか」を表すのがRTOです。

RPOはどのセーブ時点まで戻るか

RPOは、障害が起きたときに、どの時点のデータまで戻ることを許すかを表します。

ゲームでたとえると、最後にセーブした時点まで戻ることです。

たとえば、1時間ごとにセーブしていれば、最大で1時間分の進み具合が失われる可能性があります。

この「どこまでのデータ損失を許すか」がRPOです。

RTOとRPOを逆に覚えないコツ

RTOは、TimeのTに注目します。

再開までの時間です。

RPOは、PointのPに注目します。

戻る時点です。

用語意味ゲームでたとえると
RTO再開までにかかる時間の目標ゲームオーバーから再開までの時間
RPOどの時点まで戻るかの目標最後にセーブした時点まで戻る

バックアップと復旧の問題で見分けるポイント

問題文で「何時間以内に再開」とあれば、RTOを考えます。

問題文で「何分前、何時間前のデータまで戻る」とあれば、RPOを考えます。

RTOは再開までの時間、RPOは戻るデータの時点です。

システム運用と監視

システム運用とは、システムを安定して使えるように日々管理することです。

システムは作った後も、監視、保守、障害対応が必要です。

運用はシステムを安定して使えるようにすること

運用では、システムが正常に動いているかを確認します。

必要に応じて、設定変更、更新、バックアップ、障害対応などを行います。

システムを毎日使える状態に保つ仕事と考えると分かりやすいです。

監視で異常に早く気づく

監視とは、サーバーやネットワークの状態を見守ることです。

CPU使用率、メモリ使用量、ディスク容量、通信状態、エラーの発生などを確認します。

異常に早く気づけば、大きな障害になる前に対応できることがあります。

ログを確認する

ログとは、システムの動作記録です。

いつ、何が起きたのかを後から確認できます。

障害の原因を調べるときや、不正アクセスを調べるときに使われます。

障害対応の流れ

障害対応では、まず異常を検知し、影響範囲を確認します。

その後、原因を調査し、必要に応じて切り替え、再起動、復旧などを行います。

最後に、再発防止策を考えます。

  1. 異常に気づく
  2. 影響範囲を確認する
  3. 原因を調べる
  4. 復旧する
  5. 再発防止を行う

基本情報技術者試験で間違えやすいクラウド・システム用語

クラウド・システム構成では、似た用語が多く出ます。

ここでは、基本情報技術者試験で間違えやすい用語を整理します。

SaaS・PaaS・IaaSの違い

SaaSは完成したアプリを使うサービスです。

PaaSはアプリを作る土台を使うサービスです。

IaaSはサーバーなどの基盤を借りるサービスです。

「完成品を使う」のか、「作る土台を使う」のか、「基盤を借りる」のかで見分けます。

仮想化とクラウドの違い

仮想化は、1つの資源を複数のように使う技術です。

クラウドは、IT資源をネットワーク経由で使えるようにするサービスの形です。

仮想化はクラウドを支える技術の1つですが、同じ意味ではありません。

ホスト型・ハイパーバイザ型・コンテナ型の違い

ホスト型は、土台となるOSの上で仮想化ソフトを動かす方式です。

ハイパーバイザ型は、物理サーバー上で直接、仮想化ソフトを動かす方式です。

コンテナ型は、アプリの実行環境を分ける方式で、ゲストOSが不要なため軽量です。

問題文に「ゲストOSが不要」「軽量」「コンテナ」とあれば、コンテナ型を考えます。

可用性と信頼性の違い

可用性は、使いたいときに使える性質です。

信頼性は、故障や不具合が起きにくい性質です。

問題文に「利用できる」「止まらない」「稼働率」とあれば可用性を考えます。

問題文に「故障しにくい」「正しく動き続ける」とあれば信頼性を考えます。

冗長化とバックアップの違い

冗長化は、予備を用意して止まりにくくする対策です。

バックアップは、データのコピーを取って、止まった後に戻せるようにする対策です。

冗長化は止めないため、バックアップは戻すため、と整理しましょう。

RTOとRPOの違い

RTOは、再開までの時間です。

RPOは、戻るデータの時点です。

「いつ再開するか」はRTO、「どこまで戻るか」はRPOです。

クラウド・システム構成問題の解き方

基本情報技術者試験の問題では、用語を知っているだけでは迷うことがあります。

問題文を読み、何を聞かれているのかを整理しましょう。

問題文が構成・運用・障害対策のどれか確認する

まず、問題文が何について聞いているかを確認します。

  • システムの作り方なら、3層構成やクライアントサーバー
  • クラウドのサービスなら、SaaS・PaaS・IaaS
  • 仮想化の方式なら、ホスト型・ハイパーバイザ型・コンテナ型
  • 止めない対策なら、可用性・冗長化・負荷分散
  • 戻す対策なら、バックアップ・復旧・RTO・RPO
  • 日々の管理なら、運用・監視・ログ

何を高めたいのかを見る

問題文では、「何を高めたいか」が手がかりになります。

可用性を高めたいのか、処理性能を高めたいのか、復旧しやすくしたいのかを見ます。

目的が分かると、選ぶべき用語がしぼれます。

止めない対策か、戻す対策かを見分ける

障害対策の問題では、「止めないため」か「戻すため」かを見分けます。

止めないためなら、冗長化や負荷分散です。

戻すためなら、バックアップや復旧です。

サービス形態の管理範囲を見る

SaaS・PaaS・IaaSの問題では、管理範囲を見ます。

完成したアプリを使うならSaaSです。

開発や実行の土台ならPaaSです。

仮想サーバーなどの基盤を借りるならIaaSです。

3層構成の層名に注意する

3層構成では、層の名前を正しく押さえることが大切です。

画面はプレゼンテーション層、処理はファンクション層、データベースへのアクセスはデータベースアクセス層です。

特に「ファンクション層」は、試験で見慣れないと迷いやすい言葉なので注意しましょう。

選択肢の似た言葉に注意する

選択肢には、似た言葉が並ぶことがあります。

たとえば、冗長化とバックアップ、RTOとRPO、SaaSとPaaS、ファンクション層とデータベースアクセス層などです。

言葉の印象だけで選ばず、「何をするためのものか」を確認しましょう。

基本情報技術者試験ではクラウド・システム構成がどう出る?

基本情報技術者試験では、クラウド・システム構成は、用語の意味だけでなく、使い分けとして出ることが多いです。

問題文の目的を読み取り、正しい用語を選ぶ力が必要です。

クラウドサービスの違いを問う問題

SaaS・PaaS・IaaSの違いが問われます。

特に、利用者がどこまで管理するか、何が提供されるかが大事です。

完成したアプリならSaaS、開発環境ならPaaS、仮想サーバーなどの基盤ならIaaSです。

3層構成の役割を問う問題

3層構成では、プレゼンテーション層、ファンクション層、データベースアクセス層の役割が問われます。

画面表示はプレゼンテーション層、業務処理はファンクション層、データベース操作はデータベースアクセス層です。

仮想化の仕組みを問う問題

仮想化では、1台の機器を複数のように使う考え方が問われます。

また、ホスト型、ハイパーバイザ型、コンテナ型の違いが問われることもあります。

コンテナ型は、ゲストOSが不要で軽量という点を押さえましょう。

可用性や冗長化を問う問題

可用性は、使いたいときに使える性質です。

冗長化は、予備を用意して止まりにくくする対策です。

問題文に「停止を防ぐ」「障害時も続ける」「予備を用意する」とあれば、この分野を考えます。

バックアップや復旧を問う問題

バックアップは、データの予備を取ることです。

復旧は、システムやデータを使える状態に戻すことです。

RTOとRPOも、バックアップや復旧の文脈で問われます。

システム運用の考え方を問う問題

運用、監視、ログ、障害対応の流れが問われることもあります。

「異常を早く見つける」「記録を確認する」「再発防止を行う」といった考え方を押さえましょう。

確認問題

ここまでの内容を、基本情報技術者試験の問題で使える形で確認しましょう。

SaaS・PaaS・IaaSの違いは何ですか?

SaaSは、完成したアプリをネットワーク経由で使うサービスです。

PaaSは、アプリを作って動かすための土台を使うサービスです。

IaaSは、仮想サーバーやストレージなどの基盤を借りるサービスです。

見分けるポイントは、自分で管理する範囲です。

3層構成の3つの層は何ですか?

3層構成は、プレゼンテーション層、ファンクション層、データベースアクセス層に分けて考えます。

プレゼンテーション層は画面、ファンクション層は業務処理、データベースアクセス層はデータベースへのアクセスを担当します。

仮想化とクラウドの違いは何ですか?

仮想化は、1台の機器や1つの資源を、複数あるように使う技術です。

クラウドは、サーバーやソフトウェアなどのIT資源を、ネットワーク経由で使えるようにするサービスの形です。

仮想化は、クラウドを支える技術の1つです。

ホスト型・ハイパーバイザ型・コンテナ型の違いは何ですか?

ホスト型は、土台となるOSの上に仮想化ソフトを入れて仮想マシンを動かす方式です。

ハイパーバイザ型は、物理サーバー上で直接、仮想化ソフトを動かす方式です。

コンテナ型は、アプリの実行環境を分ける方式で、ゲストOSが不要なため軽量です。

冗長化とバックアップの違いは何ですか?

冗長化は、予備を用意して、システムを止まりにくくする対策です。

バックアップは、データのコピーを取って、止まった後に戻せるようにする対策です。

冗長化は止めないため、バックアップは戻すため、と覚えましょう。

RTOとRPOの違いは何ですか?

RTOは、障害が起きてから再開するまでの時間の目標です。

RPOは、障害が起きたときに、どの時点のデータまで戻るかの目標です。

ゲームでたとえると、RTOはゲームオーバーから再開までの時間、RPOは最後にセーブした時点まで戻ることです。

まとめ

クラウド・システム構成は、基本情報技術者試験でよく出る分野です。

用語を1つずつ覚えるだけでなく、何のための仕組みなのかを整理すると、問題で見分けやすくなります。

クラウド・システム構成では、SaaS・PaaS・IaaSの管理範囲、3層構成の層名、仮想化の方式、可用性を高める対策、バックアップと復旧の違いを押さえることが大切です。

特に大事なのは、次の切り分けです。

  • 3層構成は、プレゼンテーション層・ファンクション層・データベースアクセス層で見分ける
  • 可用性・冗長化・負荷分散は、止めないための対策
  • バックアップ・復旧・RTO・RPOは、止まった後に戻すための対策
  • SaaS・PaaS・IaaSは、どこまで提供されるかで見分ける
  • 仮想化は技術、クラウドはサービスとして使う形
  • コンテナ型は、ゲストOSが不要で軽量
  • RTOは再開までの時間、RPOは戻るデータの時点

基本情報技術者試験の問題では、問題文の中にある「目的」を見ることが大切です。

止めたいのか、戻したいのか、処理を分けたいのか、管理範囲を問われているのかを確認しましょう。

この見分け方ができると、クラウド・システム構成の問題はかなり解きやすくなります。

クラウド・システム構成を含めた基本情報全体の進め方は、基本情報技術者試験の勉強方法も参考にしてください。

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