システムエンジニアとしてシステム開発を経験していく中で、次のように考えたことはありませんか?
- 小規模システム開発しか担当したことないけど、大規模システム開発はどのようなことしているのか事例・障害・費用・体制など知見を知りたい?
- 小規模システム開発でプロジェクトマネジメントが上手くいってないので、大規模システム開発の事例・体制などの知見を知りたい。
- 大規模システム開発が初めてなので、大規模システム開発の事例・障害・費用・体制など知見を知りたい。
本記事では、日本におけるトップ3といえる大規模システム開発の事例のおすすめIT本を紹介します。本記事を読むことで、おすすめIT本を読むと、大規模システム開発の事例・障害・費用などの知見を得て、プロジェクトマネジメントにポイントも理解できることがわかります。
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大規模システム開発事例① 三菱UFJ銀行システム統合|開発の工数:11万人月、費用:2,500億円
2004年7月に旧三菱東京フィナンシャル・グループと旧UFJホールディングスが経営統合することが発表されました。経営統合には情報システムの統合は付き物です。その後、2008年12月にはシステム統合を完了させました。
システム統合は2段階に分けて進められました。旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行の勘定系システムの相互接続する「Day1(デイワン)」と2つのシステムを完全1本化する「Day2(デイツー)」です。この本では、Day2にフォーカスして書かれてます。
Day1とDay2がどのくらい違うかというと以下のとおりです。Day2の11万人月は当時過去事例がない前代未聞の大規模プロジェクトです。
項目 | Day1 | Day2 |
---|---|---|
対応内容 | 勘定系システムの相互接続 | システム1本化 |
開発工数 | 3万人月 | 11万人月 |
開発費用 | 800億円 | 2,500億円 |
ピーク時の関係者 | 不明 | 6,000人 |
開発期間 | 不明 | 2006年1月~2008年12月 |
本書ではDay2でおこなった以下の内容が分かります。
- チームビルディング
- リスク分析
- ゴール設定
- プロジェクトマネジメント
- 品質・進捗管理
- 性能・信頼性設計
- 業務設計
- 運用設計
- ES(従業員満足度)対策
- 長丁場を乗り切る工夫
- 開発サポート
- 研修サポート
- テスト計画
- 切り替え計画
- データ移行計画
- リーダーシップ
私の過去体験した大規模システム統合を踏まえて、この本で学べるポイントは次のとおりです。
- 大規模システムのプロジェクトの進め方のポイントが工程毎に分かる。
- 大規模システムで世間的にニュースとなる大規模システム障害も起こさなかったプログラム品質の作りこみ方が分かる。
- 大規模システムにかかわったベンダー・協力会社の視点でプロジェクトで工夫した点が分かる。
私の経験上、大規模システム開発をすると、期限に間に合わせるためにプログラム品質が落ち、結果的に大規模システム障害が多発しそうと考えますが、今回世間的なニュースはなかったので、各工程でプログラム品質の作りこみ方をどのようにやっているのか分かるのが勉強になります。
大規模システム開発事例② みずほ銀行システム統合|開発の工数:35万人月、費用:4,000億円
みずほ銀行の勘定系システムの刷新と統合のプロジェクトが2019年7月に完了しました。勘定系システムとは銀行業務の預金や振り込みなど重要なシステムで、失敗すると銀行窓口業務、ATM、インターネットバンキング全て止まるという障害が発生して、多くの人に影響をおよぼします。みずほ銀行では、2002年4月と2011年3月に大規模システム障害を起こしており、3度目の正直となっています。
参考までに新しい勘定系システム「MINORI」のシステム開発規模は次のとおりです。
項目 | みずほ銀行 「MINORI」を作る前 | みずほ銀行 「MINORI」 |
---|---|---|
対応内容 | 第一勧業銀行と富士銀行の勘定系システムを第一勧業銀行に寄せる | 勘定系システム再構築 |
完了年 | 2004年 | 2019年 |
開発工数 | 9万人月 | 35万人月 |
開発費用 | 4,000億円 | 4,000億円半ば |
勘定系システム「MINORI」は当初2011年6月~2016年3月のプロジェクトでしたが、2014年4月と2016年11月の2度システム開発の完了延期を余儀なくされ、口の悪い業界関係者は完成しないスペイン・バルセロナの教会にちなんで「IT業界のサクラダ・ファミリア」というぐらいのプロジェクトでした。
本書では、以下のようにみずほ銀行におけるシステムの刷新と統合の苦闘の19年史が分かります。
- 新しい勘定系システム「MINORI」のプロジェクトの全貌。
- 2011年3月の東日本大震災直後の大規模システム障害。
- 2002年4月の経営統合直後の大規模システム障害。
私の過去体験した大規模システム統合を踏まえて、この本で学べるポイントは次のとおりです。
- 新しい勘定系システム「MINORI」は過去に例がない1からの勘定系システムの作り直し。過去何度もシステム統合してきて、その都度機能追加してきたシステム。当時のメンバーもおらず、システム内部はブラックボックスだらけで把握できない。そのため、難易度が非常に高い。前例がない1からの勘定系システムの作り直しを今回どのように対応したかが分かる。
- 大規模システム統合における過去の大規模システム障害の発生起因と対策が分かる。
私の経験上、システム統合ではお金や時間の余裕がないことがあるので、お互いのシステムの差分開発になることが多いです。これにより機能追加が長年繰り返されると、過去作ったシステムの構造や仕様が分からないことになり、あらゆるものがブラックボックス化していきます。これは、どこの業界でも起こると思いつつ、他人事ではないのでどのように対応していったのか勉強になります。
上記の本は「日経コンピュータ」がMINORIの開発過程をまとめてますが、その後、残念ながらMINORIでもシステム障害が発生してしまいました。そこで「日経コンピュータ」がこれまで起きた11件のシステム障害の原因や背景を検証し、他の金融機関で実施している対策と比較して、システムを安定稼働させるための教訓を以下の本でまとめてます。
大規模システム開発事例③ 「Suica」JR東日本のICカードプロジェクト/クラウド型マルチ決済システム|開発の工数・費用:不明
JR東日本のICカード「Suica」がデビューしたのは2001年11月18日。「Suica」とは「Super Urban Intelligent CArd」の頭文字をとったもので、「スイスイ行けるICカード」という意味もあります。参考までにペンギンのキャラクターは「さかざき ちはる」さんが描いている。「Suica」の登場により、あらゆる日常生活が激変した。
- 「タッチ・アンド・ゴー」で定期券を改札機に投入して、受け取るという動作がなくなった。
- 券売機の前で切符を買うための行列が極端に減った。
- PASMOと相互利用可能になり、JR・私鉄・バスの利便性があがった。
- ICOCA、TOICA、Kitacaなど他の鉄道会社のICカードと相互利用可能になり、JR東日本以外の全国の鉄道の利便性があがった
- コンビニ、スーパー、駅ナカなどあらゆるお店で電子マネーとして使えるようになり、財布をもつ必要がなくなった。
- モバイルSuicaにより、カードを持つ必要がなくなり、スマホがあればよくなった。
本書では、「Suica」から始まる上記のサービスを実現する上で、それぞれどのようなシステム開発をおこなっていったかの全貌、広い範囲でのSuicaサービストラブルで自動改札機がダウンした障害の原因と対策などが分かります。
私の過去体験した大規模システム開発を踏まえて、この本で学べるポイントは次のとおりです。
- あらゆる世界初のシステムを作るにあたり、毎日何万人もの利用者がいて、年中無休なサービスを提供しているシステムの要件・テスト・本番移行の考え方が分かる。
- あらゆる世界初のサービス・技術・システムを作るにあたり、どういう考え方で組織は動いているのかが分かる。
おすすめIT本を元に、大規模システム開発の事例・障害・費用など知見を得て、システムエンジニアとして成長していこう!
本記事では、日本におけるトップ3といえる大規模システム開発事例のおすすめIT本を紹介してきました。本記事を読むことで、おすすめIT本を読むと、大規模システム開発の事例・障害・費用などの知見を得て、プロジェクトマネジメントにポイントも理解できることがわかったことでしょう。おすすめ本を読んで、システムエンジニアで成長していきましょう!
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