ポータブルスキルとは、かんたんに言うと、会社や仕事内容が変わっても使える仕事の力です。 計画を立てる力や、人と協力する力などが当てはまります。
英語では「Portable Skills」と表します。 「Portable」には、持ち運べるという意味があります。
ただし、道具のように実際に持ち運ぶわけではありません。 自分が身につけた力を、別の職場や仕事でも生かせることを表した言葉です。
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ポータブルスキルとは持ち運べる仕事の力
ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても生かせる力のことです。 特定の会社だけではなく、さまざまな仕事で役立ちます。
厚生労働省では、ポータブルスキルを、職種の専門性とは別に持ち運びができる仕事上の力と説明しています。 大きく「仕事のし方」と「人との関わり方」に分けられます。
例えば、旅行に持っていける道具は、行き先が変わっても使えます。 ポータブルスキルも同じように、働く場所や担当する仕事が変わっても活用できます。
IT用語やビジネス用語としては、状況をつかむ力、計画を立てる力、人に分かりやすく伝える力などを指します。 仕事を進めるうえで土台になる力と考えると分かりやすいでしょう。
ポータブルスキルの具体例一覧
ポータブルスキルには、仕事を進めるための力と、人と関わるための力があります。 ここでは、身近な具体例とともに紹介します。
仕事の進め方に関するスキル
- 必要な情報を集めて、今の状況をつかむ力
- 取り組むべき課題を見つける力
- 作業の順番や期限を決める力
- 計画に沿って仕事を進める力
- 予定外の出来事に対応する力
例えば、学校行事を準備するときには、必要な物や人数を確認します。 そのうえで役割と予定を決め、当日の変化にも対応します。
仕事でも、情報を集め、課題を見つけ、計画を立てて実行します。 このような進め方は、仕事の種類が変わっても役立ちます。
人との関わり方に関するスキル
- 相手の話を聞き、考えを正しくつかむ力
- 自分の考えを分かりやすく伝える力
- 周りの人と協力する力
- 意見の違いを整理する力
- 相手に合わせて説明の仕方を変える力
- メンバーを支え、仕事を進めやすくする力
同じ内容でも、友人に話す場合と初対面の人に話す場合では、説明の仕方が変わります。 相手に合わせて言葉や伝える順番を選ぶ力も、ポータブルスキルの一つです。
仕事では、上司、同僚、お客さまなど、立場の異なる人と関わります。 そのため、人との関わり方に関する力は、多くの職場で活用できます。
厚生労働省が示すポータブルスキルの9要素
厚生労働省が公開している分類では、ポータブルスキルは9つの要素に分けられています。 「仕事のし方」が5つ、「人との関わり方」が4つです。
| 分類 | 要素 | かんたんな意味 |
|---|---|---|
| 仕事のし方 | 現状の把握 | 情報を集め、今の状態をつかむ力 |
| 課題の設定 | 取り組むべきことを決める力 | |
| 計画の立案 | 手順や予定を具体的に考える力 | |
| 課題の遂行 | 調整しながら仕事を進める力 | |
| 状況への対応 | 予定外の変化に対応する力 | |
| 人との関わり方 | 社内対応 | 社内の人に説明し、協力を得る力 |
| 社外対応 | お客さまなどと話し合い、意見をまとめる力 | |
| 上司対応 | 報告や相談を分かりやすく行う力 | |
| 部下マネジメント | メンバーの成長や仕事を支える力 |
すべての力が同じように高くなければならないわけではありません。 得意なことを知り、日々の仕事で少しずつ伸ばしていくことが大切です。
ポータブルスキルとテクニカルスキルの違い
ポータブルスキルと混同されやすい言葉が、テクニカルスキルです。 テクニカルスキルとは、特定の仕事を行うために必要な専門知識や技術を指します。
| 比べる点 | ポータブルスキル | テクニカルスキル |
|---|---|---|
| 意味 | 仕事や職場が変わっても使いやすい力 | 特定の仕事で使う専門的な力 |
| 具体例 | 計画力、課題を見つける力、説明する力 | プログラミング、会計、機械の操作 |
| 使える範囲 | さまざまな業種や職種 | 知識や技術に合った業務 |
| 身につけ方 | 日々の経験や振り返り | 学習、練習、実務経験 |
例えば、プログラムを作る技術は、ITの仕事で使われるテクニカルスキルです。 作業の予定を立てたり、利用者に内容を説明したりする力は、ほかの仕事でも使えるポータブルスキルです。
どちらか一方だけが大切ということではありません。 専門的な技術と持ち運べる仕事の力を組み合わせることで、知識や経験を生かしやすくなります。
ポータブルスキルとソフトスキルの違い
ソフトスキルとは、考える力や、人と関わる力などを広く表す言葉です。 協調性、伝える力、自分の行動を管理する力などが含まれます。
ポータブルスキルとソフトスキルには、重なる部分があります。 ただし、二つは必ずしも同じ意味ではありません。
ソフトスキルは、力の性質に注目した言葉です。 ポータブルスキルは、職場や仕事が変わっても使えるかどうかに注目した言葉です。
ポータブルスキルの対義語はアンポータブルスキル
ポータブルスキルの反対の意味で使われる言葉が、アンポータブルスキルです。 特定の会社や環境で使われる知識や手順を指します。
例えば、ある会社だけで使われている申請方法や、社内専用システムの操作方法などです。 会社の中では大切ですが、別の職場でそのまま使えるとは限りません。
アンポータブルスキルが不要という意味ではありません。 今の仕事を正しく進めるためには、会社独自の知識や手順も必要です。
ポータブルスキルが使われる場面
ポータブルスキルは、特別な場面だけで使うものではありません。 学校生活や日々の仕事の中でも使われています。
新しい仕事を始めるとき
担当する仕事が変わると、新しく覚えることが増えます。 そのようなときも、情報を整理する力や計画を立てる力は引き続き使えます。
複数の人で作業するとき
複数の人で作業するときは、役割分担や情報共有が必要です。 相手の話を聞く力や、内容を分かりやすく伝える力が役立ちます。
予定外の問題が起きたとき
仕事では、予定どおりに進まないこともあります。 状況を確認し、優先することを決め直す力もポータブルスキルです。
ポータブルスキルを身につける方法
ポータブルスキルは、特別な資格がなければ身につかないものではありません。 普段の学習や仕事を振り返ることで、少しずつ伸ばせます。
行動した理由を振り返る
仕事が終わったら、どのように考えて行動したかを振り返ります。 「うまくいった」「失敗した」だけで終わらせず、その理由まで考えることが大切です。
行動を具体的な言葉にする
「頑張った」では、どのような力を使ったのか分かりません。 「期限から逆算して予定を立てた」のように、行動を具体的な言葉にします。
ほかの場面でも試してみる
一度うまくいった方法を、別の作業でも試してみます。 複数の場面で使えれば、自分のポータブルスキルとして定着しやすくなります。
周りの人から意見を聞く
自分では気づきにくい得意な力もあります。 先生、同僚、家族などに、助かった行動や分かりやすかった説明を聞いてみるのも一つの方法です。
初心者が間違えやすいポイント
資格だけを表す言葉ではない
ポータブルスキルは、資格の名前ではありません。 仕事の進め方や人との関わり方に表れる力です。
転職のためだけの力ではない
「持ち運べる」という表現から、転職するときだけ必要だと思われることがあります。 実際には、今の職場で担当や部署が変わったときにも役立ちます。
コミュニケーション能力だけではない
人と話す力は、ポータブルスキルの一部です。 情報収集、課題の設定、計画、状況への対応なども含まれます。
専門知識と反対のものではない
ポータブルスキルと専門知識は、どちらか一方を選ぶものではありません。 専門知識を仕事で生かすためにも、計画する力や伝える力が役立ちます。
ポータブルスキルに関するよくある質問
ポータブルスキルを日本語で言い換えると何ですか?
「持ち運べる仕事の力」や「仕事が変わっても使える力」と言い換えられます。 「幅広い仕事で生かせる力」と表すこともできます。
ポータブルスキルに資格はありますか?
ポータブルスキルそのものを表す一つの資格があるわけではありません。 日々の行動や仕事の進め方から確認する力です。
学生にもポータブルスキルはありますか?
学生にもあります。 学校行事の計画、グループ学習での役割分担、発表の準備などでも身につけられます。
ポータブルスキルは診断できますか?
自分の経験を振り返るほか、質問に答えて特徴を確認する方法もあります。 厚生労働省は、主にミドルシニア層のホワイトカラー職種を想定した「ポータブルスキル見える化ツール」を公開しています。
診断結果は、得意なことを考えるための参考情報として確認するとよいでしょう。 一つの結果だけで、自分の能力や向いている仕事が決まるわけではありません。
ポータブルスキルとは何かをおさらい
ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても持ち運び、活用できる仕事の力です。 計画を立てる力、課題に対応する力、人に分かりやすく伝える力などが含まれます。
テクニカルスキルが特定の仕事で使う専門的な力であるのに対し、ポータブルスキルは幅広い仕事で使える点が特徴です。 二つを組み合わせることで、身につけた知識や経験をさまざまな場面で生かせます。
まずは普段の学習や仕事を振り返り、どのように考え、行動したかを具体的な言葉にしてみましょう。 身近な経験の中から、自分がすでに持っているポータブルスキルを見つけられます。
