謙譲語とは、自分や自分側の行動を控えめに表し、相手への敬意を示す言葉です。
かんたんに言うと、自分側の動作を一歩引いた言い方にする敬語です。「行く」を「伺う」、「見る」を「拝見する」と言い換えます。
ただし、自分という人間の価値を下げる言葉ではありません。言葉の上で自分側の動作を控えめに表し、相手を大切にするための表現です。
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謙譲語とは
謙譲語の読み方は「けんじょうご」です。自分や自分側の人の行動について話すときに使います。
たとえば、先生の家へ行くことを「先生の家へ伺います」と表します。「行く」を「伺う」に変えることで、訪問する相手への敬意を示しています。
会社では、自分だけでなく、同じ会社の人を自分側として扱うことがあります。社外の人に対しては、上司の行動を謙譲語で伝える場合もあります。
謙譲語は自分側の動作に使う
謙譲語を使うときは、「誰の動作なのか」を考えることが大切です。基本的には、自分や自分側の人が動くときに使います。
- 私が先生のところへ伺います。
- 私が資料を拝見します。
- 担当者からご説明いたします。
「伺う」「拝見する」「ご説明する」は、いずれも自分側の動作を表しています。
謙譲語が使われる場面
謙譲語は、相手への敬意を言葉で表したい場面で使われます。学校、職場、電話、メールなど、使われる場面はさまざまです。
先生や目上の人と話すとき
先生や先輩などに、自分の行動を伝えるときに使います。
- 明日、先生の研究室へ伺います。
- 先ほど資料を拝見しました。
- 私から結果をご報告します。
仕事で社外の人と話すとき
取引先やお客さまに対して、自分や自社の人の行動を伝えるときにも使います。
- 担当者が後ほどご連絡いたします。
- 部長の田中がそのように申しておりました。
- 私が会議室までご案内します。
社外の人と話すときは、自分の上司も自分側として扱います。そのため、上司の行動を「申す」「おる」などで表すことがあります。
電話やメールで連絡するとき
相手の顔が見えない電話やメールでも、謙譲語はよく使われます。
- 後ほど、こちらからお電話いたします。
- 資料をお送りいたします。
- 内容を確認して、改めてご連絡します。
よく使う謙譲語の一覧
謙譲語には、元の言葉とは形が大きく変わるものがあります。よく使う言葉から覚えると、見分けやすくなります。
| 元の言葉 | 謙譲語 | 例文 |
|---|---|---|
| 行く・訪ねる | 伺う | 明日、先生のところへ伺います。 |
| 行く・来る | 参る | 午後3時に参ります。 |
| いる | おる | 担当者は事務所におります。 |
| 言う | 申す・申し上げる | 私から結果を申し上げます。 |
| 聞く・尋ねる | 伺う | ご希望を伺います。 |
| 見る | 拝見する | お送りいただいた資料を拝見しました。 |
| 読む | 拝読する | 先生の本を拝読しました。 |
| 会う | お目にかかる | お目にかかれて光栄です。 |
| する | いたす | こちらで確認いたします。 |
| もらう・食べる・飲む | いただく | 資料をいただきました。 |
| 知る | 存じる・存じ上げる | その件は存じております。 |
| 渡す | お渡しする | 受付で資料をお渡しします。 |
| 案内する | ご案内する | 私が会場までご案内します。 |
「伺う」と「参る」の違い
「伺う」と「参る」は、どちらも「行く」の謙譲語です。ただし、敬意を示す相手に違いがあります。
「伺う」は、訪問する相手や行き先にいる人を立てる言葉です。「先生のご自宅へ伺います」のように使います。
「参る」は、自分が行くことを話し相手に丁寧に伝える言葉です。「明日、京都へ参ります」のように、行き先に敬意を示す相手がいない場合にも使えます。
| 言葉 | 使い方 | 例文 |
|---|---|---|
| 伺う | 訪問先の人を立てる | 午後に先生の研究室へ伺います。 |
| 参る | 自分が行くことを丁重に伝える | 明日は大阪へ参ります。 |
謙譲語・尊敬語・丁寧語の違い
謙譲語と間違えやすい言葉に、尊敬語と丁寧語があります。違いは「誰の動作を、どのように表すか」です。
| 種類 | 意味 | 使う動作 | 例 |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手側の動作を高めて表す | 相手側の動作 | 先生がおっしゃる |
| 謙譲語 | 自分側の動作を控えめに表す | 自分側の動作 | 私が申し上げる |
| 丁寧語 | 話全体を丁寧にする | 相手と自分の両方に使える | 言います |
同じ動作で比べた場合
| 元の言葉 | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 |
|---|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申す・申し上げる | 言います |
| 見る | ご覧になる | 拝見する | 見ます |
| 行く | いらっしゃる | 伺う・参る | 行きます |
| 食べる | 召し上がる | いただく | 食べます |
| する | なさる | いたす | します |
| いる | いらっしゃる | おる | います |
相手が行動するなら尊敬語、自分側が行動するなら謙譲語と考えると見分けやすくなります。「です」「ます」を付けて話を丁寧にするのが丁寧語です。
謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの違い
文化庁の「敬語の指針」では、謙譲語を「謙譲語Ⅰ」と「謙譲語Ⅱ」に分けています。謙譲語Ⅱは「丁重語」とも呼ばれます。
謙譲語Ⅰは動作の向かう先を立てる
謙譲語Ⅰは、自分側から相手側へ向かう動作に使います。その動作が向かう先の人に敬意を示します。
- 先生のところへ伺う
- お客さまに申し上げる
- 先輩の資料を拝見する
- お客さまを会場へご案内する
謙譲語Ⅱは自分側の動作を丁重に伝える
謙譲語Ⅱは、自分側の動作を話し相手に丁重に伝える言葉です。動作の向かう先に、敬意を示す人がいない場合にも使えます。
- 明日、京都へ参ります。
- 私は鈴木と申します。
- 担当者は別室におります。
- こちらで準備いたします。
初めは細かく分けすぎず、「伺う」と「参る」の違いを押さえておけば十分です。
謙譲語の作り方
謙譲語には、言葉そのものを置き換える方法があります。「見る」を「拝見する」、「会う」を「お目にかかる」とする形です。
もう一つは、「お」または「ご」を付けて、「する」につなげる方法です。
- 届ける → お届けする
- 渡す → お渡しする
- 知らせる → お知らせする
- 説明する → ご説明する
- 案内する → ご案内する
- 報告する → ご報告する
すべての言葉をこの形にできるわけではありません。迷ったときは、よく使われる決まった表現を確認するとよいでしょう。
初心者が間違えやすい謙譲語
相手の動作に謙譲語を使う
謙譲語は、基本的に自分側の動作に使います。相手の動作には尊敬語を使います。
誤:先生が申しました。
正:先生がおっしゃいました。
「申す」は、自分側の「言う」を表す謙譲語です。先生の動作を立てる場合は「おっしゃる」を使います。
相手に「拝見してください」と言う
「拝見する」は、自分が見るときに使う謙譲語です。相手に見てもらう場合は「ご覧ください」を使います。
誤:こちらの資料を拝見してください。
正:こちらの資料をご覧ください。
謙譲語を重ねすぎる
丁寧にしようとして、言葉を重ねすぎると分かりにくくなります。短くても、敬意は十分に伝えられます。
重ねすぎた例:明日、伺わせていただきます。
簡潔な例:明日、伺います。
「お」や「ご」を付ければ謙譲語になると考える
「お名前」は相手を立てる尊敬語として使われます。「お料理」は言葉を上品にする美化語です。
「お」や「ご」が付いていても、すべてが謙譲語になるわけではありません。言葉全体の意味と、誰のことを表しているかを確認しましょう。
謙譲語についてよくある質問
謙譲語は目上の人だけに使いますか?
目上の人だけに使うとは限りません。初めて会う人、お客さま、仕事で関係する人など、相手や場面に応じて使います。
上司にも謙譲語を使いますか?
上司に自分の行動を伝えるときは、謙譲語を使えます。「資料を拝見しました」「私からご報告します」などが例です。
ただし、上司本人の行動には尊敬語を使います。「部長がおっしゃいました」のように表します。
社外の人に上司のことを話すときはどうしますか?
社外の人に対しては、自分の上司も自分側として扱います。「部長の田中が申しておりました」のように、上司の行動を謙譲語で表すことがあります。
「です」「ます」は謙譲語ですか?
「です」「ます」は丁寧語です。自分側の動作を控えめにするのではなく、話や文章全体を丁寧にします。
「いただく」は謙譲語ですか?
「もらう」「食べる」「飲む」の意味で使う「いただく」は謙譲語です。「先生から資料をいただく」のように使います。
まとめ|謙譲語とは自分側の動作を控えめに表す敬語
謙譲語とは、自分や自分側の行動を控えめに表し、相手への敬意を示す言葉です。「伺う」「申し上げる」「拝見する」などがあります。
相手側の動作には尊敬語、自分側の動作には謙譲語を使うのが基本です。誰の動作なのかを考えると、尊敬語や丁寧語との違いを見分けやすくなります。
まずは、仕事や日常でよく使う言葉から覚えてみましょう。短く自然な表現を選ぶことが、伝わりやすい敬語につながります。
