かんたんに言うと、演繹法と帰納法とは、情報から答えを出すための2つの考え方です。
演繹法は、決まりを一つの出来事に当てはめて答えを出します。帰納法は、いくつかの事実を集め、共通する答えを考えます。
読み方は、演繹法が「えんえきほう」、帰納法が「きのうほう」です。この記事では、2つの違いや使い分けを、身近な具体例でわかりやすく解説します。
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演繹法と帰納法とは
演繹法と帰納法とは、どちらも物事を順序立てて考える方法です。ただし、答えを出すまでの道順が異なります。
- 演繹法:決まりから、一つの出来事について答えを出す
- 帰納法:いくつかの事実から、全体に当てはまりそうな答えを出す
たとえば、学校に「雨の日は体育館で授業をする」という決まりがあるとします。今日が雨なら、体育館で授業をすると判断できます。
これは、すでにある決まりを今日の出来事に当てはめているため、演繹法です。
一方、過去の雨の日を調べたところ、毎回体育館で授業をしていたとします。その事実から「雨の日は体育館で授業をするようだ」と考えるのが帰納法です。
演繹法と帰納法の違い
演繹法と帰納法の大きな違いは、何から考え始めるかです。
演繹法は決まりから始まります。帰納法は、実際に起きたいくつかの事実から始まります。
| 比べる点 | 演繹法 | 帰納法 |
|---|---|---|
| 考え始めるもの | 決まりや広く当てはまる考え | いくつかの事実や事例 |
| 考える方向 | 全体の決まりから一つの答えへ | 一つ一つの事実から全体の答えへ |
| 向いている場面 | 決まりをもとに判断するとき | 共通点やよくある動きを調べるとき |
| 答えの特徴 | 最初の決まりが正しければ、答えも正しくなる | 例外があり、必ず正しいとは限らない |
| 覚え方 | 決まりから答えへ | 事実を集めて答えへ |
演繹法では、最初に使う決まりが正しいかどうかが大切です。間違った決まりを使うと、そこから出した答えも間違います。
帰納法では、集めた事実の数や内容が大切です。少ない事例だけで全体を決めつけると、実際とは異なる答えになることがあります。
演繹法とは
演繹法とは、広く当てはまる決まりを一つの出来事に当てはめ、答えを出す方法です。
「決まりから答えへ進む方法」と覚えると分かりやすいでしょう。
演繹法の読み方
演繹法は「えんえきほう」と読みます。
「演繹」には、決まりをもとに、順序立てて答えを出すという意味があります。
演繹法ではどのように考えるのか
演繹法では、次の順番で考えます。
- 広く当てはまる決まりを確認する
- 目の前の出来事を確認する
- 決まりを当てはめて答えを出す
考える順番がはっきりしている点が、演繹法の特徴です。
演繹法の身近な具体例
次の例を見てみましょう。
- 冷凍庫に水を入れると凍る
- この容器の水を冷凍庫に入れた
- そのため、この容器の水は凍る
最初の「冷凍庫に水を入れると凍る」という決まりを、目の前の水に当てはめています。このような考え方が演繹法です。
三段論法も演繹法の一つ
三段論法とは、2つの情報を組み合わせて、1つの答えを出す方法です。演繹法の代表的な形として知られています。
- すべての人には食事が必要である
- 田中さんは人である
- そのため、田中さんには食事が必要である
広く当てはまる内容を、一人の人に当てはめて答えを出しています。
演繹法が使われる場面
演繹法は、決まりや条件がはっきりしている場面で使われます。
- 会社の決まりをもとに判断するとき
- 契約の条件を確認するとき
- 計算式を使って答えを出すとき
- 作業手順に沿って進めるとき
- 学校で習った公式を問題に当てはめるとき
仕事では、社内の決まりや作業手順をもとに、対応を決めるときに役立ちます。
演繹法のよい点
演繹法のよい点は、考える順番が分かりやすいことです。正しい決まりを使えば、安定した答えを出せます。
また、同じ決まりを使うことで、人による判断の違いを減らせます。
演繹法を使うときの注意点
演繹法では、最初に使う決まりが正しいかを確認する必要があります。
また、すべての出来事を一つの決まりだけで判断できるとは限りません。例外や別の条件がないかも確認しましょう。
帰納法とは
帰納法とは、いくつかの事実や事例を集め、共通点から全体に当てはまりそうな答えを出す方法です。
「事実を集めて答えへ進む方法」と覚えると分かりやすいでしょう。
帰納法の読み方
帰納法は「きのうほう」と読みます。
「帰納」には、いくつかの事実をまとめ、全体に当てはまりそうな答えを出すという意味があります。
帰納法ではどのように考えるのか
帰納法では、次の順番で考えます。
- いくつかの事実や事例を集める
- 共通する点を探す
- 全体に当てはまりそうな答えを出す
集める事実が多く、特定の種類にかたよっていないほど、答えを信用しやすくなります。
帰納法の身近な具体例
ある人が、次の事実を確認したとします。
- 今週の月曜日は電車が混んでいた
- 先週の月曜日も電車が混んでいた
- その前の月曜日も電車が混んでいた
これらの事実から「月曜日の朝は電車が混みやすい」と考えるのが帰納法です。
ただし、次の月曜日も必ず混むとは限りません。祝日や運休など、別の条件があるためです。
カラスを使った帰納法の例
帰納法では、カラスの例もよく使われます。
- 見かけたカラスが黒かった
- 別の場所で見たカラスも黒かった
- さらに別のカラスも黒かった
- そのため、カラスは黒いと考える
いくつかのカラスを見て、共通する特徴から全体についての答えを出しています。
ただし、まだ見ていないカラスもいます。帰納法で出した答えには、例外が見つかる可能性があります。
帰納法が使われる場面
帰納法は、いくつかの事例から共通点やよくある動きを調べる場面で使われます。
- アンケートの結果を調べるとき
- 商品の売れ方を調べるとき
- 利用者からの意見をまとめるとき
- 過去の失敗から原因を考えるとき
- 過去の出来事から今後を予想するとき
仕事では、売り上げや問い合わせの内容から、改善する点を考えるときに役立ちます。
帰納法のよい点
帰納法のよい点は、実際に起きた事実をもとに考えられることです。
まだ決まりがない場合でも、いくつかの事例から共通する点を見つけられます。
帰納法を使うときの注意点
帰納法で出した答えは、必ず正しいとは限りません。
集めた事実が少ない場合や、特定の種類にかたよっている場合は、実際とは異なる答えになることがあります。
たとえば、3人の意見だけを聞き、「全員が同じ考えだ」と判断するのは早過ぎます。できるだけ幅広く事実を集めることが大切です。
演繹法と帰納法の具体例
演繹法と帰納法は、同じ題材で比べると違いが分かりやすくなります。
学校の図書室を例にした違い
演繹法の考え方
- 図書室では静かにするという決まりがある
- 今いる場所は図書室である
- そのため、静かにする必要がある
帰納法の考え方
- 図書室にいる人は静かにしていた
- 別の日も、図書室の人は静かにしていた
- そのため、図書室では静かにする決まりがあるようだと考える
演繹法では、すでに知っている決まりを使います。帰納法では、見た事実から決まりのような答えを考えています。
商品の売れ方を例にした違い
演繹法の考え方
- 値下げすると商品が売れやすくなる
- この商品を値下げした
- そのため、この商品の売り上げは増えると考える
帰納法の考え方
- 商品Aは値下げ後に売り上げが増えた
- 商品Bも値下げ後に売り上げが増えた
- 商品Cも同じように売り上げが増えた
- そのため、値下げすると商品が売れやすくなると考える
実際の仕事では、演繹法と帰納法のどちらか一方だけを使うとは限りません。2つを組み合わせて考えることもあります。
演繹法と帰納法の覚え方
演繹法と帰納法は、考える方向で覚えると区別しやすくなります。
| 考え方 | 簡単な覚え方 |
|---|---|
| 演繹法 | 決まりから答えへ進む |
| 帰納法 | 事実を集めて答えへ進む |
演繹法は「全体から一つへ」
演繹法は、広く当てはまる決まりから、一つの出来事について答えを出します。
「全体の決まりから、一つの答えへ」と覚えましょう。
帰納法は「一つ一つから全体へ」
帰納法は、一つ一つの事実を集め、全体に当てはまりそうな答えを出します。
「一つ一つの事実から、全体の答えへ」と覚えましょう。
演繹法と帰納法はどう使い分ける?
演繹法と帰納法は、どちらか一方だけが優れているわけではありません。
目的や手元にある情報に合わせて使い分けます。
決まったルールがあるときは演繹法
会社の決まり、契約、計算式、作業手順などがある場合は、演繹法が向いています。
すでにある決まりを目の前の出来事に当てはめることで、判断しやすくなります。
共通点を調べるときは帰納法
決まったルールがなく、いくつかの事例から共通点を調べたい場合は、帰納法が向いています。
過去のデータや利用者の意見などを集め、よく見られる動きを探します。
演繹法と帰納法を組み合わせる
実際の問題解決では、2つの考え方を組み合わせることがあります。
まず、帰納法でいくつかの事実から共通点を見つけます。次に、その共通点を決まりのように使い、演繹法で別の出来事に当てはめます。
たとえば、過去の記録から「月末は問い合わせが増える」という共通点を見つけたとします。これは帰納法です。
その結果をもとに「今月も月末は問い合わせが増えるだろう」と考え、人員を増やします。これは演繹法に近い考え方です。
ビジネスで使われる演繹法と帰納法
演繹法と帰納法は、仕事で筋道を立てて考えるときにも使われます。
このように、情報を整理しながら考える方法は、ロジカルシンキングとも呼ばれます。
演繹法を使った仕事の例
会社に「10万円以上の商品を買うときは、上司の承認が必要」という決まりがあるとします。
- 10万円以上の購入には上司の承認が必要である
- 購入したい機器は15万円である
- そのため、上司の承認が必要である
会社の決まりから必要な手続きを判断しているため、演繹法です。
帰納法を使った仕事の例
利用者から、次のような問い合わせが多く届いたとします。
- 画面の文字が小さい
- ボタンの場所が分かりにくい
- 操作の説明が少ない
これらの意見から「画面の分かりにくさが、利用者の困りごとにつながっている」と考えます。
いくつかの事実から共通する問題を見つけているため、帰納法です。
演繹法と帰納法で間違えやすいこと
演繹法と帰納法は、どちらか一方だけを使うものではない
演繹法と帰納法は、考える方向が異なります。
ただし、どちらか一方しか使えないわけではありません。実際には、2つを行き来しながら考えることがあります。
演繹法なら必ず正しいとは限らない
演繹法では、最初に使う決まりが正しいことが大切です。
決まりが間違っている場合や、目の前の出来事が決まりに当てはまらない場合は、答えも正しくなりません。
帰納法の答えには例外がある
帰納法は、確認した事実から全体の答えを考える方法です。
まだ確認していない事例に、例外がある可能性は残ります。そのため、「必ずそうなる」と決めつけないことが大切です。
少ない事例だけで全体を決めつけない
1件や2件の事例だけで、全体について判断するのは早過ぎます。
帰納法を使うときは、できるだけ多くの事実を集め、特定の種類だけにかたよっていないかを確認しましょう。
演繹法や帰納法と似た考え方
三段論法と演繹法の違い
三段論法は、2つの情報から1つの答えを出す方法です。
演繹法は、決まりから一つの答えを出す考え方全体を指します。三段論法は、その中で使われる代表的な形です。
数学的帰納法と帰納法の違い
一般的な帰納法は、いくつかの事実から全体に当てはまりそうな答えを出します。
数学的帰納法は、ある計算や決まりが、1、2、3と続くすべての数で正しいことを確かめる方法です。
名前に「帰納法」が入っていますが、一般的な帰納法とは考え方が異なります。
原因を予想する考え方と帰納法の違い
起きたことから、ありそうな原因を考える方法を「アブダクション」といいます。
たとえば、道路がぬれているときに「雨が降ったのかもしれない」と考える方法です。
帰納法は、いくつかの事実から共通点を見つけます。アブダクションは、一つの出来事から、ありそうな原因を考える点が異なります。
演繹法と帰納法に関するよくある質問
演繹法と帰納法はどちらがよいですか
どちらか一方が、いつでも優れているわけではありません。
決まりから判断するときは演繹法が向いています。いくつかの事実から共通点を調べるときは帰納法が向いています。
演繹法と帰納法を簡単に見分ける方法はありますか
最初に何を使って考えているかを確認しましょう。
決まりから始まっていれば演繹法です。いくつかの事実から始まっていれば帰納法です。
演繹法と帰納法はどちらから覚えるべきですか
どちらから覚えても問題ありません。ただし、2つを並べて覚えると違いが分かりやすくなります。
- 演繹法は、決まりから答えへ進む
- 帰納法は、事実を集めて答えへ進む
演繹法と帰納法は誰が考えたのですか
演繹法や帰納法は、一人の人物だけが作ったものではありません。
演繹法は、古代ギリシャのアリストテレスによる考え方と深い関係があります。近代では、デカルトが演繹法を重視しました。
帰納法は、近代のフランシス・ベーコンが、観察や実験を重ねて答えを出す方法として重視しました。
演繹法と帰納法はビジネスで使えますか
演繹法と帰納法は、仕事の判断や問題解決で使えます。
会社の決まりから対応を決めるときは演繹法が役立ちます。売り上げや利用者の意見から共通点を探すときは帰納法が役立ちます。
演繹法と帰納法は一緒に使えますか
演繹法と帰納法は、一緒に使えます。
帰納法で共通点を見つけ、その結果を演繹法で別の出来事に当てはめる方法があります。
まとめ|演繹法と帰納法とは答えを出す道順が異なる考え方
演繹法と帰納法とは、どちらも情報から答えを出すための考え方です。ただし、考え始める場所が異なります。
- 演繹法:決まりから、一つの出来事について答えを出す
- 帰納法:いくつかの事実から、全体に当てはまりそうな答えを出す
演繹法は、会社の決まりや作業手順など、基準が決まっている場面に向いています。帰納法は、事例から共通点やよくある動きを見つける場面に向いています。
「演繹法は決まりから答えへ、帰納法は事実を集めて答えへ」と覚えると、簡単に見分けられます。

