ETLとは、別々の場所にある情報を集め、同じ形にそろえて、決められた場所へ保存する仕組みです。
かんたんに言うと、ばらばらの情報を集めて、使いやすい形に整える作業です。ITでは、売上金額や商品名、氏名、住所などの情報を「データ」と呼びます。
会社では、売上や顧客情報が複数のシステムに分かれていることがあります。ETLを使うと、それらのデータをまとめて、集計や分析、データ移行などに使いやすくできます。
この記事では、ETLの意味や処理の流れ、使われる場面を初心者向けに解説します。ETLツールや、似た言葉であるELT、EAIとの違いも説明します。
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ETLとは?かんたんに言うとデータを集めて整える仕組み
ETLとは、さまざまな場所から必要なデータを取り出し、使いやすい形に整えてから、保存先へ入れる仕組みです。
ここでいうシステムとは、会社の仕事を進めるために使うソフトや仕組みのことです。たとえば、売上を管理するシステムや、顧客情報を管理するシステムがあります。
ETLは何の略?日本語での意味
ETLは、次の3つの英単語の頭文字を組み合わせた言葉です。
- Extract:取り出す
- Transform:整える、変換する
- Load:保存先へ入れる
日本語では、「抽出・変換・格納」と表されます。
抽出とは、必要なデータを選んで取り出すことです。格納とは、データを決められた場所へ保存することです。
身近な例で考えるETL
ETLは、家計簿を作る作業に似ています。
銀行口座、クレジットカード、電子マネーの利用記録を集め、日付や金額の書き方をそろえ、最後に一つの家計簿へまとめます。
ITにおけるETLも同じです。別々の場所にあるデータを集め、同じルールに整えて、集計や分析に使いやすい場所へ保存します。
ETL処理とは?3つの流れをわかりやすく解説
ETL処理とは、データを取り出し、整えて、保存するまでの一連の作業です。
ETL処理は、Extract、Transform、Loadの順番で進みます。
Extract:必要なデータを取り出す
最初に、複数のシステムやファイルから必要なデータを取り出します。
たとえば、売上管理システムから売上金額を取り出し、顧客管理システムから氏名や住所を取り出します。
ExcelファイルやCSVファイルから取り出すこともあります。CSVファイルとは、表のデータを文字で保存するためによく使われるファイルです。
Transform:データを使いやすく整える
次に、取り出したデータの書き方や形をそろえます。
たとえば、「2026年7月1日」と「2026/07/01」のように、日付の書き方が異なる場合があります。このような違いを、どちらか一つの書き方にそろえます。
氏名の間に入っている余分な空白を消したり、円やドルなどのお金の単位をそろえたりする作業も含まれます。
Load:整えたデータを保存先に入れる
最後に、整えたデータを、集計や分析に使う保存場所へ入れます。
保存先には、データベースやデータウェアハウスなどが使われます。
データベースとは、多くの情報を整理して保存する仕組みです。データウェアハウスとは、会社が持つ多くのデータを、分析しやすい形でまとめて保存する場所です。
ETLは何のために使うのか
ETLの主な目的は、ばらばらのデータをまとめて、使いやすい形に整えることです。
集計や分析だけでなく、システムの入れ替えやデータの統合にも使われます。
別々の場所にあるデータをまとめるため
会社では、売上、在庫、顧客情報などが、別々のシステムに保存されていることがあります。
ETLを使うと、複数のシステムから必要なデータを集め、一つの場所で確認できます。
データの書き方をそろえるため
同じ内容でも、システムによって書き方が違うことがあります。
たとえば、電話番号にハイフンが入っている場合と、入っていない場合があります。ETLでは、このような違いを決められた形にそろえます。
集計や分析をしやすくするため
分析とは、売上の変化や商品の人気などを、データを使って調べることです。
データの形がそろっていると、売上の合計や顧客数などを正しく集計しやすくなります。
別のシステムへデータを移しやすくするため
システムを新しくするときは、古いシステムのデータを新しいシステムに合わせて移行する必要があります。
ETLを使うと、データの形を整えてから移せます。
ETLが使われる場面
ETLは、多くのデータを扱う会社や組織で使われています。
特に、複数のシステムからデータを集める場面で役立ちます。
店舗ごとの売上データをまとめる
全国に店舗がある会社では、店舗ごとに売上データが保存されていることがあります。
ETLを使うと、各店舗の売上を集め、本社で全体の売上を確認できます。
複数のサービスから顧客情報を集める
店舗、Webサイト、問い合わせ窓口などで、別々に顧客情報を管理している場合があります。
ETLを使って情報をまとめると、同じ顧客が重複して登録されていないか確認しやすくなります。
会社の経営状況を確認する
売上、費用、在庫などのデータをまとめると、会社全体の状況を確認できます。
担当者は、まとめられたデータを見ながら、今後の計画を考えます。
古いシステムから新しいシステムへデータを移す
システムを新しくするときは、古いシステムに保存されているデータを移す必要があります。
ETLを使うと、新しいシステムに合う形へデータを整えてから移せます。
ETL処理の具体例
売上データをまとめる場合
ある会社が、実店舗とWebサイトの両方で商品を販売しているとします。
実店舗ではExcel、Webサイトでは別のシステムに売上データが保存されています。
ETLでは、両方から売上データを取り出します。次に、日付や商品名、金額の書き方をそろえ、一つの保存先へ入れます。
これにより、実店舗とWebサイトを合わせた売上を確認できます。
顧客情報の書き方をそろえる場合
同じ人の名前が、「山田太郎」と「山田 太郎」のように登録されていることがあります。
ETLでは、余分な空白を取り除くなどのルールを使い、書き方をそろえます。
住所や電話番号の書き方も整えることで、同じ人を別の顧客として数える間違いを減らせます。
ETLツールとは
ETLツールとは、データの取り出し、変換、保存を行うためのソフトウェアやサービスです。
作業の流れをあらかじめ設定しておくと、決められた時間に自動で処理できます。
ETLツールでできること
ETLツールでは、複数のシステムやファイルからデータを集められます。
集めたデータの書き方をそろえたり、必要のないデータを取り除いたりすることもできます。
整えたデータを、データベースやデータウェアハウスへ保存することも可能です。
ETLツールを使うメリット
ETLツールを使うと、同じ作業を何度も手作業で行う必要がなくなります。
自動化とは、決めたルールに沿って、同じ作業をコンピューターに行わせることです。
処理のルールを決めておけば、担当者が変わっても同じ方法でデータを整えられます。
ETLツールの代表例
代表的なETLツールには、DataSpider Servista、ASTERIA Warp、Talend、Informaticaなどがあります。
AWS GlueやAzure Data Factoryのように、インターネット上で利用するサービスもあります。
製品ごとに、接続できるシステムや操作方法、費用が異なります。
ETLツールを選ぶときの確認ポイント
ETLツールを選ぶときは、現在使っているシステムと接続できるかを確認します。
扱えるデータの量や、操作の分かりやすさ、費用、問い合わせ窓口の有無も大切です。
有名な製品を選ぶのではなく、自社の目的に合っているかを確認しましょう。
ETLとELTの違い
ETLとELTの違いは、データを整えるタイミングです。
ETLはデータを整えてから保存し、ELTは先に保存してから整えます。
データを整える順番が違う
ETLは、Extract、Transform、Loadの順番で処理します。
ELTは、Extract、Load、Transformの順番です。
ELTでは、取り出したデータを先に保存先へ入れ、その保存先で必要に応じてデータを整えます。
ただし、ELTでも保存前に最低限の確認や形式変更を行う場合があります。
ETLとELTの処理の流れを比較
| 比較項目 | ETL | ELT |
|---|---|---|
| 処理の順番 | 取り出す、整える、保存する | 取り出す、保存する、整える |
| データを整える時期 | 保存する前 | 保存した後 |
| 向いている場面 | 必要な形に整えてから保存したい場合 | 大量のデータを先に保存したい場合 |
ETLとELTはどちらを選べばよい?
ETLとELTは、どちらか一方が必ず優れているわけではありません。
データの量や、使っている保存先、分析方法によって適した方法が変わります。
必要な形に整えてから保存したい場合はETLが向いています。大量のデータを先に集めて、後から使い方を決めたい場合はELTが向いています。
ETLとEAIの違い
ETLとEAIは、どちらも複数のシステムをつなぐ場面で使われます。
ただし、主な目的が異なります。
ETLはデータを集めて整える仕組み
ETLは、複数の場所にあるデータを集め、使いやすい形に整えて、決められた場所へ保存します。
売上分析や顧客分析だけでなく、データ移行やデータ統合にも使われます。
EAIはシステム同士をつなぐ仕組み
EAIとは、異なる業務システム同士をつなぎ、必要な情報をやり取りできるようにする仕組みです。
たとえば、注文システムに入力された内容を、在庫管理システムへ送る場合などに使われます。
EAIは、すぐに情報を送る場合もあれば、一定時間ごとにまとめて送る場合もあります。
| 比較項目 | ETL | EAI |
|---|---|---|
| 主な目的 | データを集めて使いやすく整える | システム同士をつなぐ |
| 主な使い方 | データをまとめて処理する | 必要な情報をシステム間で受け渡す |
| 利用例 | 売上分析、データ移行、データ統合 | 注文情報と在庫情報の連携 |
ETLとデータパイプラインの違い
データパイプラインとは、データを取り出してから保存するまでの一連の流れです。
パイプの中を水が流れるように、決められた順番でデータを運ぶイメージです。
ITでは、データの取り出し、移動、変換、保存などをまとめてデータパイプラインと呼びます。
ETLは、データパイプラインを作る方法の一つです。そのため、ETLとデータパイプラインは同じ意味ではありません。
ETLとデータウェアハウスの関係
ETLとデータウェアハウスは、データ分析で一緒に使われることが多い言葉です。
役割はそれぞれ異なります。
ETLはデータを集めて整える役割
ETLは、複数の場所からデータを集め、使いやすい形に整えます。
ETLそのものは、データを長期間保存する場所ではありません。
データウェアハウスは整えたデータを保存する場所
データウェアハウスは、ETLで整えたデータを保存する場所です。
ETLが荷物を集めて整理する作業だとすると、データウェアハウスは整理した荷物を保管する倉庫にあたります。
ITでは、この倉庫に保存したデータを使って、売上や顧客の動きを調べます。
ETLのメリット
手作業を減らせる
データを集めて整える作業を自動化できるため、担当者の作業を減らせます。
毎日や毎月など、決められた時間に同じ処理を行うこともできます。
データの書き方をそろえられる
日付、住所、電話番号などの書き方をそろえられます。
データの形がそろうため、集計や検索がしやすくなります。
集計の間違いを減らしやすい
同じルールでデータを整えるため、手作業による入力の間違いを減らせます。
重複したデータや、必要のないデータを取り除くこともできます。
必要なデータをまとめて確認できる
複数のシステムを一つずつ開かなくても、まとめられたデータを確認できます。
会社全体の状況を把握しやすくなります。
ETLの注意点
処理するデータが多いと時間がかかる
データの量が多い場合、取り出しや変換に時間がかかることがあります。
必要なデータだけを対象にするなど、処理方法を工夫することが大切です。
最初に処理のルールを決める必要がある
ETLを使う前に、どのデータを集め、どのような形に整えるかを決めます。
目的があいまいなまま進めると、使いにくいデータができることがあります。
元のデータに誤りがあると結果にも影響する
ETLは、元のデータを集めて整える仕組みです。
元のデータに間違いがある場合、すべてを自動で正しく直せるわけではありません。
入力時の確認や、処理後の点検も必要です。
ETLで初心者が間違えやすい点
ETLはデータの保存場所ではない
ETLは、データを集めて整え、保存先へ入れる処理です。
データを保存する場所そのものは、データベースやデータウェアハウスなどです。
ETLは新しいデータを作る仕組みではない
ETLは、新しいデータを生み出す仕組みではありません。
すでにあるデータを集め、使いやすい形に整える仕組みです。
ETLツールを入れるだけでは自動化できない
ETLツールを導入しても、すぐにすべての処理が自動になるわけではありません。
どのデータを集めるか、どのように整えるか、どこへ保存するかを設定する必要があります。
ETLは必ずリアルタイムで動くわけではない
リアルタイムとは、データが発生してから、ほとんど待たずに処理することです。
ETLは、夜間や1時間ごとなど、決められた時間にまとめて動くこともあります。
ETLとExcel作業は似ているが同じではない
Excelでも、データを集めて整えることはできます。
ただし、ETLは大量のデータを、決められたルールでくり返し処理する場面に向いています。
ETLファイルとは別の意味で使われることがある
パソコンや通信ソフトでは、ファイル名の末尾が「.etl」になっていることがあります。
ファイル名の末尾に付く、種類を表す文字を拡張子といいます。
拡張子が「.etl」のファイルは、Windowsなどの動作記録に使われるログファイルです。
ログファイルとは、パソコンやソフトが何をしたかを残す記録です。データを集めて整えるETL処理とは、別の意味で使われています。
ETLについてよくある質問
ETLとデータ連携は同じですか?
同じ意味ではありません。
データ連携は、システムやサービスの間でデータをやり取りすること全体を指します。ETLは、その中でもデータを集めて整え、保存する方法の一つです。
ETLとバッチ処理の違いは何ですか?
バッチ処理とは、決められた時間に、まとまった量のデータを一度に処理する方法です。
ETLを夜間にまとめて実行する場合、そのETL処理はバッチ処理でもあります。
ETLは処理の内容を表し、バッチ処理は処理の進め方を表します。
ETLにはプログラミングが必要ですか?
必ず必要とは限りません。
プログラミングとは、コンピューターに処理の手順を指示することです。
画面上で処理の流れを設定できるETLツールもあります。一方で、複雑な処理を行う場合は、プログラミングの知識が必要になることがあります。
ETLツールは無料で使えますか?
無料で使えるETLツールもあります。
ただし、会社で本格的に使う場合は、機能や問い合わせ対応が付いた有料製品を選ぶこともあります。
ETLはリアルタイムで処理できますか?
製品や仕組みによっては、データが発生した直後に近い時間で処理できます。
ただし、一定時間ごとにまとめて処理する方法も多く使われています。
ETLとELTはどちらが新しい仕組みですか?
一般には、ETLが先に広く使われ、後からELTが注目されるようになりました。
ただし、ELTが新しいから必ず優れているわけではありません。扱うデータや利用目的に合わせて選びます。
まとめ|ETLとはデータを集めて使いやすく整える仕組み
ETLとは、複数の場所からデータを取り出し、使いやすい形に整えて、決められた場所へ保存する仕組みです。
ETLは、Extract、Transform、Loadの3つの処理で構成されています。
- Extract:必要なデータを取り出す
- Transform:データの書き方や形を整える
- Load:整えたデータを保存先へ入れる
ETLを使うと、ばらばらのデータをまとめ、集計や分析、データ移行に使いやすくなります。
ETLとELTの主な違いは、データを整える順番です。ETLは整えてから保存し、ELTは保存してから整えます。
ETLは、会社が持つデータをまとめて活用するための大切な仕組みです。

