BCPとは、災害や感染症、サイバー攻撃などが起きても、会社の大事な仕事を続けるための計画です。
かんたんに言うと、「もしもの時に、何を優先して、誰が、どう動くか」を前もって決めておくことです。
たとえば、停電に備えて、懐中電灯やモバイルバッテリーを用意することがあります。BCPも、問題が起きた時に動けるよう、日ごろから準備しておく考え方です。
ただし、BCPは家庭の防災用品を用意することではありません。会社やお店、学校、病院などが、大事な仕事を続けるための計画です。
ここだけ読めば分かる
BCPとは、災害や大きなトラブルが起きても、重要な仕事を続けるための事業継続計画です。BCP対策は問題が起きる前の備え、BCP対応は問題が起きた後の行動を指します。
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BCPとは?かんたんに言うと事業を止めないための計画

BCPはBusiness Continuity Planの略
BCPは、「Business Continuity Plan」を短くした言葉です。読み方は「ビー・シー・ピー」です。
Businessは「事業」、Continuityは「続けること」、Planは「計画」を意味します。
そのため、BCPは「事業を続けるための計画」と考えると分かりやすいでしょう。
日本語では事業継続計画と呼ばれる
BCPは、日本語で「事業継続計画」と呼ばれます。
事業とは、会社やお店などが行う仕事のことです。継続とは、その仕事を続けることです。
つまり、事業継続計画とは、災害や大きなトラブルが起きても、重要な仕事を続けるための計画です。
会社をまったく止めない計画ではない
BCPは、会社のすべての仕事を、いつも通り続けるための計画ではありません。
災害や大きなトラブルが起きると、人や設備、時間が足りなくなることがあります。このような問題が起きた状態を「非常時」といいます。
非常時には、注文の受付、商品の発送、お客さんへの連絡など、特に大事な仕事を優先します。
どの仕事から先に行うかという順番を「優先順位」といいます。BCPでは、この優先順位を前もって決めておきます。
BCPが必要な理由と目的
重要な仕事をできるだけ続けるため
BCPの大きな目的は、会社にとって重要な仕事をできるだけ止めないことです。
会社には多くの仕事があります。その中には、止まるとお客さんや取引先に大きな影響が出る仕事もあります。
BCPでは、非常時にも続ける仕事を選び、優先する順番を決めておきます。
止まった仕事を早く元に戻すため
仕事が止まった時に、早く元の状態へ戻すこともBCPの目的です。
止まった仕事やシステムを元へ戻すことを「復旧」といいます。
どの仕事を先に戻すのか、誰へ連絡するのか、代わりの方法を使えるのかを決めておきます。
順番や担当者が決まっていれば、問題が起きた時にも動きやすくなります。
お客さんや取引先への影響を小さくするため
会社の仕事が長く止まると、お客さんや取引先にも影響が出ます。
商品が届かない、サービスが使えない、連絡が取れないといった問題が起こるためです。
BCPを用意しておけば、状況を早く伝えたり、代わりの方法を案内したりできます。
BCPが使われる主な場面
地震や大雨などの自然災害
地震、大雨、台風、洪水などが起きると、会社の建物を使えなくなることがあります。
道路や電車が止まり、社員が出社できない場合もあります。
BCPでは、別の場所で仕事をする方法や、在宅勤務へ切り替える方法を決めておきます。
感染症や人手不足
感染症が広がると、同じ時期に多くの人が休むことがあります。感染症とは、人から人へ広がることがある病気です。
担当者がいなくても仕事を続けられるよう、手順を共有し、代わりの担当者を決めます。
少ない人数でも続ける仕事を選んでおくことも大切です。
停電や通信障害
停電が起きると、パソコンや機械を使えなくなることがあります。
通信障害が起きると、電話やインターネットが使いにくくなる場合があります。
BCPでは、予備の電源や別の連絡方法、手作業へ切り替える方法などを考えておきます。
サイバー攻撃やシステム障害
サイバー攻撃とは、インターネットなどを使い、システムやデータに被害を与える行為です。
たとえば、許可を得ずにシステムへ入られたり、データを使えなくされたりすることがあります。
コンピューターウイルスによって、パソコンやシステムが正しく動かなくなることもあります。
また、機械の故障や操作の間違いによって、システム障害が起きる場合もあります。
BCPでは、システムが使えない時に、どの仕事を先に戻すかを決めておきます。
BCP対策とは?問題が起きる前に行う備え

BCP対策とは、災害やトラブルが起きる前に、仕事を続けるための準備をすることです。
計画書を作るだけではありません。担当者、連絡方法、代わりの設備なども決めておきます。
問題が起きていない、いつもの状態を「平常時」といいます。BCP対策は、主に平常時に行います。
| 言葉 | 意味 | 主に行う時期 |
|---|---|---|
| BCP対策 | 問題が起きる前に行う備え | 平常時 |
| BCP対応 | 問題が起きた後に計画に沿って動くこと | 非常時 |
| BCP訓練 | 計画どおりに動けるか確かめること | 平常時 |
| BCP研修 | BCPの知識や役割を学ぶこと | 平常時 |
重要な仕事と優先順位を決める
最初に、止まると特に困る仕事を選びます。
すべての仕事を同じように続けるのではなく、大事な仕事から順番を決めます。
たとえば、病院なら患者への対応、小売店なら注文の受付や商品の発送などが候補になります。
責任者と役割分担を決める
問題が起きた時に、誰が判断するのかを決めておきます。この判断を担当する人が責任者です。
責任者が不在の時に備えて、代わりに判断する人も決めます。
第一の責任者と連絡が取れない場合を考え、第二、第三の判断者まで順番を決めておくと動きやすくなります。
誰が何をするのかを決めることを「役割分担」といいます。役割が明確であれば、連絡や作業を進めやすくなります。
連絡先と連絡方法を決める
社員、取引先、設備の管理会社などの連絡先をまとめます。
電話が使えない場合に備え、メールや連絡用アプリなど、別の方法も決めておきます。
連絡先が古くなっていないか、定期的に確認することも大切です。
代わりの場所や方法を用意する
会社の建物を使えない時に、どこで仕事をするかを決めます。
別の事務所を使う、在宅勤務へ切り替える、紙で受付を行うなどの方法があります。
一つの方法だけに頼らず、複数の選択肢を用意しておくと対応しやすくなります。
データをバックアップする
大事なデータが消えたり、使えなくなったりした時に備えて、コピーを別の場所へ保存します。
このデータのコピーを保存することを、バックアップといいます。
元のデータと同じ機器だけに保存すると、機器が壊れた時に両方を使えなくなる場合があります。
別の機器や、会社から離れた場所へ保存する方法も考えておきましょう。
BCP対策の具体例
災害に備える例
災害に備える場合は、会社へ行けない状況を考えます。
在宅勤務の方法を決め、大事な書類を別の場所にも保管します。
社員が無事かどうかを確かめる方法も決めます。この確認を「安否確認」といいます。
感染症に備える例
感染症に備える場合は、出社できる人が少なくなる状況を考えます。
少ない人数でも続ける仕事を選び、担当者が休んだ時の代わりを決めます。
在宅でも仕事ができる環境を用意することも対策の一つです。
サイバー攻撃に備える例
サイバー攻撃に備える場合は、システムやデータを使えない状況を考えます。
データのバックアップを保存し、問題が起きた時の連絡先を決めておきます。
どの機器をネットワークから切り離すのか、どの順番で確認するのかも決めます。ネットワークとは、パソコンや機器をつなぐ仕組みです。
システム障害に備える例
システム障害に備える場合は、注文や会計などのシステムが止まる状況を考えます。
紙や表計算ソフトを使う代わりの方法を用意しておけば、最低限の仕事を続けられます。
元に戻すシステムの順番と、作業を担当する人も決めておきます。
BCP対応とは?問題が起きた後の行動

BCP対応とは、災害やトラブルが実際に起きた時に、作成したBCPに沿って行動することです。
被害の状況を確認し、優先する仕事、連絡する相手、使う場所や設備を決めます。
BCP対策とBCP対応の違い
BCP対策は、問題が起きる前の備えです。
BCP対応は、問題が起きた後に行う行動です。
たとえば、緊急連絡先を作ることはBCP対策です。実際にその連絡先を使って社員へ知らせることはBCP対応です。
BCPを使い始める目安
どのような状態になったらBCPを使うのか、前もって目安を決めておきます。この目安を「発動基準」といいます。
BCPを使い始めることを「BCPを発動する」と表す場合があります。発動とは、計画を使い始めることです。
- 会社の建物を使えなくなった
- 重要なシステムが長い時間止まった
- 多くの社員が出社できなくなった
- お客さんへのサービスを続けにくくなった
発動基準を決めておくと、BCPを使うべきか迷いにくくなります。
問題が起きた時の基本的な流れ
最初に、社員や利用者の安全と、被害の状況を確認します。
次に、責任者へ連絡し、BCPを使うかどうかを判断します。
- 社員や利用者の安全を確認する
- 建物やシステムの状況を確認する
- 責任者が対応方法を決める
- 重要な仕事を優先して続ける
- お客さんや取引先へ状況を伝える
- 止まった仕事を順番に元へ戻す
責任者自身が被害を受けたり、連絡を取れなかったりする場合に備えて、代わりに判断する人も決めておくことが大切です。
実際の順番や内容は、会社や業種によって変わります。
BCP訓練とは?計画どおりに動けるか確かめること

BCP訓練とは、作成した計画に沿って、本当に動けるかを確かめることです。
計画書を読むだけでは気づけない問題を見つけられます。
BCP訓練を行う目的
BCP訓練の目的は、計画に足りない点がないかを確認することです。
連絡先が古い、担当者が分からない、手順が複雑といった問題に気づけます。
訓練で見つかった問題を直し、BCPを使いやすくしていきます。
机上訓練とは
机上訓練は「きじょうくんれん」と読みます。
参加者が集まり、想定した状況への対応を話し合う訓練です。実際に大きく設備を動かすのではなく、話し合いで行動の流れを確認します。
たとえば、「大雨で半数の社員が出社できない場合、どう動くか」を考えます。
大がかりな準備が少ないため、初めてでも取り組みやすい訓練です。
安否確認や連絡の訓練
安否確認の訓練では、社員が無事かどうかを、決めた方法で確認します。
メール、電話、連絡用アプリなどを実際に使い、連絡が届くかを確かめます。
会社によっては、社員へ一斉に連絡し、回答をまとめられる「安否確認システム」を使う場合もあります。
返信がない人へ、どのように連絡するかも確認しておきます。
システム復旧の訓練
システム復旧の訓練では、システムが止まった状態を想定します。
バックアップからデータを戻せるか、代わりの機器へ切り替えられるかを確かめます。
作業に必要な時間を知ることも大切です。
訓練後に見直すポイント
訓練が終わったら、うまくできた点と問題があった点を整理します。
担当者、連絡先、手順、必要な道具などを確認します。
- 連絡は予定どおり届いたか
- 誰が判断するか分かったか
- 手順に分かりにくい部分はなかったか
- 必要な設備や道具はそろっていたか
- 決めた時間内に対応できたか
見つかった問題を計画へ反映することで、BCPが使いやすくなります。
BCP研修とは?BCP訓練との違い
BCP研修では知識や役割を学ぶ
BCP研修とは、BCPの目的や内容を学ぶ取り組みです。
なぜBCPが必要なのか、自分は何を担当するのかを確認します。
新しく入った社員や、担当が変わった社員に内容を伝える時にも役立ちます。
BCP訓練では実際の動きを確認する
BCP研修は、BCPの知識を学ぶことが中心です。
一方、BCP訓練は、連絡や対応を実際に試すことが中心です。
| 比較項目 | BCP研修 | BCP訓練 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 知識や役割を学ぶ | 計画どおりに動けるか確かめる |
| 主な内容 | 説明、資料、動画、話し合い | 連絡、判断、復旧作業など |
| 分かること | BCPの目的や自分の役割 | 計画の問題点や改善点 |
研修で内容を学び、訓練で実際の動きを確かめると、BCPへの理解が深まります。
BCPの作り方を5つの手順で解説
1.重要な仕事を選ぶ
最初に、止まると大きな影響が出る仕事を選びます。
売り上げだけでなく、お客さんの安全や生活に関わる仕事も優先します。
重要な仕事を絞ることで、人や設備が少ない時にも対応しやすくなります。
2.起こり得る問題を考える
次に、仕事を止める原因を考えます。
地震、停電、感染症、サイバー攻撃、機器の故障などがあります。
地域や業種によって起こりやすい問題は異なるため、自社に合う内容を選びます。
3.目標と優先順位を決める
どの仕事を、いつまでに戻すのかを決めます。
すべてを同時に元へ戻すのではなく、重要な仕事から順番を付けます。
「3時間以内に受付を再開する」など、具体的に決めると判断しやすくなります。
4.担当者と代わりの方法を決める
誰が判断し、誰が作業するのかを決めます。
担当者が不在になる場合も考え、代わりの人も選びます。
第一の判断者と連絡が取れない時に備えて、第二、第三の判断者まで決めておくと安心です。
建物やシステムを使えない時の代わりの方法も用意します。
5.訓練して定期的に見直す
BCPを作ったら、訓練で内容を確かめます。
社員、設備、取引先、システムは変わるため、古い計画のままでは使いにくくなることがあります。
定期的に確認し、現在の仕事に合う内容へ直すことが大切です。
BCPと似た言葉の違い
BCPとBCMの違い
BCPは、非常時に事業を続けるための計画です。
BCMは、「Business Continuity Management」の略です。日本語では「事業継続マネジメント」と呼ばれます。
マネジメントとは、物事がうまく進むように管理することです。
BCMは、BCPを作り、訓練し、見直し続ける取り組み全体を指します。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| BCP | 事業を続けるための計画 |
| BCM | BCPを作り、訓練し、見直す取り組み全体 |
BCPと防災マニュアルの違い
防災マニュアルは、人の安全を守るための行動をまとめたものです。
避難する場所や、火災が起きた時の対応などを決めます。
BCPも人の安全を大切にしますが、その後に仕事をどう続けるかまで考えます。
防災マニュアルとBCPは、目的が一部重なりますが、同じものではありません。
BCPとDRの違い
DRは、「Disaster Recovery」の略です。日本語では「災害復旧」と呼ばれます。
DRは、主にITシステムやデータを元へ戻すための考え方です。
BCPは会社や組織の仕事全体を対象にします。DRは、BCPの中でもITの復旧に重点を置いています。
| 言葉 | 主な対象 | 目的 |
|---|---|---|
| BCP | 会社や組織の仕事全体 | 重要な仕事を続ける |
| DR | ITシステムやデータ | システムやデータを元へ戻す |
BCPで初心者が間違えやすい点
BCPは防災だけを考える計画ではない
BCPは、地震や台風だけに備える計画ではありません。
感染症、停電、サイバー攻撃、人手不足、取引先の停止なども対象になります。
仕事を続けにくくする原因を広く考えることが大切です。
BCPは大企業だけのものではない
BCPは、大きな会社だけが作るものではありません。
小さな会社やお店にも、止まると困る仕事があります。
会社の規模が小さい場合は、重要な仕事、連絡先、担当者、代わりの方法から決めると取り組みやすくなります。
BCPは作って終わりではない
BCPは、一度作れば終わりではありません。
社員や設備、使うシステムが変わると、以前の計画が合わなくなることがあります。
訓練と見直しを続け、実際に使える状態にしておくことが大切です。
すべての仕事を通常どおり続ける計画ではない
非常時に、すべての仕事を普段どおり行うのは難しい場合があります。
BCPでは、限られた人や設備で何を優先するかを決めます。
重要な仕事を守るために、一部の仕事を一時的に止める判断も必要です。
BCPとは何かに関するよくある質問
BCPは何の略ですか?
BCPは、「Business Continuity Plan」の略です。
日本語では「事業継続計画」と呼ばれます。
BCPと事業継続計画は同じ意味ですか?
BCPと事業継続計画は、基本的に同じ意味です。
BCPは英語を短くした呼び方で、事業継続計画は日本語での呼び方です。
BCP対策では何をしますか?
重要な仕事、担当者、連絡先、代わりの場所や方法などを決めます。
データのバックアップや、訓練の実施もBCP対策に含まれます。
BCP対応とは何ですか?
BCP対応とは、問題が起きた時に、作成したBCPに沿って行動することです。
被害を確認し、重要な仕事を続け、止まった仕事を順番に元へ戻します。
BCP訓練とBCP研修は何が違いますか?
BCP研修は、BCPの知識や自分の役割を学ぶ取り組みです。
BCP訓練は、実際に連絡や対応を行い、計画どおりに動けるかを確かめる取り組みです。
中小企業にもBCPは必要ですか?
中小企業にもBCPは役立ちます。中小企業とは、大企業より規模が小さい会社のことです。
大がかりな計画から始める必要はありません。重要な仕事、連絡先、担当者、代わりの方法を決めるところから始められます。
BCPは介護や医療でも使われますか?
BCPは、介護、医療、保育、製造、物流、ITなど、さまざまな分野で使われます。
介護サービス事業者には、感染症や自然災害が起きた時に備えたBCPの作成や、研修・訓練などが求められています。
医療分野でもBCPは重要ですが、施設の種類や役割によって求められる内容は異なります。
専門的な計画を作る時は、厚生労働省や自治体などが公開している最新の資料を確認してください。
BCPのひな形をそのまま使ってもよいですか?
ひな形とは、最初から基本の形が用意された見本のことです。
ひな形は、BCPを作り始める時の参考になります。
ただし、重要な仕事や設備、社員数は会社によって異なります。そのまま使わず、自社の状況に合わせて直すことが大切です。
まとめ|BCPとは、もしもの時に事業を続けるための計画
BCPとは、災害や感染症、サイバー攻撃などが起きても、重要な仕事を続けるための計画です。
「Business Continuity Plan」の略で、日本語では「事業継続計画」と呼ばれます。
BCP対策では、重要な仕事、担当者、連絡方法、代わりの場所や手順を決めます。
責任者と連絡が取れない場合も考え、第二、第三の判断者まで決めておくことが大切です。
問題が起きた時はBCPに沿って対応し、重要な仕事を優先して続けます。
また、計画を作るだけでなく、研修や訓練を行い、定期的に見直すことが大切です。
一言でいうと
BCPとは、「もしもの時でも、大事な仕事を続けるための計画」です。

