エージェンティックコマースとは?仕組みや事例をわかりやすく解説

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エージェンティックコマースとは何かを初心者向けに説明した画像

エージェンティックコマースとは、AIが人に代わって商品を探し、比較や購入を手伝う仕組みです。

かんたんに言うと、「欲しいものの条件を伝えると、AIが買い物を進めてくれる仕組み」です。

これまでのネット通販では、自分で商品を検索し、価格や機能を比べる必要がありました。エージェンティックコマースでは、その作業の一部をAIに任せられます。

ただし、AIが必ず勝手に商品を買うわけではありません。購入前に人が内容を確認する仕組みもあります。

この記事では、エージェンティックコマースの意味や仕組み、従来のネット通販との違いを解説します。具体例や企業の取り組み、メリット、利用するときに知っておきたい点も紹介します。

関連するIT用語・ビジネス用語をまとめて確認したい方は、IT用語・ビジネス用語一覧もあわせてご覧ください。

目次

エージェンティックコマースとは

エージェンティックコマースとは、AIエージェントが利用者の希望を理解し、商品の検索や比較、購入などを手伝う仕組みです。

英語では「Agentic Commerce」と書きます。「エージェントコマース」と呼ばれる場合もあります。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、人から伝えられた目的に合わせて、必要な作業を考え、順番に進めるAIです。

一般的な会話型AIは、質問を入力すると回答を返します。一方、AIエージェントは、回答するだけでなく、情報を探したり、複数の候補を比べたりできます。

たとえば、「5万円以内で軽いノートパソコンを探して」と伝えたとします。AIエージェントは、条件に合う商品を探し、価格や重さなどの違いを整理します。

身近な買い物に例えると

エージェンティックコマースは、希望に合う商品を一緒に探してくれる店員に似ています。

家電量販店で「大学の授業に使える、軽くて安いパソコンが欲しい」と伝えると、店員が条件に合う商品を探してくれます。

エージェンティックコマースでは、この案内役をAIが担当します。

ただし、実際にできることはサービスによって異なります。商品を提案するだけの場合もあれば、注文や支払いの手続きまで手伝う場合もあります。

エージェンティックコマースの仕組み

エージェンティックコマースでは、利用者が伝えた希望や条件を基に、AIが買い物に必要な作業を進めます。

基本的な流れを見ていきましょう。

1.利用者が希望や条件を伝える

最初に、欲しい商品や予算、使い方などをAIに伝えます。

たとえば、「1万円以内で、手入れが簡単なコーヒーメーカーを探して」と伝えます。

商品名が分からなくても問題ありません。「旅行に持って行ける軽い充電器」のように、使う目的を伝えることもできます。

2.AIエージェントが商品を探す

AIエージェントは、インターネット上のお店などから商品を探します。

商品名だけでなく、価格、機能、在庫、配送日なども調べます。

在庫とは、お店に残っていて、購入できる商品の数や状態のことです。

3.条件に合う商品を比べる

AIエージェントは、見つけた商品の中から、利用者の希望に近いものを選びます。

価格だけでなく、機能、重さ、大きさ、配送日なども比べます。

利用者は、複数の商品ページを一つずつ開かなくても、主な違いを確認できます。

4.商品を提案する

AIエージェントは、条件に合う商品と、その商品を選んだ理由を示します。

たとえば、「最も軽い商品」「価格を優先した商品」「機能が多い商品」のように分けて提案できます。

5.利用者が確認して購入する

利用者は、商品名、価格、個数、配送先などを確認します。

内容に問題がなければ、注文や支払いの手続きへ進みます。

サービスによっては、あらかじめ決めた金額や条件の範囲で、AIが手続きを進める場合もあります。

エージェンティックコマースでできること

エージェンティックコマースでは、商品の検索だけでなく、買い物に関わるさまざまな作業を手伝えます。

目的に合う商品を探す

利用者が伝えた目的や条件を基に、商品を探します。

「商品名は分からないが、何に使いたいかは決まっている」という場合にも役立ちます。

価格や機能を比べる

複数の商品について、価格や機能などの違いを整理します。

送料を含めた金額や、いつ届くかまで比べられる場合もあります。

利用者に合う商品を選ぶ

予算や使い方を基に、条件に近い商品をしぼります。

単に売れている商品を表示するのではなく、利用者が伝えた希望に合わせて選ぶ点が特徴です。

注文や支払いを手伝う

対応しているサービスでは、商品を買い物かごに入れ、注文に必要な情報をまとめます。

支払いの前に、利用者が内容を確認できる仕組みもあります。

購入後の確認を手伝う

注文した商品の配送状況を調べたり、注文内容を確認したりする使い方も考えられます。

将来は、返品や交換などの手続きにも利用が広がる可能性があります。

従来のネット通販との違い

従来のネット通販とエージェンティックコマースの大きな違いは、誰が買い物の作業を進めるかです。

比べる点従来のネット通販エージェンティックコマース
商品の探し方人が検索する言葉を入力するAIに目的や希望を伝える
商品の比較人が商品ページを見て比べるAIが主な違いを整理する
候補の選択人が自分で候補をしぼるAIが条件に合う候補を示す
注文手続き人が画面を操作するAIが手続きを手伝う場合がある
人が行うこと検索から購入まで進める希望を伝え、提案内容を確認する

従来のネット通販は人が商品を探す

従来のネット通販では、利用者が検索する言葉を考えます。

その後、複数の商品ページを開き、価格や機能などを自分で比べます。

候補が多い場合は、商品を探すだけでも時間がかかります。

エージェンティックコマースはAIが買い物を手伝う

エージェンティックコマースでは、利用者は希望や目的をAIに伝えます。

AIが商品を探し、違いを整理するため、利用者は候補の確認や最終的な判断に集中できます。

エージェンティックコマースの具体例

エージェンティックコマースが使われる場面を、身近な例で紹介します。

条件に合うパソコンを探してもらう例

大学生が「レポート作成に使える、10万円以内の軽いパソコンを探して」とAIに伝えます。

AIは、価格、重さ、画面の大きさ、電池が使える時間などを比べます。

そのうえで、条件に近いパソコンをいくつか提案します。

複数のお店の価格を比べてもらう例

利用者が「同じ型の掃除機を、送料を含めた価格で比べて」と伝えます。

AIは複数のお店を調べ、支払う合計金額や配送日の違いを整理します。

旅行に必要な商品を探してもらう例

利用者が「2泊3日の旅行に必要な、軽い雨具と小さな充電器を探して」と伝えます。

AIは、利用目的に合う商品を組み合わせて提案します。

会社で使う商品を注文する例

会社で使うコピー用紙や文房具が少なくなったとき、AIが必要な商品を探します。

決められた予算や数量に合う商品を選び、担当者の確認後に注文を進める使い方が考えられます。

このような会社同士の売り買いを「BtoB」といいます。BtoBとは、会社が別の会社から商品やサービスを買う取引のことです。

エージェンティックコマースに取り組む企業の事例

エージェンティックコマースは、新しいサービスや共通ルールの開発が進んでいる分野です。

ここでは、2026年7月時点で公表されている主な企業の取り組みを紹介します。

Googleの事例

Googleは、AIとインターネット上のお店などをつなぐ「UCP」という共通ルールの開発を進めています。

UCPは、商品の発見から注文、その後の対応までを共通の方法でつなぐことを目指す仕組みです。

また、GoogleはWalmartと協力し、GoogleのAIサービスからWalmartの商品を探して購入できる買い物体験を進めています。

Visaの事例

クレジットカードなどの支払いを支えるVisaは、「Visa Intelligent Commerce」という取り組みを進めています。

これは、AIエージェントが商品の検索や購入を行うときに、安全に支払いを進められるようにする仕組みです。

AIエージェントが正しいものであるかを確認し、不正な操作を防ぎやすくするための取り組みも含まれています。

Stripeの事例

Stripeは、インターネット上の支払いを処理するサービスを提供する会社です。

支払いを処理するサービスとは、クレジットカードなどから代金を受け取り、お店へ渡すための仕組みです。

StripeはOpenAIと共同で、AIから商品の注文や支払いを進めるための「ACP」を開発しています。

Walmartの事例

Walmartは、米国を中心に商品を販売する大手の会社です。

買い物を手伝うAI「Sparky」を提供し、商品の検索や比較、利用者に合った商品の提案などに活用しています。

また、ChatGPTやGoogleのAIサービスを通じて商品を購入できる仕組みも進めています。

Shopifyの事例

Shopifyは、インターネット上のお店を作るためのサービスです。

商品を売る会社が、AIを通じて商品を見つけてもらい、購入につなげられる仕組みへの対応を進めています。

日本での取り組み

日本でも、小売業、支払いに関わる会社、IT企業などがエージェンティックコマースに注目しています。

小売業とは、商品を一般の利用者へ販売する仕事のことです。スーパーマーケット、家電量販店、ネットショップなどが当てはまります。

ただし、エージェンティックコマースは、まだ新しい分野です。日本で利用できる機能や対応するお店は、サービスによって異なります。

エージェンティックコマースを支えるUCPとACP

エージェンティックコマースを広げるには、AIとお店が同じ方法で情報をやり取りできる仕組みが必要です。

そのための代表的な共通ルールが、UCPとACPです。

共通ルールが必要な理由

会社やサービスごとに、商品の情報や注文の方法がまったく異なると、AIはそれぞれに合わせた仕組みを用意しなければなりません。

共通ルールがあれば、異なる会社やサービスでも、同じような方法で情報をやり取りしやすくなります。

UCPとは

UCPは「Universal Commerce Protocol」の略です。

初心者向けに言うと、AIとさまざまなお店をつなぎ、買い物全体を進めるための共通ルールです。

商品の検索、買い物かごへの追加、注文、配送状況の確認など、買い物に関わる広い範囲をつなぐことを目指しています。

ACPとは

ACPは「Agentic Commerce Protocol」の略です。

初心者向けに言うと、AIがお店へ注文し、支払いを進めるための共通ルールです。

AIを使うサービスと商品を売るお店が、注文に必要な情報を安全にやり取りできるようにします。

UCPとACPの違い

用語やさしい説明主に扱う範囲
UCPAIとさまざまなお店を広くつなぐ共通ルール商品探し、注文、購入後の確認など
ACPAIが注文や支払いを進めるための共通ルール買い物かご、注文、支払いなど

かんたんに分けると、UCPは買い物全体をつなぐ広いルール、ACPは注文や支払いに重点を置いたルールです。

ただし、どちらも開発が進んでいる新しい仕組みです。今後、できることや利用される場面が変わる可能性があります。

エージェンティックコマースのメリット

エージェンティックコマースには、買い物をする人と商品を売る会社の両方にメリットがあります。

商品を探す手間を減らせる

利用者は、検索する言葉を何度も変えながら商品を探す必要がありません。

予算や使い方を普段の言葉で伝えることで、AIが条件に合う商品を探します。

多くの商品を比べやすい

AIが商品の違いを整理するため、多くの候補を比べやすくなります。

価格だけでなく、機能、重さ、配送日などもまとめて確認できます。

商品名を知らなくても探せる

利用者は、欲しい商品の正しい名前を知らなくても、使う目的から探せます。

たとえば、「高齢の家族でも使いやすい、ボタンが大きな電話」のように伝えられます。

自分に合う商品を見つけやすい

利用目的や希望する条件を細かく伝えることで、自分に合う商品を見つけやすくなります。

人気だけでなく、利用者が大切にしている条件を基に候補を選べます。

商品を売る会社は新しい利用者に出会える

商品を売る会社は、自社の商品をAIに見つけてもらえる可能性があります。

自社のウェブサイトを直接訪れない人にも、商品を知ってもらう機会が生まれます。

エージェンティックコマースの課題

便利な仕組みを広げるには、利用者が内容を確認しながら使える環境が大切です。

主な課題を見ていきましょう。

希望が正しく伝わらない場合がある

利用者が伝えた条件があいまいな場合、希望とは異なる商品が提案されることがあります。

予算、使う目的、必要な機能など、大切な条件は具体的に伝えることが重要です。

商品情報が正しいとは限らない

価格や在庫、配送日などは、短い時間でも変わる場合があります。

購入前には、販売ページに書かれている最新の内容を確認することが大切です。

購入前の確認方法を決める必要がある

どこまでAIに任せ、どの段階で人が確認するかを決める必要があります。

特に高額な商品では、購入前に商品名、価格、個数などを確認できる仕組みが大切です。

個人情報や支払い情報を守る必要がある

商品の購入には、氏名、住所、支払い方法などの情報が必要です。

AIやお店が、これらの情報を安全に扱うための仕組みが欠かせません。

問題が起きたときの問い合わせ先を明確にする必要がある

注文した商品が違っていた場合や、商品が届かなかった場合の対応方法を決める必要があります。

AIのサービス、お店、支払いを扱う会社のうち、どこへ連絡すればよいのかを分かりやすくすることが求められます。

エージェンティックコマースと似た言葉の違い

エージェンティックコマースには、よく似た言葉があります。

初心者が混同しやすい言葉との違いを整理します。

AIショッピングとの違い

AIショッピングは、AIを使った買い物全般を表す広い言葉です。

AIが商品をおすすめしたり、商品についての質問に答えたりする機能も、AIショッピングに含まれる場合があります。

エージェンティックコマースは、AIが商品を探し、比較し、注文を手伝うなど、複数の作業を続けて進める点が特徴です。

エージェントコマースとの違い

エージェントコマースとエージェンティックコマースは、ほぼ同じ意味で使われることがあります。

どちらも、AIエージェントが商品の検索や比較、購入などを手伝う仕組みを表します。

会社やサービスによって呼び方が異なるため、必ず別の仕組みを表すわけではありません。

エージェンティックAIとの違い

エージェンティックAIとは、目的に合わせてAIが必要な作業を考え、進める仕組み全般のことです。

買い物だけでなく、情報収集、資料作成、予定の管理などにも使われます。

エージェンティックコマースは、エージェンティックAIを買い物に利用する仕組みです。

チャットボットとの違い

チャットボットとは、利用者が入力した質問に自動で答える仕組みです。

多くのチャットボットは、質問への回答や案内を中心に行います。

エージェンティックコマースでは、会話だけでなく、商品の検索、比較、注文などの作業も進めます。

おすすめ機能との違い

ネット通販には、過去に見た商品などを基に、おすすめの商品を表示する機能があります。

おすすめ機能は、利用者に商品を見せることが中心です。

エージェンティックコマースは、目的を聞き、商品を探し、比較や注文まで手伝う点が異なります。

エージェンティックコマースについて初心者が間違えやすい点

AIが勝手に商品を買う仕組みとは限らない

エージェンティックコマースでは、AIがすべてを自動で決めるとは限りません。

商品を提案するだけの場合や、購入直前に利用者の確認を求める場合もあります。

AIが提案した商品が必ず最適とは限らない

AIは、与えられた情報を基に商品を探します。

利用者の希望が十分に伝わっていなければ、合わない商品が提案されることもあります。

最後は、利用者自身が商品や条件を確認することが大切です。

すべてのお店で利用できるわけではない

AIが商品情報を調べ、注文を進めるには、お店側の対応が必要です。

そのため、すべての商品やネットショップですぐに利用できるわけではありません。

商品をおすすめするAIと同じではない

商品を画面に表示するだけのおすすめ機能とは、できることが異なります。

エージェンティックコマースは、利用者の目的に合わせて、複数の作業を続けて進める仕組みです。

エージェンティックコマースについてよくある質問

エージェンティックコマースを日本語で言うと何ですか?

広く決まった日本語訳はありません。

初心者向けには、「AIが買い物を手伝う仕組み」や「AIが商品探しや購入を進める仕組み」と説明できます。

エージェントコマースとは同じ意味ですか?

ほぼ同じ意味で使われる場合があります。

どちらも、AIエージェントが商品の検索、比較、購入などを手伝う仕組みを表します。

AIが自動で支払いまで行うのですか?

どこまで自動で進めるかは、サービスによって異なります。

AIが注文の準備まで進める場合もあれば、支払い前に利用者が確認する場合もあります。

エージェンティックコマースは日本でも利用できますか?

日本でも関連するサービスや取り組みが広がると考えられます。

ただし、利用できる機能や対応するお店は、サービスによって異なります。利用前に公式の案内を確認しましょう。

会社同士の取引でも使えますか?

エージェンティックコマースは、一般の買い物だけでなく、会社同士の取引にも利用できます。

決められた予算や条件を基に、事務用品や材料などを探し、注文を手伝う使い方が考えられます。

エージェンティックコマースは安全ですか?

安全性は、利用するAIやお店、支払い方法によって異なります。

購入前に商品名や金額を確認し、信頼できるサービスを利用することが大切です。

普通のネット通販はなくなるのですか?

エージェンティックコマースが広がっても、普通のネット通販がすぐになくなるとは限りません。

自分で商品を探す方法と、AIに手伝ってもらう方法を、目的に合わせて選べるようになると考えられます。

まとめ|エージェンティックコマースとはAIが買い物を手伝う仕組み

エージェンティックコマースとは、AIエージェントが利用者の希望を理解し、商品の検索や比較、購入などを手伝う仕組みです。

従来のネット通販では、人が自分で商品を検索し、価格や機能を比べていました。エージェンティックコマースでは、その作業の一部をAIに任せられます。

商品を探す手間を減らし、自分に合う商品を見つけやすくなる点がメリットです。

一方で、AIの提案が希望に合っているか、商品情報や購入金額が正しいかを確認することも大切です。

AIとお店をつなぐ共通ルールが広がれば、希望を伝えるだけで買い物を進められるサービスが、今後さらに増える可能性があります。

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