忖度とは、相手が言葉にしていない気持ちや考えを、周りの様子から想像することです。
簡単に言うと、「相手はきっと、こうしてほしいのだろう」と考えることです。読み方は「そんたく」です。
忖度は、本来は悪い意味の言葉ではありません。ただし、現在は立場が上の人に気を使い、その人に都合のよい行動をするという意味でも使われています。
この記事では、忖度の意味や使い方を初心者向けに解説します。「忖度する」「忖度なし」の意味や、配慮・ごますりなどの似た言葉との違いも見ていきましょう。
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忖度とは?意味を簡単に言うと
忖度とは、相手の気持ちや考えを推し量ることです。推し量るとは、相手の言葉や様子を手がかりにして、考えていることを想像することです。
ポイントは、相手が自分の希望をはっきりと言っていないことです。言われたとおりに行動するだけでは、基本的に忖度とはいいません。
たとえば、家族が冷蔵庫を見ながら「飲み物が少なくなったね」と言ったとします。それを聞いて、「飲み物を買ってきてほしいのだろう」と考えることが忖度です。
家族は「買ってきて」とは言っていません。しかし、言葉や様子から希望を想像しています。
仕事でも同じです。上司や取引先がはっきりと言っていない考えを読み取り、先回りして対応することを忖度と表す場合があります。
忖度の読み方は「そんたく」
忖度の読み方は「そんたく」です。「忖」を「そん」、「度」を「たく」と読みます。
普段はあまり見かけない漢字なので、「そんど」などと読み間違える人もいます。読み方と意味を一緒に覚えると分かりやすいでしょう。
忖度の本来の意味
忖度の本来の意味は、他人の気持ちや考えを想像することです。相手の考えに従ったり、相手のために行動したりすることまでは、本来の意味に含まれていません。
たとえば、「相手は困っているのではないか」と考えることが忖度です。その後に相手を助けるかどうかは、別の判断になります。
ただし、現在は相手の考えを想像し、その考えに合わせて行動することまで含めて「忖度する」と表す場合があります。
身近な例で分かる忖度
友人と昼食を食べに行く場面を考えてみましょう。友人が「昨日は揚げ物をたくさん食べた」と話したため、今日はあっさりした料理の店を選んだとします。
友人は「あっさりした料理が食べたい」とは言っていません。それでも、友人の言葉から希望を想像しています。
これが忖度の基本的な考え方です。ただし、想像が正しいとは限らないため、大切なことは本人に確認した方がよいでしょう。
忖度は悪い意味?良い意味でも使える?
忖度は、本来は悪い意味だけを持つ言葉ではありません。相手の気持ちを想像するという、良い意味にも悪い意味にも決まっていない言葉です。
一方、現在の会話やニュースでは、よくない意味で使われることがあります。立場が上の人に気を使い、その人に有利な判断をする場面などです。
本来は悪い意味の言葉ではない
相手の気持ちを想像すること自体は、悪いことではありません。言葉にされていない希望に気づくことで、相手を助けられる場合もあります。
たとえば、忙しそうな人を見て、「今は話しかけない方がよいだろう」と考えることがあります。これも相手の状態を想像した行動です。
このような場面では、忖度は「気遣い」に近い良い意味を持ちます。
悪い意味で使われる場合
忖度が悪い意味になるのは、相手の立場や力を気にして、判断を変える場合です。特に、誰かだけを特別扱いせずに判断する必要がある場面では、問題になることがあります。
たとえば、上司が高く評価している案だからという理由だけで、問題点を指摘しない場合です。自分の考えよりも、上司の気持ちを優先しています。
このような場面では、「上司に忖度した」「忖度によって判断が変わった」のように使われます。
忖度は相手のためになるとは限らない
忖度は、相手から頼まれて行うものではありません。自分が相手の気持ちを想像して行うものです。
そのため、よかれと思った行動が、相手の希望と違う場合もあります。思い込みだけで決めず、必要なことは本人に確認することが大切です。
「忖度する」と「忖度なし」の意味
忖度は、「忖度する」「忖度なし」「忖度抜き」などの形でよく使われます。それぞれの意味を確認しましょう。
忖度するとは相手の考えを先回りして想像すること
忖度するとは、相手が言葉にしていない気持ちや希望を想像することです。現在は、想像した内容に合わせて行動するという意味でも使われています。
たとえば、「上司の考えを忖度して、会議の資料を変更した」のように使います。上司から直接指示されたのではなく、上司の考えを予想して変更したという意味です。
ただし、忖度することと、相手の言うとおりに動くことは同じではありません。忖度は、相手の考えを想像することから始まります。
忖度なしとは遠慮せずに判断すること
忖度なしとは、相手の立場や都合に合わせず、思ったことを隠さずに判断することです。誰かだけを特別扱いせずに評価するという意味でも使われます。
たとえば、「忖度なしで、この商品の感想を教えてください」と使います。遠慮せず、本当に思ったことを伝えてほしいという意味です。
商品レビューやランキングでは、「会社や出演者に気を使わずに評価する」という意味で使われることもあります。
「忖度抜き」と「忖度なし」の違い
忖度抜きと忖度なしに、大きな意味の違いはありません。どちらも、相手に気を使わずに判断することを表します。
「忖度抜きで話す」は、普段なら行う気遣いを今回は外すという印象があります。「忖度なしで話す」は、初めから気遣いを入れないという印象です。
ただし、日常会話では、ほぼ同じ意味で使われています。
忖度はどのような場面で使う?
忖度は、仕事や日常会話、ニュースなどで使われます。使われる場面によって、良い印象にも悪い印象にもなります。
仕事で上司や取引先の考えを想像する場面
仕事では、上司や取引先がどうしたいと思っているかを想像する場面で使われます。その人がどうしたいと考えているかを「意向」といいます。
たとえば、上司が何度も期限について質問したため、「早く終わらせてほしいのだろう」と考える場合です。上司の言葉から、希望を読み取っています。
相手の希望を考えることは必要です。しかし、大切な方針や期限は、忖度だけで決めずに確認した方が安心です。
日常会話で相手の気持ちを考える場面
日常会話では、相手の気持ちに気づくという意味で使われることがあります。言葉にされていない気持ちに気づくことを「察する」といいます。
たとえば、友人が疲れた様子を見せているため、予定を早めに切り上げたとします。この行動は、友人の状態を忖度したとも表現できます。
ただし、日常会話では「気を使う」「気持ちを考える」と言った方が自然な場合もあります。
ニュースや報道で使われる場面
ニュースでは、立場が上の人から直接の指示がないのに、周りの人がその人に都合のよい判断をした場面で使われることがあります。
この場合の忖度には、「誰かだけが特別扱いされたのではないか」という悪い印象が含まれます。
ただし、実際に忖度があったかどうかは、本人の考えに関わります。外から見ただけでは、事実を判断できない場合もあります。
忖度の使い方と例文
忖度は、「相手の気持ちを忖度する」「上司の考えを忖度する」のように使います。「忖度なし」「忖度抜き」という形もよく見られます。
「忖度する」を使った例文
- 上司の考えを忖度して、資料の内容を変更した。
- 相手の気持ちを忖度しすぎて、自分の意見を言えなかった。
- 周りの考えを忖度せず、自分の判断で行動した。
- 取引先の希望を忖度して、提案の順番を変えた。
「忖度する」は、相手から直接指示されていない場面で使います。はっきりとした指示に従った場合は、「指示に従った」と表す方が正確です。
「忖度なし」を使った例文
- 忖度なしで、思ったことを聞かせてください。
- このランキングは忖度なしで選ばれている。
- 友人に忖度なしの感想を伝えた。
- 立場に関係なく、忖度なしで評価する。
「忖度なし」は、相手に遠慮せず、本当の気持ちを伝えてほしいときに使われます。少しくだけた表現なので、仕事では「思ったことを率直にお聞かせください」と言い換えると丁寧です。
ビジネスで使える忖度の例文
- 上司の考えを忖度するだけでなく、分かっている事実をもとに判断する必要があります。
- 相手の考えを忖度しすぎず、直接確認しましょう。
- 忖度のない率直なご意見をお願いいたします。
- 担当者への忖度によって、評価が変わることはありません。
仕事では、忖度という言葉によくない印象が含まれる場合があります。相手を責めているように聞こえることもあるため、使う場面には注意しましょう。
忖度の使い方で間違えやすい点
忖度は、「相手をほめること」や「相手の言うとおりにすること」だけを表す言葉ではありません。中心となる意味は、相手の考えを想像することです。
また、単に親切な行動をしただけでは、忖度とは限りません。相手が口にしていない考えを想像したかどうかがポイントです。
「忖度してほしい」と直接頼む表現も見られます。しかし、希望がはっきりしている場合は、相手に直接伝えた方が分かりやすいでしょう。
忖度の言い換え・類語・対義語
忖度は、使われる場面によって言い換えられる言葉が変わります。相手の気持ちを想像する場合と、相手に合わせて行動する場合では、近い言葉が異なります。
類語とは、意味が似ている言葉です。対義語とは、反対に近い意味を持つ言葉です。
忖度の言い換えと類語
| 言葉 | 意味 | 忖度との違い |
|---|---|---|
| 推測する | 分からないことを、手がかりから想像する | 人の気持ち以外にも使える |
| 察する | 言葉にされていない気持ちに気づく | 気づくことに重点がある |
| 意向をくむ | 相手がどうしたいかを考えて行動する | 行動するところまで含むことが多い |
| 気を回す | 先のことまで考えて対応する | 考えすぎという意味になる場合がある |
| 空気を読む | その場の雰囲気に合わせる | 特定の人ではなく、その場全体を意識する |
文章をやさしくしたい場合は、「相手の気持ちを考える」「相手の希望を想像する」と言い換えると分かりやすくなります。
「忖度する」の言い換え
忖度するは、次のように言い換えられます。
- 相手の気持ちを想像する
- 相手の考えをくみ取る
- 相手の希望を察する
- 相手が望んでいることを先回りして考える
- 相手に気を使う
ただし、「気を使う」は忖度よりも広い意味を持ちます。相手の考えを想像していなくても、礼儀として気を使う場合があるためです。
「忖度なし」の言い換え
忖度なしは、次のように言い換えられます。
- 遠慮なく
- 思ったことを隠さずに
- ひいきせずに
- 誰かだけを特別扱いせずに
- 本音で
- 立場に関係なく
仕事の相手には、「忖度なしでお願いします」よりも「思ったことを率直にお聞かせください」の方が、やわらかく伝わります。
忖度の対義語は場面によって変わる
忖度には、決まった一つの対義語があるわけではありません。どの意味に注目するかによって、反対に近い言葉が変わります。
相手の気持ちを考えないという意味では、「無関心」や「無遠慮」が反対に近い言葉です。相手に合わせず意見を言うという意味では、「率直」や「本音」が近くなります。
誰かだけを特別扱いしない判断を表したい場合は、「公平」「中立」「ひいきしない」などが使えます。中立とは、どちらか一方だけの味方をしないことです。
忖度と似た言葉の違い
忖度には、配慮やごますりなど、似ているように見える言葉があります。しかし、それぞれ意味の中心が異なります。
忖度と配慮の違い
忖度は、相手の気持ちや考えを想像することです。配慮は、相手が困らないように気を配り、実際に対応することです。
たとえば、相手が疲れていると想像することが忖度です。疲れている人のために、会議を短くすることが配慮です。
忖度は「想像すること」、配慮は「相手のために対応すること」と考えると分かりやすいでしょう。
忖度とごますりの違い
ごますりとは、相手に気に入ってもらうために、ほめたり機嫌を取ったりすることです。自分によい結果が返ってくることを期待して行う場合が多くあります。
忖度は、相手の考えを想像することです。相手に気に入ってもらう目的があるとは限りません。
ただし、立場が上の人に気に入られるために忖度した場合は、ごますりに近い行動になることがあります。
忖度と迎合の違い
迎合とは、自分の考えを曲げて、力のある人や周りの意見に合わせることです。「げいごう」と読みます。
忖度は、相手の考えを想像することです。迎合は、自分の考えを変えて相手に合わせるところまで含みます。
つまり、忖度した結果として迎合する場合はあります。しかし、忖度と迎合は同じ意味ではありません。
忖度と気遣いの違い
気遣いとは、相手が困ったり不快に感じたりしないように、気を配ることです。相手の体調を心配したり、迷惑にならないように行動したりすることを表します。
忖度は、相手の考えを想像することです。気遣いは、相手のためを考えて行動することです。
相手の気持ちを忖度した結果として、気遣いのある行動をする場合もあります。
忖度を英語で表すと?
忖度にぴったりと当てはまる英単語はありません。そのため、英語では場面に合わせて説明します。
相手が望んでいることを想像する場合
- guess what someone wants:相手が何を望んでいるか想像する
- try to understand someone’s feelings:相手の気持ちを理解しようとする
日常会話では、「guess what someone wants」が分かりやすい表現です。「相手が望んでいることを想像する」という意味になります。
言葉にされていない意味を読み取る場合
「read between the lines」という英語表現があります。直訳すると「行と行の間を読む」となり、言葉にされていない本当の意味を読み取ることを表します。
ただし、この表現は文章や発言の裏にある意味を読み取るときに使います。相手の立場に合わせて行動するという意味までは含みません。
相手の希望に合わせて行動する場合
相手が言葉にしていない希望に合わせて行動する場合は、次のように説明できます。
- act based on what someone seems to want:相手が望んでいるように見えることをもとに行動する
- act according to someone’s unspoken wishes:相手が口にしていない希望に合わせて行動する
英語では、忖度を一つの単語に置き換えるよりも、どのような行動なのかを文で説明した方が伝わりやすいでしょう。
忖度はいつから広まった?流行語になった背景
忖度は、最近作られた言葉ではありません。昔から使われてきた日本語です。
ただし、以前は日常生活でよく使われる言葉ではありませんでした。読み方や意味を知らない人も少なくありませんでした。
ニュースで広く知られるようになった
忖度が広く知られるようになった大きなきっかけは、2017年のニュースです。政治や国の仕事に関する報道で、何度も使われました。
その中では、「直接の指示はなかったが、周りの人が上の立場の人の考えを想像して行動したのではないか」という意味で使われました。
このため、忖度には「力のある人に気を使う」という悪い印象が強く残りました。
2017年の流行語として広まった
忖度は、2017年の「ユーキャン新語・流行語大賞」で年間大賞に選ばれました。これをきっかけに、読み方や意味が広く知られるようになりました。
その後は、仕事や政治だけでなく、商品レビューやランキングでも「忖度なし」という表現が使われるようになっています。
ただし、本来の忖度は、相手の気持ちや考えを想像することです。言葉そのものに、悪い行為やルール違反という意味があるわけではありません。
忖度についてよくある質問
忖度とは悪い意味ですか?
忖度は、本来は悪い意味だけを持つ言葉ではありません。相手の気持ちや考えを想像するという意味です。
ただし、立場が上の人に気を使い、誰かだけを特別扱いした場面では、悪い意味で使われます。
忖度と気遣いは同じですか?
同じではありません。忖度は、相手の気持ちや考えを想像することです。
気遣いは、相手が困らないように気を配り、実際に対応することです。忖度した結果として、気遣いのある行動をする場合はあります。
「忖度する」と「忖度をする」はどちらが正しいですか?
どちらも使えます。「忖度する」の方が短く、一般的な文章では自然です。
「上司の考えを忖度する」「相手の気持ちを忖度する」のように使うと、何を想像したのかが伝わります。
忖度しない人とはどのような人ですか?
忖度しない人とは、相手の立場を必要以上に気にせず、自分の考えを伝える人です。
思ったことを隠さず、公平な人と受け取られる場合があります。一方で、言い方によっては気遣いが少ないと思われることもあります。
仕事で「忖度なし」と言ってもよいですか?
親しい相手であれば使えます。ただし、人によっては少し強い言い方に聞こえることがあります。
仕事では、「思ったことを率直にお聞かせください」「遠慮なくご意見をお聞かせください」と伝えると、やわらかい表現になります。
忖度と空気を読むことは同じですか?
似ていますが、同じではありません。忖度は、特定の人の考えや気持ちを想像することです。
空気を読むことは、その場にいる人たちの様子や雰囲気を考えて行動することです。忖度は「人」、空気を読むことは「その場全体」に注目すると分かりやすいでしょう。
忖度とは相手の気持ちや考えを想像すること
忖度とは、相手が言葉にしていない気持ちや考えを、周りの様子から想像することです。読み方は「そんたく」です。
本来は悪い意味だけを持つ言葉ではありません。しかし、立場が上の人に気を使い、その人に都合のよい判断をする場面では、悪い意味で使われます。
- 忖度する:相手の気持ちや考えを想像する
- 忖度なし:相手に遠慮せず、本音で判断する
- 配慮:相手が困らないように気を配り、対応する
- ごますり:気に入られるために、相手をほめたり機嫌を取ったりする
- 迎合:自分の考えを曲げて、力のある人や周りに合わせる
相手の考えを想像することは、やり取りをスムーズにするために役立ちます。ただし、大切なことは忖度だけで決めず、本人に確認することが大切です。

