データレイクとは、数字、文章、画像、動画など、さまざまなデータをまとめて保存する場所です。
表は表のまま、画像は画像のままなど、元の形に近い状態で保存できます。必要になったときに、使う目的に合わせて整理します。
この記事では、データレイクの意味や仕組み、使われる場面、メリット・デメリットを初心者向けに解説します。データウェアハウスやデータマートとの違いも紹介します。
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データレイクとは
かんたんに言うと、さまざまなデータを集めておく場所
データレイクとは、かんたんに言うと、さまざまなデータを一か所に集めておく場所です。
ここでいうデータとは、売り上げの数字、文章、画像、動画、音声、機器の記録などの情報です。
データレイクでは、保存する前にすべてのデータを同じ形にそろえる必要はありません。まずは元の形に近い状態で保存し、必要になったときに使いやすく整えます。
データレイクの意味
データレイクは、英語で「Data Lake」と書きます。「Data」はデータ、「Lake」は湖という意味です。
さまざまな場所から生まれるデータが、大きな湖へ流れ込むように集まる様子から、この名前が付いています。
実際に水をためる場所ではありません。ITの世界では、大量のデータを保存し、あとから利用できるようにする仕組みを指します。
身近な例で考えるデータレイク
データレイクは、家にある大きな収納部屋に少し似ています。
写真、書類、動画を保存した機器など、種類の違う物を一つの部屋に集めておきます。必要になったときに、目的の物を探して使います。
ただし、データレイクは単なる物置ではありません。保存したデータの内容や場所を記録し、安全に利用できるように管理します。
データレイクには何を保存するのか
データレイクには、表の形に整理されたデータだけでなく、文章、画像、動画なども保存できます。
形の異なるデータをまとめて扱える点が、データレイクの大きな特徴です。
表の形に整理されたデータ
売上表や顧客一覧のように、行と列を使って表の形に整理されたデータがあります。
このようなデータを「構造化データ」と呼びます。
| データの例 | 主な内容 |
|---|---|
| 売上データ | 商品名、販売数、金額、販売日 |
| 顧客データ | 顧客番号、年代、購入履歴 |
| 在庫データ | 商品番号、在庫数、入荷日 |
一定の決まりを持つデータ
完全な表の形ではないものの、項目名などに一定の決まりを持つデータもあります。
このようなデータを「半構造化データ」と呼びます。
たとえば、Webサービス同士で情報をやり取りするときに使われるJSONやXMLなどです。初心者のうちは、「表と自由な文章の中間にあるデータ」と考えると分かりやすいでしょう。
表の形に整理しにくいデータ
画像、動画、音声、メールの文章などは、表の形に整理しにくいデータです。
このようなデータを「非構造化データ」と呼びます。「整理されていない」という意味ではなく、決まった表の形にしにくいデータという意味です。
- 商品や設備の写真
- 防犯カメラなどの映像
- 会議や問い合わせの音声
- メールやアンケートの文章
- PDFや文書ファイル
Webサイトや機器が残した記録
Webサイトや機器は、動作した内容を自動で記録することがあります。
この記録を「ログ」と呼びます。ログとは、機器やサービスが自動で残す利用や動作の記録です。
たとえば、Webサイトを見た時刻、押したボタン、機械の温度、エラーが起きた時間などがあります。
データレイクの仕組み
データレイクでは、複数の場所からデータを集め、元の形に近い状態で保存します。
その後、必要なデータを選び、使いやすい形に整えて利用します。
さまざまな場所からデータを集める
会社のデータは、一つの場所にそろっているとは限りません。
店舗の売上データ、Webサイトの利用記録、工場の機械が残した情報などは、別々の場所に保存されています。
データレイクでは、これらのデータを一か所へ集めます。
元の形に近い状態で保存する
データレイクでは、表は表のまま、画像は画像のまま、動画は動画のまま保存できます。
保存する前に、すべてのデータを大きく作り変える必要はありません。
ただし、データレイクの中に、整理済みのデータや加工済みのデータを保存することもあります。データレイクは、生の状態のデータだけを置く場所とは限りません。
必要になったときに整理する
保存したデータを使うときは、必要な情報を選び、名前や日付の書き方をそろえます。
たとえば、「東京都」「東京」「とうきょう」と書かれているデータを、「東京都」にそろえる作業です。
このように、データの間違いや表記のばらつきを直す作業を「データクレンジング」と呼びます。
検索や分析に利用する
整理したデータは、検索や分析に使います。
分析とは、複数のデータを比べて、売れ方の傾向や問題の原因を調べることです。
過去の売り上げを調べたり、商品の需要を予測したり、AIに使うデータを用意したりできます。
データレイクを使う目的
社内に分かれているデータを集める
会社の中では、部署やシステムごとにデータが分かれていることがあります。
営業部門には顧客情報、経理部門には売上情報、工場には機械の記録があります。
データレイクを使うと、これらを一か所に集めて利用しやすくできます。
将来使う可能性があるデータを残す
データを集めた時点では、使い道が決まっていない場合があります。
あとから新しい分析方法が見つかったり、新しいサービスに利用できたりすることもあります。
そのため、元のデータを残しておくことに意味があります。
データ分析やAIに活用する
データレイクに集めた情報は、売り上げの分析や業務の改善に利用できます。
AIに多くのデータを読み込ませ、文章や画像の特徴を見つけさせる場合にも使われます。
AIの学習とは、人間の勉強とまったく同じものではありません。多くのデータから、共通する特徴やパターンを見つけることです。
データレイクが使われる場面
商品の売れ方を調べるとき
店舗の売上データと、Webサイトの利用記録を組み合わせると、商品が売れた理由を考えやすくなります。
たとえば、広告を見た人が、どの商品を購入したかを調べられます。
Webサイトを改善するとき
利用者が見たページや、押したボタンの記録を集めます。
途中で見るのをやめた場所や、使いにくいページを見つける手がかりになります。
工場の機械を管理するとき
工場では、温度や動きなどを測る機器が使われています。このような機器をセンサーと呼びます。
センサーのデータを調べると、機械に異常が起きる前の変化を見つけやすくなります。
AIに使うデータを用意するとき
AIを利用するには、目的に合ったデータが必要です。
文章、画像、音声、利用履歴などをデータレイクに集めておくと、必要なデータを探しやすくなります。
データレイクの具体例
小売店で販売データを集める例
小売店では、店舗の売り上げ、ネット通販の購入履歴、商品の画像などを保存できます。
これらを組み合わせることで、季節や地域ごとに売れやすい商品を調べられます。
商品の仕入れや在庫数を決めるときにも役立ちます。
工場で機械の記録を集める例
工場では、機械の温度、動作時間、異常を知らせる記録などを集めます。
過去に故障したときのデータと比べることで、異常が起きる前の変化を見つけやすくなります。
動画配信サービスで利用履歴を集める例
動画配信サービスでは、見た作品、再生した時間、検索した言葉などのデータが生まれます。
これらを調べることで、利用者が興味を持ちそうな作品を表示するための参考にできます。
データレイクのメリット
さまざまな種類のデータを保存できる
データレイクには、数字や表だけでなく、文章、画像、動画、音声も保存できます。
データの形を一つにそろえなくてもよいため、多くの種類のデータを集めやすい点がメリットです。
元のデータを残しておける
加工する前のデータを残しておけば、別の目的で使うときに必要な部分を選び直せます。
最初に決めた方法だけでなく、あとから新しい視点で分析できます。
大量のデータをまとめて管理できる
会社の複数のシステムから生まれるデータを、一つの仕組みに集められます。
必要なデータがどこにあるか分からない状態を減らせます。
あとから使い道を考えられる
保存する時点で、すべての利用方法を決める必要はありません。
将来、新しい商品やサービス、AIの活用を始めるときに、過去のデータが役立つ場合があります。
データレイクのデメリット
必要なデータを探しにくくなることがある
大量のデータを保存しても、内容が分からなければ利用できません。
何のデータか、いつ作られたか、誰が管理しているかを記録しておく必要があります。
不要なデータが増えることがある
使う予定のないデータを長く保存すると、保存にかかる費用や管理の手間が増えます。
保存する目的や期間を決め、不要になったデータを見直すことが大切です。
共通のルールが必要になる
部署ごとに違う名前や形式で保存すると、同じ内容でも別のデータに見えることがあります。
名前の付け方、保存場所、保存期間など、共通のルールを決める必要があります。
情報を守る対策が必要になる
データレイクには、顧客情報や社内の大切な情報が入る場合があります。
誰が見たり変更したりできるかを決める設定が必要です。この設定を権限と呼びます。
仕事に必要な人だけが利用できるようにすることで、情報を安全に管理できます。
データレイクとデータウェアハウスの違い
データレイクとデータウェアハウスは、どちらも多くのデータを保存するために使われます。
主な違いは、保存するデータの状態と使う目的です。
データウェアハウスは「DWH」と略されることがあります。分析しやすく整理したデータを保存する場所です。
保存するデータの状態が違う
データレイクには、表、画像、動画などを元の形に近い状態で保存できます。
データウェアハウスには、集計や分析をしやすい形に整理したデータを保存するのが一般的です。
データを整理する時期が違う
データレイクでは、まずデータを保存し、使うときに必要な形へ整える方法がよく使われます。
データウェアハウスでは、保存する前に目的を決め、使いやすい形へ整えるのが一般的です。
ただし、実際の整理方法や保存の流れは、会社やシステムによって異なります。
主な使い道が違う
データレイクは、さまざまなデータを集め、幅広い目的で使う場合に向いています。
データウェアハウスは、売り上げや経営状況など、決まった内容を早く調べたい場合に向いています。
データレイクとデータウェアハウスの違いを表で比較
| 比較する項目 | データレイク | データウェアハウス |
|---|---|---|
| 保存するデータ | 元の形に近いデータや整理済みのデータ | 分析しやすく整理したデータ |
| 扱えるデータ | 表、文章、画像、動画、音声など | 主に表の形に整理したデータ |
| 整理する時期 | 利用するときに整理する方法が多い | 保存する前に整理する方法が多い |
| 主な目的 | 幅広い分析や将来の活用 | 決まった内容の集計や分析 |
| 利用する人の例 | データを分析する担当者や開発者 | 経営者、管理者、業務部門 |
データレイクとデータウェアハウスは、どちらか一方だけを選ぶとは限りません。
データレイクに集めたデータを整理し、データウェアハウスへ移して分析する使い方もあります。
一方で、データレイクから直接分析する場合もあります。どのような流れにするかは、データの種類や利用目的によって変わります。
データレイクとデータマートの違い
データマートとは、特定の部署や目的に必要なデータを小さくまとめた場所です。
「マート」には、小さな市場や売り場という意味があります。会社全体ではなく、一部の部署向けのデータ置き場と考えると分かりやすいでしょう。
保存するデータの範囲が違う
データレイクには、会社全体のさまざまなデータを保存できます。
データマートには、営業部門の売上情報や、人事部門の勤務情報など、目的を限ったデータを保存します。
利用する人が違う
データレイクは、複数の部署や分析担当者が利用する大きな仕組みです。
データマートは、特定の部署や担当者が必要な情報をすぐに確認するために使われます。
データレイクとデータベースの違い
データベースとは、検索や追加、変更をしやすいように整理したデータの集まりです。
会員情報や商品情報など、日々の業務で利用する情報の管理によく使われます。
保存するデータの種類が違う
一般的なデータベースでは、保存する項目や形を先に決めます。
データレイクでは、表だけでなく、文章、画像、動画なども元の形に近い状態で保存できます。
主な目的が違う
データベースは、注文を登録する、会員情報を変更するなど、日々の処理に向いています。
データレイクは、多くの場所からデータを集め、分析や将来の活用に備えるために使われます。
データレイク・データウェアハウス・データマートの違い
| 種類 | かんたんな説明 | 主な目的 |
|---|---|---|
| データレイク | さまざまなデータをまとめて保存する場所 | 幅広い分析や将来の活用 |
| データウェアハウス | 分析しやすく整理したデータを集める場所 | 会社全体の集計や分析 |
| データマート | 特定の部署や目的に必要なデータを集める場所 | 部署ごとの確認や分析 |
この3つは、どれか一つだけを選ぶものではありません。
データレイクにデータを集め、整理したものをデータウェアハウスへ移し、さらに部署ごとのデータマートを作る場合があります。
ただし、この流れは代表的な構成の一つです。データレイクから直接分析したり、データウェアハウスを中心に構成したりする場合もあります。
データレイクで初心者が間違えやすい点
データを入れるだけでは活用できない
データレイクを作っても、データを保存するだけでは十分ではありません。
何のために使うのかを決め、必要なデータを探して整理する仕組みが必要です。
ただのファイル置き場ではない
データレイクは、データを保存する場所を利用します。この保存場所をストレージと呼びます。
ただし、データレイクは、ファイルを置くだけの場所ではありません。検索、整理、安全な利用まで含めた仕組みです。
生データだけを保存するとは限らない
データレイクは、加工する前のデータを保存できることが特徴です。
しかし、データレイクの中に整理済みや加工済みのデータを分けて保存する場合もあります。
「データレイクには生データしか入らない」と覚えるのは正確ではありません。
すべての会社に必要とは限らない
扱うデータが少なく、利用目的も決まっている場合は、一般的なデータベースやファイル管理で足りることがあります。
データの量や種類、使う目的を確認してから導入を考えます。
整理されていない状態を放置しない
何のデータか分からないまま大量に保存すると、必要な情報を探せなくなります。
このような使いにくい状態は、「データスワンプ」と呼ばれます。「スワンプ」は沼という意味です。
データの湖が、使いにくいデータの沼にならないように、保存や管理のルールを決めることが大切です。
データレイクを使うときの注意点
保存するルールを決める
保存するデータの種類、名前、場所、保存期間などを決めます。
部署ごとにルールが大きく違うと、あとからデータをまとめにくくなります。
データの説明を記録する
データそのものだけでなく、そのデータが何を表しているかを記録します。
作成日、作成した部署、内容、保存形式などです。
このような、データの内容を説明する情報を「メタデータ」と呼びます。メタデータは、データに付ける説明書のようなものです。
利用できる人を決める
すべての人が、すべてのデータを見られるようにする必要はありません。
誰が見られるか、誰が変更できるかを決めます。この設定が権限です。
個人情報や社内情報を適切に管理する
氏名や住所などの個人情報を保存する場合は、利用する目的を明確にします。
社外に出してはいけない会社の情報も、必要な人だけが利用できるようにします。
利用した人や操作した内容を記録しておくことも大切です。
データレイクに関するよくある質問
データレイクには何でも保存できますか?
表、文章、画像、動画、音声など、さまざまなデータを保存できます。
ただし、何でも無条件に保存するわけではありません。利用目的、保存期間、費用、安全性を考えて選びます。
データレイクはただの保存場所ですか?
データレイクは、データを保存する場所を使いますが、保存するだけではありません。
データを集め、探し、整理し、安全に利用できるようにする仕組みまで含みます。
データレイクとビッグデータの違いは何ですか?
ビッグデータとは、量が多く、種類も多いデータのことです。
データレイクは、そのような大量のデータを保存し、利用するための仕組みです。
ビッグデータはデータそのもの、データレイクは保存や管理の仕組みという違いがあります。
データレイクは中小企業にも必要ですか?
会社の大きさだけでは判断できません。
扱うデータの種類が多く、複数の場所に分かれている場合は、中小企業でも役立つことがあります。
一方、データが少ない場合は、より簡単な仕組みで足りることもあります。
データレイクから直接分析できますか?
はい。データレイクに保存したデータを、直接分析する場合もあります。
必ずデータウェアハウスへ移してから使うわけではありません。どの方法を選ぶかは、データの状態や分析の目的によって異なります。
データレイクハウスとは何ですか?
データレイクハウスとは、データレイクの柔軟さと、データウェアハウスの分析しやすさを組み合わせた考え方です。
さまざまなデータを保存しながら、整理したデータも利用しやすくすることを目指します。
まとめ|データレイクとは、さまざまなデータをまとめて保存する場所
データレイクとは、数字、文章、画像、動画、音声など、さまざまなデータをまとめて保存する場所です。
表は表のまま、画像は画像のままなど、元の形に近い状態で保存できます。整理済みや加工済みのデータを保存する場合もあります。
- 構造化データ、半構造化データ、非構造化データを保存できる
- 元のデータを残し、あとから別の目的で利用できる
- データの分析やAIの活用に使われる
- データウェアハウスは、分析しやすく整理したデータを保存する
- データマートは、特定の部署や目的に必要なデータを保存する
- データレイクから直接分析する場合もある
- 利用しやすい状態を保つには、保存や管理のルールが必要になる
データレイクは、単に大量のデータをためるだけの場所ではありません。
必要なデータを安全に探し、分析や業務の改善につなげるための仕組みです。

