フェイルオーバーとは、使っているシステムに問題が起きたとき、予備のシステムへ切り替える仕組みです。
かんたんに言うと、「いつもの道が通れないときに、別の道へ回る」ようなものです。
ITでは、サーバーやデータベースなどが止まったときに、別の機器や仕組みへ切り替えて、サービスを続けやすくします。
この記事では、フェイルオーバーの意味、仕組み、フェイルバックや冗長化との違いを、初心者向けにわかりやすく解説します。
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フェイルオーバーとは

フェイルオーバーとは、今使っているシステムに障害が起きたとき、予備のシステムへ切り替えることです。
ここでいうシステムとは、Webサイトやアプリなどを動かすための仕組みのことです。
障害とは、機械や仕組みが正しく動かなくなることです。たとえば、サーバーが止まる、ネットワークがつながらない、データベースが使えない、といった状態を指します。
かんたんに言うと「予備に切り替える仕組み」
フェイルオーバーを一言でいうと、予備に切り替える仕組みです。
メインとは、ふだん使っているもののことです。予備とは、困ったときのために用意しておく代わりのものです。
メインのシステムが使えなくなったときに、あらかじめ用意しておいた予備のシステムへ切り替えます。
そのため、利用者から見ると、サービスが止まる時間を短くしやすくなります。
フェイルオーバーの読み方と英語
フェイルオーバーは、英語の「failover」から来た言葉です。
「fail」は失敗する、止まるという意味です。「over」は、ここでは切り替わる、移るという意味で使われます。
日本語では「フェールオーバー」と書かれることもあります。この記事では「フェイルオーバー」で統一します。
フェイルオーバーの意味を身近な例でわかりやすく解説
フェイルオーバーは、言葉だけ見るとむずかしく感じるかもしれません。
身近な例で考えると、意味がわかりやすくなります。
電車の代わりにバスを使うイメージ
たとえば、いつも電車で学校や会社へ行っているとします。
ある日、電車が止まってしまいました。そのとき、代わりにバスを使って目的地へ向かうことがあります。
この場合、電車が「いつもの手段」で、バスが「予備の手段」です。
ITでは止まったサーバーの代わりに予備のサーバーへ切り替える
ITでのフェイルオーバーも、考え方は似ています。
いつも使っているサーバーが止まったとき、予備のサーバーへ切り替えます。
サーバーとは、Webサイトやアプリなどを動かすためのコンピューターです。利用者がWebサイトを見るときも、多くの場合、裏側ではサーバーが動いています。
つまり、フェイルオーバーとは、トラブルが起きたときに代わりの仕組みへ切り替えて、サービスを続けやすくする考え方です。
フェイルオーバーが必要な理由
フェイルオーバーは、システムをできるだけ止めないために使われます。
特に、Webサイト、ネットショップ、銀行のシステム、会社の業務システムなどでは、止まる時間を短くすることが大切です。
システムを止める時間を短くするため
システムは、いつも必ず動き続けるとは限りません。
機械の故障、設定ミス、通信の問題などで、止まることがあります。
フェイルオーバーがあると、問題が起きたときに予備へ切り替えられます。そのため、止まる時間を短くしやすくなります。
利用者への影響を小さくするため
サービスが止まると、利用者は画面を見られなかったり、操作できなかったりします。
ネットショップなら、商品を買えない時間が出るかもしれません。会社のシステムなら、仕事が進みにくくなることもあります。
フェイルオーバーは、こうした影響を小さくするために使われます。
可用性を高めるため
可用性とは、システムを使いたいときに使える状態にしておく力のことです。
むずかしく言う必要はありません。「止まりにくさ」と考えるとわかりやすいです。
フェイルオーバーは、この可用性を高めるための方法のひとつです。
フェイルオーバーの仕組み

フェイルオーバーの仕組みは、大きく分けると3つの流れです。
予備を用意する、問題が起きたことに気づく、予備へ切り替える。この流れで動きます。
通常使うシステムと予備のシステムを用意する
まず、ふだん使うシステムを用意します。
次に、同じように動ける予備のシステムも用意します。
このように、同じ役割を持つものを複数用意しておくことを、冗長化といいます。冗長化とは、万一にそなえて予備を用意する考え方です。
問題が起きたことに気づく
次に、システムが正しく動いているかを確認します。
たとえば、サーバーが返事をしているか、通信ができるか、データベースが使えるかを見ます。
身近な例でいうと、「今も大丈夫ですか?」と定期的に声をかけるようなものです。
ITでは、メインのシステムに向けて短い信号を送り、返事があるかを確認することがあります。このような確認の仕組みは、ハートビートと呼ばれることがあります。
ハートビートは、直訳すると「心臓の鼓動」です。ITでは、相手が動いているかを定期的に確かめる信号の意味で使われます。
このように、問題が起きたことに気づくことを「検知」といいます。
予備のシステムへ切り替える
問題が見つかると、予備のシステムへ切り替えます。
この切り替えが、フェイルオーバーです。
切り替えがうまく行われると、利用者は大きな停止を感じにくくなります。
自動フェイルオーバーと手動フェイルオーバーの違い
フェイルオーバーには、自動で切り替えるものと、人が操作して切り替えるものがあります。
自動フェイルオーバーは、システムが問題を見つけて、自動で予備へ切り替える方法です。
手動フェイルオーバーは、管理者が状況を見て、手作業で切り替える方法です。
フェイルオーバーが使われる場面
フェイルオーバーは、いろいろなITの場面で使われます。
ここでは、初心者でもイメージしやすい例を紹介します。
サーバー
Webサイトやアプリを動かすサーバーで使われます。
いつものサーバーが止まったとき、予備のサーバーへ切り替えます。
データベース
データベースでもフェイルオーバーが使われます。
データベースとは、名前、商品情報、注文履歴などのデータを整理して保存する場所です。
メインのデータベースが使えないとき、予備のデータベースへ切り替えることがあります。
ネットワーク機器
ネットワーク機器でも使われます。
ネットワーク機器とは、通信をつなぐための機械です。家庭でいうと、ルーターのような役割を持つ機器です。
通信機器に問題が起きたとき、予備の機器へ切り替えることがあります。
クラウドサービス
AWSやRDSなどのクラウドサービスでも、フェイルオーバーという言葉が使われます。
AWSは、Amazonが提供するクラウドサービスです。インターネット上でサーバーやデータベースなどを使えます。
RDSは、AWSでデータベースを使うためのサービスです。
RDSなどでは、「マルチAZ」という仕組みを使い、障害が起きたときに別の場所にある予備へ切り替える構成があります。
AZとは、データセンターのまとまりのようなものです。初心者の方は、「離れた場所にも予備を用意しておく仕組み」と考えるとわかりやすいです。
ただし、細かい設定まで覚える必要はありません。まずは「クラウドでも、フェイルオーバーは予備へ切り替える仕組みとして使われる」と理解すれば十分です。
フェイルオーバーの具体例
ここでは、フェイルオーバーがどのように使われるかを、具体例で見ていきます。
Webサイトのサーバーが止まった場合
あるWebサイトが、サーバーAで動いているとします。
もしサーバーAに問題が起きると、Webサイトが表示されにくくなります。
そこで、予備のサーバーBへ切り替えます。これがフェイルオーバーです。
データベースに障害が起きた場合
ネットショップでは、商品情報や注文情報をデータベースに保存しています。
もしメインのデータベースに問題が起きると、注文処理が進まなくなることがあります。
そのとき、予備のデータベースへ切り替えることで、サービスを続けやすくします。
AWSやRDSで使われる場合
AWSは、Amazonが提供するクラウドサービスです。インターネット上でサーバーやデータベースなどを使えます。
RDSは、AWSでデータベースを使うためのサービスです。
RDSなどでは、障害が起きたときに別の場所にある予備へ切り替える構成があります。このような場面でも、フェイルオーバーという言葉が使われます。
たとえば、マルチAZ構成では、ひとつの場所に問題が起きたときに、別の場所にある予備へ切り替えることがあります。
フェイルオーバーとフェイルバックの違い

フェイルオーバーと一緒に出てきやすい言葉に、フェイルバックがあります。
名前が似ているため、混同しやすい言葉です。
フェイルオーバーは予備へ切り替えること
フェイルオーバーは、問題が起きたときに予備へ切り替えることです。
つまり、「通常のシステム」から「予備のシステム」へ移る動きです。
フェイルバックは元の状態へ戻すこと
フェイルバックは、復旧したあとに元のシステムへ戻すことです。
つまり、「予備のシステム」から「元のシステム」へ戻す動きです。
フェイルオーバーは避難、フェイルバックは帰宅のような関係です。
フェイルオーバーと冗長化の違い

フェイルオーバーと冗長化も、よく一緒に使われる言葉です。
ただし、同じ意味ではありません。
冗長化は予備を用意すること
冗長化とは、万一にそなえて予備を用意しておくことです。
たとえば、サーバーを1台だけでなく、もう1台用意しておくような考え方です。
フェイルオーバーは予備へ切り替えること
フェイルオーバーは、実際に問題が起きたとき、予備へ切り替えることです。
つまり、冗長化は「準備」、フェイルオーバーは「切り替え」です。
この違いを覚えると、ITの記事や説明が読みやすくなります。
フェイルオーバーとフェイルセーフの違い
フェイルセーフも、似た場面で出てくる言葉です。
ただし、目的が少し違います。
フェイルオーバーは動かし続けるための考え方
フェイルオーバーは、問題が起きてもサービスを続けやすくする考え方です。
そのため、予備のシステムへ切り替えます。
フェイルセーフは安全に止めるための考え方
フェイルセーフは、問題が起きたときに安全な状態にする考え方です。
たとえば、機械に異常があったとき、自動で止めるような仕組みです。
フェイルオーバーは「続ける」、フェイルセーフは「安全を優先する」と考えるとわかりやすいです。
フェイルオーバーと似た言葉の違い
フェイルオーバーのまわりには、似た言葉がいくつかあります。
意味を整理すると、次のようになります。
| 用語 | ざっくり言うと | 目的 |
|---|---|---|
| 冗長化 | 予備のシステムを用意しておくこと | 万一に備える |
| フェイルオーバー | 障害時に予備へ切り替えること | サービスを続けやすくする |
| フェイルバック | 復旧後に元のシステムへ戻すこと | 元の状態に戻す |
| フェイルセーフ | 異常時に安全な状態にすること | 安全を優先する |
かんたんに言うと、冗長化は「準備」、フェイルオーバーは「切り替え」、フェイルバックは「戻す」、フェイルセーフは「安全を守る」考え方です。
フェイルオーバーのメリット
フェイルオーバーには、システムを運用するうえで大きなメリットがあります。
システム停止の時間を短くできる
フェイルオーバーがあると、障害が起きたときに予備へ切り替えられます。
そのため、システムが止まる時間を短くしやすくなります。
サービスを使えない時間を減らせる
Webサイトやアプリが止まると、利用者は困ります。
フェイルオーバーにより、サービスを使えない時間を減らしやすくなります。
安心して運用しやすくなる
予備の仕組みがあると、管理する側も落ち着いて対応しやすくなります。
万一のときに切り替え先があるため、復旧作業もしやすくなります。
フェイルオーバーの注意点
フェイルオーバーは便利な仕組みですが、万能ではありません。
安心して使うためには、いくつかの注意点があります。
切り替え中に短い停止が起きることがある
フェイルオーバーがあっても、切り替えのあいだに短い停止が起きることがあります。
この短い停止を、瞬断と呼ぶことがあります。瞬断とは、ごく短い時間だけ通信や処理が止まることです。
予備のシステムを正しく用意する必要がある
予備のシステムがあっても、正しく動かなければ意味がありません。
メインのシステムと同じように使えるよう、設定やデータの状態を整えておく必要があります。
定期的なテストが必要になる
フェイルオーバーは、作って終わりではありません。
本当に切り替わるか、定期的に確認することが大切です。
テストしておくことで、いざというときに落ち着いて対応しやすくなります。
フェイルオーバーで初心者が間違えやすい点
フェイルオーバーは、似た言葉が多い用語です。
ここでは、初心者が間違えやすい点を整理します。
フェイルオーバーすれば絶対に止まらないわけではない
フェイルオーバーは、止まる時間を短くするための仕組みです。
ただし、どんな場合でも絶対に止まらない、という意味ではありません。
切り替えに時間がかかることもありますし、予備の仕組みに問題がある場合もあります。
バックアップとは役割が違う
バックアップとは、データを別の場所に保存しておくことです。
たとえば、大切な写真を別のUSBメモリやクラウドに保存しておくことも、バックアップです。
フェイルオーバーは、システムを予備へ切り替えることです。バックアップは、データを守るための備えです。
冗長化と同じ意味ではない
冗長化は、予備を用意することです。
フェイルオーバーは、その予備へ切り替えることです。
セットで使われることは多いですが、意味は分けて覚えるとよいです。
フェイルオーバーに関するよくある質問
フェイルオーバーとは何ですか?
フェイルオーバーとは、使っているシステムに問題が起きたとき、予備のシステムへ切り替える仕組みです。
サーバー、データベース、ネットワーク機器などで使われます。
フェイルオーバーとフェイルバックの違いは何ですか?
フェイルオーバーは、問題が起きたときに予備へ切り替えることです。
フェイルバックは、復旧したあとに元のシステムへ戻すことです。
フェイルオーバーと冗長化の違いは何ですか?
冗長化は、予備を用意しておくことです。
フェイルオーバーは、実際に問題が起きたとき、その予備へ切り替えることです。
フェイルオーバーとフェイルセーフの違いは何ですか?
フェイルオーバーは、障害時に予備へ切り替えて、サービスを続けやすくする考え方です。
フェイルセーフは、異常時に安全な状態にする考え方です。
フェイルオーバーは自動で行われますか?
自動で行われる場合もあります。
ただし、システムによっては人が確認して、手動で切り替える場合もあります。
フェイルオーバー中にシステムは止まりますか?
切り替えのあいだに、短い停止が起きることがあります。
ただし、フェイルオーバーの目的は、停止時間をできるだけ短くすることです。
フェールオーバーとフェイルオーバーは同じ意味ですか?
基本的には同じ意味で使われます。
表記にはゆれがありますが、この記事では「フェイルオーバー」で統一しています。
まとめ:フェイルオーバーとは予備のシステムへ切り替える仕組み
フェイルオーバーとは、メインのシステムに問題が起きたとき、予備のシステムへ切り替える仕組みです。
サーバー、データベース、ネットワーク機器、クラウドサービスなどで使われます。
冗長化は予備を用意すること、フェイルオーバーは予備へ切り替えることです。また、フェイルバックは元のシステムへ戻すことです。
フェイルセーフは、異常時に安全な状態にする考え方です。フェイルオーバーとは目的が少し違います。
まずは「フェイルオーバーとは、止まったときに予備へ切り替えて、サービスを続けやすくする仕組み」と覚えるとわかりやすいです。

