可用性とは、システムやデータを「使いたいときに使える状態」にしておくことです。
たとえば、ネット銀行、メール、学校の学習サイトなどが、必要なときに開ける状態を指します。ITでは、サービスを止めずに使えるようにするための大切な考え方です。
この記事では、可用性とは何か、機密性・完全性との違い、冗長性や信頼性との関係を、初心者向けにわかりやすく解説します。
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可用性とは?かんたんに言うと「使える状態を保つこと」

可用性とは、必要なときにシステムや情報を使える状態にしておくことです。
この記事でいうシステムとは、アプリ、Webサイト、会社の業務ツールなどを動かす仕組みのことです。データとは、文字、数字、画像、記録などの情報のことです。
むずかしく考える必要はありません。可用性は、かんたんに言うと「使いたいときに、ちゃんと使えること」です。
可用性の意味
可用性は、ITの世界でよく使われる言葉です。
たとえば、会社のシステム、ネットショップ、銀行のアプリなどが、止まらずに使えるかどうかを考えるときに使います。
システムが動いていても、ログインできなかったり、画面が開かなかったりすれば、利用者から見ると「使えない状態」です。可用性は、このような状態をできるだけ減らすための考え方です。
可用性の読み方
可用性は「かようせい」と読みます。
「可用」は「使うことができる」という意味です。そこに「性」が付いて、「使える状態の保ちやすさ」という意味になります。
可用性の英語は「availability」
可用性は英語で「availability」といいます。
ITの資料では、「アベイラビリティ」と書かれることもあります。英語のまま覚えるよりも、まずは「使いたいときに使えること」と理解すれば大丈夫です。
可用性の身近な例
可用性は、専門的なシステムだけの話ではありません。
私たちの生活の中にも、可用性に近い考え方があります。
ATMがいつでも使える状態
ATMを使いたいときに、いつも利用できると便利です。
反対に、給料日にATMが止まっていたら困ります。この「必要なときに使えること」が、可用性のイメージに近いです。
ITでも同じです。利用者が必要なときにシステムを使えるようにすることが、可用性を高めることにつながります。
スマホの通信がつながる状態
スマホで地図を見たいときに、通信がつながらないと困ります。
連絡したいとき、調べたいとき、支払いをしたいときに使えることは、とても大切です。
ITサービスでも、通信やサーバーが止まらないようにすることで、利用者が安心して使える状態を保ちます。
学校や会社のシステムにログインできる状態
学校の学習サイトや会社の勤怠システムも、使いたいときに使えることが大切です。
授業の前に学習サイトへ入れなかったり、出勤時に勤怠システムへ入れなかったりすると、不便です。
このように、可用性は「システムを使う人の困りごと」を減らすための考え方でもあります。
ITで可用性が大切な理由
ITで可用性が大切なのは、システムが止まると、多くの人の仕事や生活に影響するためです。
特に、銀行、病院、交通、ネットショップ、会社の業務システムなどでは、使えない時間が大きな問題になることがあります。
システムが止まると仕事や生活に影響する
ネットショップが止まると、買い物ができません。
会社のシステムが止まると、仕事が進まないことがあります。予約システムが止まると、利用者が手続きできなくなります。
そのため、システムを作るときは「便利な機能」だけでなく、「止まりにくさ」も考える必要があります。
サービスを安心して使うために必要
いつも使えるサービスは、利用者に安心感を与えます。
反対に、よく止まるサービスは、どれだけ機能が多くても使いにくく感じられます。
可用性は、サービスの信頼にも関わる大切な要素です。
情報セキュリティでも重要な考え方
可用性は、情報セキュリティでも重要です。
情報セキュリティとは、情報を守り、正しく使えるようにする考え方です。
情報を守るだけではなく、必要な人が必要なときに使えることも大切です。そのため、可用性は情報セキュリティの基本の一つとされています。
機密性・完全性・可用性の違い

情報セキュリティでは、よく「機密性・完全性・可用性」という3つの言葉が出てきます。
この3つは、情報を安全に使うための基本です。英語の頭文字を取って「CIA」と呼ばれることもあります。
| 項目 | 意味 | 身近な例 |
|---|---|---|
| 機密性 | 見てよい人だけが見られること | パスワードを知っている人だけがログインできる |
| 完全性 | 情報が正しい状態で保たれること | 成績や金額のデータが勝手に変わらない |
| 可用性 | 必要なときに使えること | 必要なときにシステムへログインできる |
機密性とは「見てよい人だけが見られること」
機密性とは、情報を見てよい人だけが見られるようにすることです。
たとえば、学校の成績、会社の給与情報、ネット銀行の口座情報などは、誰でも見られると困ります。
パスワードやアクセス制限は、機密性を守るための代表的な方法です。
完全性とは「情報が正しく保たれること」
完全性とは、情報が正しい状態で保たれていることです。
たとえば、銀行口座の残高が勝手に変わったら困ります。ネットショップの注文数が誤って変わるのも問題です。
このように、情報が勝手に変わらず、正しい状態で保たれていることが完全性です。
可用性とは「必要なときに使えること」
可用性とは、必要なときに情報やシステムを使えることです。
どれだけ情報が安全に守られていても、必要なときに使えなければ困ります。
つまり、機密性・完全性・可用性は、どれか一つだけではなく、バランスよく考えることが大切です。
機密性・完全性・可用性の具体例
ネット銀行を例に考えると、3つの違いがわかりやすくなります。
| 項目 | ネット銀行での具体例 |
|---|---|
| 機密性 | 本人だけが口座情報を見られる |
| 完全性 | 残高や振込先の情報が正しく保たれる |
| 可用性 | 必要なときにログインして利用できる |
このように、可用性は「安全性」とは少し違います。安全に守るだけでなく、使える状態を保つことまで含めて考えます。
可用性と似た言葉の違い
可用性と一緒に使われやすい言葉に、冗長性、信頼性、耐障害性、稼働率があります。
どれも近い意味に見えますが、少しずつ役割が違います。
| 言葉 | かんたんな意味 |
|---|---|
| 可用性 | 必要なときに使える状態を保つこと |
| 冗長性 | 同じ役割の予備を用意して止まりにくくすること |
| 信頼性 | 故障や不具合が起きにくいこと |
| 耐障害性 | トラブルが起きても止まりにくいこと |
| 稼働率 | システムが動いていた時間の割合 |
可用性と冗長性の違い
可用性は、システムを使える状態に保つことです。
冗長性とは、同じ役割を持つ予備を用意しておくことです。日常の「文章が冗長」という意味とは少し違い、ITでは止まりにくくするための備えを指します。
たとえば、1台のサーバーが止まっても、もう1台のサーバーで動かせるようにしておく方法があります。このような予備の仕組みが冗長性です。
つまり、冗長性は可用性を高めるための手段の一つです。
可用性と信頼性の違い
信頼性とは、システムが故障しにくいことです。
可用性とは、必要なときに使える状態を保つことです。
信頼性が高いシステムは、故障が少ないため、可用性も高くなりやすいです。ただし、信頼性と可用性は同じ意味ではありません。
可用性と耐障害性の違い
耐障害性とは、システムのトラブルが起きても、止まりにくい性質のことです。
ITでいう障害とは、システムが正しく動かなくなるトラブルのことです。
たとえば、一部のサーバーが止まっても、別のサーバーで処理を続けられる場合、耐障害性が高いと言えます。
耐障害性も、可用性を高めるために大切な考え方です。
可用性と稼働率の違い
稼働率とは、システムが動いていた時間の割合です。
たとえば、1カ月のほとんどの時間でシステムが使えた場合、稼働率は高くなります。
可用性は「使える状態を保つ考え方」です。稼働率は、それを数字で表すときによく使われます。
可用性を高める主な方法
可用性を高めるには、システムが止まりにくいように準備しておくことが大切です。
ここでは、初心者でもイメージしやすい方法を紹介します。
予備のサーバーを用意する

サーバーとは、サービスやデータを置いておくコンピューターのことです。
1台だけで動かしていると、その1台が止まったときにサービスも止まりやすくなります。
そこで、予備のサーバーを用意しておくことがあります。これにより、片方に問題が起きても、もう片方で動かし続けやすくなります。
たとえば、通常時はメインのサーバーが動き、予備のサーバーは待機しています。
メインのサーバーにトラブルが起きたときは、予備のサーバーへ切り替えることで、サービスを続けやすくなります。
このような仕組みは、電車の代替ルートに近いイメージです。いつもの路線が止まっても、別のルートがあれば目的地に向かいやすくなります。
ITでも同じように、予備のサーバーを用意することで、システムを使える状態に保ちやすくします。
バックアップを取る
バックアップとは、大切なデータの予備のコピーを保存しておくことです。
データが消えたり壊れたりしたときでも、バックアップがあれば元に戻しやすくなります。
バックアップは、可用性だけでなく、完全性を守るためにも役立ちます。
障害を早く見つける仕組みを作る
障害とは、システムが正しく動かなくなるトラブルのことです。
たとえば、サーバーの動きが遅くなったときや、ログインしにくくなったときに、すぐ気付けるようにします。
早く気付ければ、利用者への影響を小さくしやすくなります。
復旧手順を決めておく
復旧とは、止まったシステムを元の状態に戻すことです。
トラブルが起きてから考えると、対応に時間がかかります。そのため、あらかじめ手順を決めておくことが大切です。
誰が、何を、どの順番で対応するのかを決めておくと、落ち着いて対応しやすくなります。
高可用性とは?システムを止まりにくくする考え方
高可用性とは、システムをできるだけ止めず、使える状態を保ちやすくする考え方です。
「高い可用性」と書くように、通常よりも止まりにくい状態を目指します。
高可用性の意味
高可用性は、特に止まると影響が大きいシステムで重視されます。
たとえば、銀行、病院、交通、ネットショップ、会社の中心的なシステムなどです。
会社の中心的なシステムとは、販売、在庫、会計、人事など、仕事を支えるために使う大切な仕組みのことです。
可用性99.9%とは
可用性99.9%とは、システムが使える時間の割合が99.9%という意味です。
一見すると、ほとんど止まらないように見えます。ただし、残りの0.1%は止まる可能性がある時間です。
1年間で考えると、可用性99.9%では止まってよい時間の目安は約8時間45分です。
可用性99.99%とは

可用性99.99%は、99.9%よりもさらに止まりにくい状態を表します。
数字が少し違うだけに見えますが、実際には止まってよい時間がかなり短くなります。
1年間で考えると、可用性99.99%では止まってよい時間の目安は約52分35秒です。
| 可用性 | 1年間で止まってよい時間の目安 | イメージ |
|---|---|---|
| 99.9% | 約8時間45分 | 年に数時間は止まる可能性がある |
| 99.99% | 約52分35秒 | 年に1時間未満におさえる考え方 |
このように、数字では少しの差に見えても、実際に止まってよい時間は大きく変わります。
ただし、可用性を高くするほど、仕組みが複雑になり、費用もかかりやすくなります。そのため、目的に合った可用性を考えることが大切です。
可用性の計算式をかんたんに解説
可用性は、次のような考え方で表されることがあります。
可用性 = システムが使えた時間 ÷ 全体の時間 × 100
たとえば、ある期間のほとんどでシステムが使えたなら、可用性は高くなります。
細かい計算を覚える必要はありません。まずは「使えた時間の割合」と考えるとわかりやすいです。
クラウドで使われる可用性の言葉
クラウドでも、可用性という言葉はよく使われます。
クラウドとは、自分のパソコンや会社の中だけでなく、インターネット上の仕組みを使って、サーバーやデータを利用する方法です。
可用性ゾーンとは
可用性ゾーンとは、クラウドで使われる用語です。
かんたんに言うと、同じ地域の中にある、分けて作られた設備のまとまりです。
1つの場所で問題が起きても、別の場所でサービスを続けやすくするために使われます。
AWSやAzureで可用性が重視される理由
多くの会社が、Webサイトや業務システムをクラウド上で動かしています。
そのため、クラウドでは「どれだけ止まりにくいか」「どの場所に配置するか」「問題が起きたときにどう続けるか」が重視されます。
初心者が間違えやすい可用性のポイント
可用性は、似た言葉が多いため、初心者が混同しやすい用語です。
ここでは、特に間違えやすい点を整理します。
可用性は「安全性」と同じ意味ではない
可用性は、安全性と同じ意味ではありません。
安全性は、危険や被害を防ぐ考え方です。可用性は、必要なときに使える状態を保つ考え方です。
ただし、情報セキュリティでは、どちらも大切な考え方です。
冗長化すれば必ず安心というわけではない
冗長化とは、予備を用意して止まりにくくすることです。
ただし、予備を用意するだけで、すべての問題が解決するわけではありません。
設定ミス、操作ミス、通信の問題などで、サービスが使えなくなることもあります。
そのため、冗長化に加えて、監視、バックアップ、復旧手順も大切です。
可用性だけ高くても情報セキュリティは十分ではない
可用性が高くても、誰でも情報を見られる状態では安全とは言えません。
また、データが勝手に書き換わる状態でも問題です。
情報セキュリティでは、機密性、完全性、可用性をバランスよく考える必要があります。
可用性に関するよくある質問
可用性の言い換えは?
可用性は、「使える状態」「利用できる状態」「使える度合い」などと言い換えられます。
初心者向けに説明するなら、「使いたいときに使えること」と言うと伝わりやすいです。
可用性とは情報セキュリティで何を意味しますか?
情報セキュリティでの可用性とは、必要な人が必要なときに情報やシステムを使えることです。
情報を守るだけでなく、使うべき人が使える状態にしておくことも大切です。
可用性と機密性・完全性の覚え方は?
次のように覚えるとわかりやすいです。
- 機密性:見てよい人だけが見られる
- 完全性:情報が正しいまま保たれる
- 可用性:必要なときに使える
「見る人を守る」「中身を守る」「使える状態を守る」と考えると、違いを整理しやすくなります。
可用性を高める対策には何がありますか?
可用性を高める対策には、予備のサーバーを用意する、バックアップを取る、障害を監視する、復旧手順を決めるなどがあります。
大切なのは、止まらない工夫だけでなく、止まったときに早く戻せる準備もしておくことです。
可用性の状態エラーとは関係がありますか?
「可用性の状態エラー」は、Windowsや特定の機器、サービスで表示されるエラー名として検索されることがあります。
この記事で説明している可用性は、IT用語としての「使える状態を保つこと」です。
エラーの対処法を知りたい場合は、使っているパソコン、サービス名、表示されたエラー文をもとに確認する必要があります。
まとめ:可用性とは、必要なときに使える状態を守ること
可用性とは、システムや情報を「必要なときに使える状態」にしておくことです。
ネット銀行、メール、学校や会社のシステムなど、私たちが日常で使う多くのサービスに関係しています。
情報セキュリティでは、機密性・完全性・可用性の3つが大切です。機密性は「見てよい人だけが見られること」、完全性は「情報が正しいこと」、可用性は「必要なときに使えること」です。
また、可用性を高めるには、冗長性、バックアップ、監視、復旧手順などが役立ちます。
可用性99.9%と99.99%では、数字の差は小さく見えます。しかし、実際に止まってよい時間は大きく変わります。
可用性とは何かを理解すると、ITシステムがなぜ止まらないように作られているのか、なぜ予備の仕組みが必要なのかがわかりやすくなります。

