MTBF・MTTRとは、機器やシステムの故障しにくさと、故障した後の直りやすさを表す数字です。
かんたんに言うと、MTBFは「故障せずに動いた時間」、MTTRは「故障してから再び使えるまでの時間」です。
MTBFは長いほどよく、MTTRは短いほどよいと考えます。
この記事では、MTBFとMTTRの意味や違い、計算式、稼働率の求め方を初心者向けに解説します。MTTFとの違いや覚え方も、具体例を使って紹介します。
先に覚えたい言葉
- 稼働:機器やシステムが動いていること
- 障害:システムやサービスが正常に使えない状態
- 復旧:再び使える状態に戻すこと
- 指標:状態を数字で確認するための目安
関連するIT用語・ビジネス用語をまとめて確認したい方は、IT用語・ビジネス用語一覧もあわせてご覧ください。
MTBF・MTTRとは
MTBFとMTTRは、機器やシステムがどのくらい安定して動いているかを、数字で確認するための指標です。
MTBFを見ると、故障と故障の間がどのくらい空いているかが分かります。MTTRを見ると、故障してから再び使えるまでに、どのくらい時間がかかったかが分かります。
MTBFとは故障から次の故障までの平均時間
MTBFとは、修理しながら使い続ける機器やシステムについて、故障から次の故障までに動いた平均時間を表す数字です。
日本語では「平均故障間隔」と呼ばれます。数字が大きいほど、故障と故障の間が長いことを表します。
たとえば、修理しながら使っている機械のMTBFが200時間なら、平均すると200時間動くごとに故障が発生したという意味です。
ただし、必ず200時間で故障するわけではありません。MTBFは、複数の結果をもとに計算した平均値です。
平均値とは、複数の数字を合計し、その数で割った数字です。
MTTRとは故障してから復旧するまでの平均時間
MTTRとは、故障や障害が起きてから、機器やシステムが再び使える状態になるまでの平均時間です。
日本語では「平均修復時間」や「平均復旧時間」と呼ばれます。数字が小さいほど、短い時間で復旧できていることを表します。
たとえば、MTTRが2時間なら、故障や障害が起きてから復旧するまでに、平均で2時間かかったという意味です。
故障と障害の違い
故障とは、機器や部品が壊れた状態です。
障害とは、機器が壊れていなくても、システムやサービスが正常に使えない状態を含みます。
たとえば、部品が壊れた場合は故障です。設定の間違いによってWebサービスが開けない場合は、障害と呼ばれることがあります。
修理と復旧の違い
修理とは、壊れた機器や部品を直すことです。
復旧とは、システムやサービスを再び使える状態に戻すことです。
機器を交換してサービスを再開する場合、壊れた機器をその場で修理していなくても、システムは復旧したといえます。
MTBFとMTTRは何の略?英語の意味
MTBFは「Mean Time Between Failures」の略です。
- Mean:平均
- Time:時間
- Between:間
- Failures:故障
日本語では「平均故障間隔」と訳されます。故障と故障の間に、どのくらい動いたかを表す言葉です。
MTTRは、一般に「Mean Time To Repair」の略として使われます。
- Mean:平均
- Time:時間
- To Repair:修理するまで
MTTRの最後のRは、使われる場面によってRecoveryやRestoreなどを表すこともあります。
この記事では、故障や障害が起きてから、再び使える状態になるまでの平均時間として説明します。
MTBFとMTTRの違い
MTBFとMTTRの大きな違いは、調べる時間の範囲です。
MTBFは、機器やシステムが正常に動いていた時間を調べます。MTTRは、故障や障害によって使えなかった時間を調べます。
| 比較する項目 | MTBF | MTTR |
|---|---|---|
| 表すもの | 故障から次の故障までの平均時間 | 故障してから復旧するまでの平均時間 |
| 日本語 | 平均故障間隔 | 平均修復時間・平均復旧時間 |
| 数字の見方 | 長いほどよい | 短いほどよい |
| 主な目的 | 故障しにくさを確認する | 復旧の早さを確認する |
| 対象となる時間 | 正常に動いていた時間 | 使えなかった時間 |
MTBFは長いほどよい
MTBFが長いと、故障と故障の間が長いことを表します。
たとえば、MTBFが100時間から200時間になれば、平均の故障間隔は2倍に伸びています。
MTTRは短いほどよい
MTTRが短いと、故障や障害が起きても、早く復旧できていることを表します。
たとえば、MTTRが4時間から2時間になれば、復旧までの平均時間は半分になっています。
MTBFは長く、MTTRは短くすることが基本です。
MTBFとMTTRを身近な例で考えてみよう
MTBFとMTTRは、自動販売機を例にするとイメージしやすくなります。
自動販売機を例にしたMTBF
ある自動販売機が、修理後に200時間動いて故障したとします。
修理して再び動かした後も、次の故障まで200時間動きました。この場合、故障と故障の間の平均時間は200時間です。
この200時間に当たる数字がMTBFです。
自動販売機を例にしたMTTR
自動販売機が故障した後、作業員が部品を交換し、2時間で再び使えるようになったとします。
別の故障でも復旧に2時間かかった場合、MTTRは2時間です。
ITシステムでは何を表すのか
ITシステムでも考え方は同じです。
MTBFは、システムが復旧してから次の障害が起きるまでに、正常に動いた平均時間を表します。
MTTRは、システム障害が起きてから、利用者が再び使える状態になるまでの平均時間を表します。
自動販売機では機械の故障を扱います。ITでは、サーバーの停止やアプリの障害などを扱います。
サーバーとは、データやサービスをほかのコンピューターへ提供するコンピューターです。
MTBFとMTTRの計算式と求め方
MTBFとMTTRは、一定期間に記録した稼働時間、停止時間、故障回数を使って計算します。
ここでは、次の例を使います。
- 正常に動いていた時間の合計:1,000時間
- 故障回数:5回
- 復旧にかかった時間の合計:10時間
MTBFの計算式
MTBFは、正常に動いていた時間の合計を故障回数で割って求めます。
MTBF=正常に動いていた時間の合計÷故障回数
例の数字を当てはめると、次のようになります。
1,000時間÷5回=200時間
このシステムのMTBFは200時間です。平均すると、200時間動くごとに故障が起きたことになります。
MTTRの計算式
MTTRは、復旧にかかった時間の合計を故障回数で割って求めます。
MTTR=復旧にかかった時間の合計÷故障回数
例の数字を当てはめると、次のようになります。
10時間÷5回=2時間
このシステムのMTTRは2時間です。故障してから復旧するまでに、平均で2時間かかったことを表します。
MTBFとMTTRの計算結果
| 指標 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| MTBF | 1,000時間÷5回 | 200時間 |
| MTTR | 10時間÷5回 | 2時間 |
正しく計算するには、正常に動いていた時間と、使えなかった時間を分けて記録することが大切です。
MTBFとMTTRから稼働率を計算する方法
MTBFとMTTRを使うと、機器やシステムの稼働率を計算できます。
稼働率とは、全体の時間のうち、正常に使えた時間の割合です。
MTBFとMTTRを使った稼働率の計算式
稼働率は、次の式で求めます。
稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)
パーセントで表す場合は、計算結果に100を掛けます。
稼働率(%)=MTBF÷(MTBF+MTTR)×100
稼働率を実際に計算する例
先ほど求めたMTBFが200時間、MTTRが2時間の場合で計算します。
200÷(200+2)×100
=200÷202×100
=約99.01%
このシステムの稼働率は約99.01%です。
つまり、全体の時間の約99.01%は、正常に使える状態だったと考えられます。
稼働率を高くする2つの方法
稼働率を高くする方法は、大きく分けて2つあります。
- MTBFを長くして、故障の回数を減らす
- MTTRを短くして、復旧を早くする
故障の原因を調べて対策すると、MTBFを長くできる可能性があります。
復旧手順をまとめたり、交換部品を準備したりすると、MTTRを短くできる可能性があります。
MTBFとMTTRはどのような場面で使われる?
MTBFとMTTRは、ITだけでなく、工場や設備の管理でも使われます。
共通する目的は、故障の起き方と復旧の早さを数字で確認し、改善につなげることです。
会社のITシステムを管理するとき
会社では、業務システムやWebサービス、ネットワークなどの管理に使われます。
ネットワークとは、コンピューター同士をつなぎ、データをやり取りする仕組みです。
障害の記録からMTBFとMTTRを計算すると、障害が起きる間隔や、復旧にかかる時間を確認できます。
工場の機械を管理するとき
工場では、製造機械や検査装置などの管理に使われます。
故障が多い機械や、修理に時間がかかる機械を見つけ、点検方法や部品の交換時期を見直すために役立ちます。
故障や障害の改善目標を決めるとき
「障害を減らす」という目標だけでは、改善できたか判断しにくいことがあります。
そこで、「MTBFを200時間から300時間にする」「MTTRを2時間から1時間にする」のように、数字で目標を決めます。
改善前と改善後を比べやすくなり、対策の効果も確認できます。
MTBFとMTTRの覚え方
MTBFとMTTRは英字が似ているため、最初は区別しにくいかもしれません。
英語の一部と、数字の大小を組み合わせると覚えやすくなります。
MTBFは故障と故障の間と覚える
MTBFの「B」は、Betweenの頭文字です。Betweenには「間」という意味があります。
そのため、MTBFは故障と故障の間を表すと覚えられます。
MTTRは復旧にかかる時間と覚える
MTTRの最後の「R」は、RepairやRecoveryなどの頭文字です。
そのため、MTTRは修理や復旧にかかる時間と覚えられます。
MTBFは長く、MTTRは短くする
数字の見方も一緒に覚えておきましょう。
- MTBF:故障までの間隔なので、長い方がよい
- MTTR:復旧までの時間なので、短い方がよい
MTBFは長く、MTTRは短くと覚えると、2つを区別しやすくなります。
MTBF・MTTR・MTTFの違い
MTBFやMTTRと似た言葉に、MTTFがあります。
MTTFは「Mean Time To Failure」の略で、日本語では「平均故障時間」と呼ばれます。
MTTFとは故障するまでの平均時間
MTTFとは、使い始めてから故障するまでの平均時間です。
一般には、故障した後に修理せず、新しいものへ交換する製品に使われます。
たとえば、電球や一部の電子部品などが対象です。
MTBFとMTTFの使い分け
MTBFとMTTFは、どちらも故障までに動いた時間を扱います。
主な違いは、故障した後に修理して使い続けるか、新しいものへ交換するかです。
| 指標 | 表すもの | 主な対象 |
|---|---|---|
| MTBF | 故障から次の故障までの平均時間 | 修理して使い続ける機器やシステム |
| MTTR | 故障してから復旧するまでの平均時間 | 修理や復旧が必要な機器やシステム |
| MTTF | 使い始めてから故障するまでの平均時間 | 故障後に交換する製品や部品 |
修理して使い続けるかどうかが判断のポイント
修理して何度も使う機器やシステムでは、主にMTBFを使います。
故障したら新しいものへ交換する製品では、主にMTTFを使います。
実際の現場では、対象や測り方によって言葉の使い方が異なることがあります。数字を見るときは、何を対象に、どこからどこまでの時間を測ったのかも確認しましょう。
MTBFとMTTRで初心者が間違えやすい点
MTBFとMTTRは、意味だけでなく、数字の見方にも注意が必要です。
MTBFは修理時間を表す数字ではない
MTBFは、修理にかかった時間ではありません。
修理や復旧が終わり、正常に動き始めてから、次の故障が起きるまでの平均時間です。
MTTRは故障回数を表す数字ではない
MTTRは、故障した回数を表すものではありません。
故障や障害が起きてから、再び使える状態になるまでにかかった平均時間です。
MTBFが長くても故障しないとは限らない
MTBFは、過去の記録などから求めた平均値です。
MTBFが1,000時間でも、すべての機器が必ず1,000時間動くわけではありません。100時間で故障する場合もあれば、2,000時間以上動く場合もあります。
時間の単位をそろえる
MTBFやMTTRでは、時間、分、日などの単位が使われます。
単位とは、数字が何を表すかを示すものです。
たとえば、MTBFが200時間、MTTRが30分の場合は、MTTRを0.5時間に直してから稼働率を計算します。
MTTRの時間をどこから数えるか確認する
MTTRは、使われる場面によって時間の数え方が異なることがあります。
修理作業だけを数える場合もあれば、障害の発生から確認、修理、動作確認、復旧までを数える場合もあります。
複数の数字を比べるときは、同じ条件で計算されているか確認することが大切です。
基本情報技術者試験などで押さえたいポイント
MTBFとMTTRを学ぶときは、意味だけでなく、計算式までセットで覚えると理解しやすくなります。
MTBFとMTTRの意味を区別する
- MTBF:故障と故障の間に動いた平均時間
- MTTR:故障してから復旧するまでの平均時間
「MTBFは長い方がよく、MTTRは短い方がよい」という関係も押さえておきましょう。
稼働率の計算式を覚える
稼働率の計算式は、次のとおりです。
稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)
分母には、正常に動いている時間と、使えない時間の合計を入れます。分子には、正常に動いている時間であるMTBFを入れます。
直列システムと並列システムは計算方法が異なる
複数の機器で一つのシステムを作る場合は、機器の組み合わせ方によって、システム全体の止まりやすさが変わります。
どれか一つが止まると全体も止まる仕組みを「直列システム」といいます。
一部が止まっても、別の機器で動かせる仕組みを「並列システム」といいます。
直列と並列では、全体の稼働率を求める式が異なります。まずは、1台の機器におけるMTBF、MTTR、稼働率の関係を理解しましょう。
MTBFとMTTRについてよくある質問
MTBFとMTTRは何の略ですか?
MTBFは「Mean Time Between Failures」の略です。日本語では「平均故障間隔」と呼ばれます。
MTTRは一般に「Mean Time To Repair」の略です。日本語では「平均修復時間」や「平均復旧時間」と呼ばれます。
MTBFとMTTRはどちらが大きい方がよいですか?
MTBFは大きい方がよい数字です。故障から次の故障までの時間が長いことを表します。
MTTRは小さい方がよい数字です。故障から復旧までの時間が短いことを表します。
MTBFとMTTRの単位は何ですか?
一般には、時間、分、日などを使います。
計算や比較をするときは、時間と分が混ざらないように、単位をそろえる必要があります。
MTBFと故障率にはどのような関係がありますか?
故障率とは、一定時間の中で故障が起きる割合や起こりやすさです。
一般に、MTBFが長くなるほど、一定時間内に故障する回数は少なくなります。
ただし、実際の故障の起き方は、機器の古さ、使い方、環境などによって変わります。
MTBFとMTTRだけで稼働率を計算できますか?
1台の機器や、一つのまとまりとして考えるシステムの基本的な稼働率は、MTBFとMTTRを使って計算できます。
計算式は「MTBF÷(MTBF+MTTR)」です。
複数の機器を組み合わせたシステムでは、機器の組み合わせ方を考えた計算が必要になる場合があります。
MTBFとMTTFの違いは何ですか?
MTBFは、修理して使い続ける機器やシステムの故障間隔に使われます。
MTTFは、故障した後に修理せず、新しいものへ交換する製品が故障するまでの時間に使われます。
MTBFを長くするにはどうすればよいですか?
故障の原因を調べ、同じ故障が起きないように対策します。
定期的な点検、古い部品の交換、機器やシステムの見直しなども、MTBFを長くする方法です。
MTTRを短くするにはどうすればよいですか?
障害を早く見つけ、担当者へすぐに連絡できる仕組みを整えます。
復旧手順の作成、交換部品の準備、過去の障害記録の整理なども役立ちます。
まとめ|MTBF・MTTRとは故障間隔と復旧時間を表す指標
MTBF・MTTRとは、機器やシステムの故障しにくさと、故障した後の直りやすさを確認するための指標です。
- MTBFは、故障から次の故障までに動いた平均時間
- MTTRは、故障してから復旧するまでの平均時間
- MTBFは長いほどよい
- MTTRは短いほどよい
- MTBF=正常に動いていた時間の合計÷故障回数
- MTTR=復旧にかかった時間の合計÷故障回数
- 稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)
MTBFとMTTRは、どちらか一方だけでなく、組み合わせて確認することが大切です。
MTBFを長くし、MTTRを短くすると、機器やシステムを安定して使いやすくなります。

