システムライフサイクルとは、システムを考え、作り、使い、直し、最後に使い終えるまでの流れのことです。
かんたんに言うと、システムの「一生」です。
この記事でいうシステムとは、パソコンやスマホそのものではありません。予約、注文、会員登録、在庫管理などを動かす仕組みのことです。
たとえば、ネット予約の仕組みもシステムです。学校の出欠管理、銀行のATM、ネットショップの注文画面などもシステムに含まれます。
この記事では、システムライフサイクルの意味、プロセス、図での考え方、ITパスポートでのポイントを初心者向けに解説します。
ここだけ読めばOK
システムライフサイクルとは、システムを作る前の企画から、使い終わって廃棄するまでの流れです。
開発だけでなく、要件定義、設計、テスト、導入、運用、保守、廃棄まで含みます。
ほかのIT用語も知りたい方は、初心者向けのIT用語辞典もあわせてご覧ください。
システムライフサイクルとは
かんたんに言うと、システムの一生の流れ
システムライフサイクルとは、システムが生まれてから役目を終えるまでの流れです。
ライフサイクルとは、「始まりから終わりまでの流れ」という意味です。この記事では、システムを作り、使い、終えるまでの流れという意味で使います。
システムは、いきなり作られるわけではありません。何のために作るかを考え、必要なことを整理し、作って、使いながら直していきます。
身近な例で見るシステムライフサイクル
家を建てる流れに近いと考えると、わかりやすくなります。
まず、どんな家に住みたいかを考えます。次に、部屋の数や広さを決め、設計図を作り、工事をして、完成後に住み始めます。
住み始めたあとも、電気や水回りを直すことがあります。古くなれば、建て替えや解体を考えることもあります。
ITでも同じです。システムライフサイクルは、システムを作る前から、使い終えるまでをまとめて見る考え方です。
システムライフサイクルのプロセス
プロセスとは、ものごとを進める順番のことです。
この記事では、システムを作り、使い、終えるまでの手順という意味で使います。
システムライフサイクルのプロセスは、主に次の流れで考えます。
- 企画
- 要件定義
- 設計
- 開発
- テスト
- 導入
- 運用
- 保守
- 廃棄
企画:何のために作るかを考える
企画は、システムを作る目的を考える段階です。
たとえば、「予約の電話を減らしたい」「在庫をすぐ確認できるようにしたい」「紙の申請を減らしたい」といった目的を整理します。
ここで大切なのは、システムを作ること自体を目的にしないことです。何をよくしたいのかを先に考えます。
要件定義:必要なことを整理する
要件定義とは、システムに必要なことを先に決める作業です。
たとえば予約システムなら、「日時を選べる」「名前を入力できる」「予約の確認メールを送る」といった内容を整理します。
ここで決めた内容が、あとで設計や開発のもとになります。そのため、要件定義はシステム作りの土台です。
設計:どう作るかを決める
設計は、要件定義で決めた内容をもとに、どう作るかを決める段階です。
たとえば、画面の見た目、ボタンの位置、入力する項目、処理の流れなどを考えます。
家づくりでいえば、間取りや配線を決めるようなものです。
開発:実際に作る
開発は、設計にそってシステムを実際に作る段階です。
プログラムを書く作業だけではありません。画面を作る、情報を保存する場所を用意する、といった作業も含まれます。
システム開発の流れをより広く知りたい場合は、システム開発の記事も参考になります。
テスト:正しく動くか確認する
テストは、作ったシステムが正しく動くかを確認する段階です。
学校の試験のように点数を付けるものではありません。使う人が困らないように、動きを確認する作業です。
たとえば、予約ボタンを押したときに予約が入るかを確認します。間違った入力をしたときに、分かりやすい案内が出るかも確認します。
導入:使える状態にする
導入は、完成したシステムを実際に使える状態にする段階です。
会社のパソコンやスマホから使えるようにしたり、使う人に手順を伝えたりします。
新しいシステムに切り替えるときは、古いやり方と新しいやり方を比べながら進めることもあります。
運用:毎日使えるように管理する
運用とは、システムを毎日使えるように管理することです。
たとえば、問題なく動いているかを確認します。使う人からの問い合わせに対応することもあります。
運用は、システムを「現状維持」で元気に動かし続けることです。日々の健康管理や見守りに近い作業です。
保守:問題を直したり改善したりする
保守とは、問題を直したり、少し使いやすくしたりすることです。
たとえば、画面の表示がおかしい場合に直します。新しい使い方に合わせて、項目を追加することもあります。
保守は、システムを「変更・改善」することです。病気になったら治す、古くなった部分を直す、と考えると分かりやすいです。
運用は「日々トラブルなく動かすこと」、保守は「不具合を直したり機能を追加したりすること」と分けると、ITパスポートの学習でも迷いにくくなります。
廃棄:使い終わったシステムを整理する
廃棄とは、使わなくなったシステムを整理して終わらせることです。
ただ消すだけではありません。必要な情報を残す、古い情報を安全に消す、使う人に連絡する、といった作業も含まれます。
たとえば、古い予約システムから新しい予約システムに変えるときは、予約情報を移すことがあります。
システムライフサイクルを図で見るとわかりやすい
システムライフサイクルは、図で見ると全体像がつかみやすくなります。
大きく分けると、「作る前」「作るとき」「使うとき」「終えるとき」の流れです。
| 大きな流れ | 主な作業 | かんたんな意味 |
|---|---|---|
| 作る前 | 企画、要件定義 | 目的や必要なことを決める |
| 作るとき | 設計、開発、テスト | システムを作り、確認する |
| 使うとき | 導入、運用、保守 | 使えるようにし、直しながら使う |
| 終えるとき | 廃棄 | 使わなくなったシステムを整理する |
このように、システムライフサイクルは「開発だけ」ではありません。システムの始まりから終わりまでをまとめて見ます。
ITパスポートでは大きな流れで覚える
ITパスポートでは、細かい言葉を丸暗記するよりも、大きな流れで見ると理解しやすくなります。
まずは、企画、開発、運用、保守という大きな流れを押さえましょう。
そのうえで、要件定義、設計、テスト、導入、廃棄がどこに入るのかを見ていくと整理しやすくなります。
一方通行ではなく、見直しながら進むこともある
システムライフサイクルは、いつも一直線に進むとは限りません。
テストで問題が見つかれば、設計や開発に戻って直すことがあります。使い始めたあとに、新しい要望が出ることもあります。
そのため、システムライフサイクルの図では、丸い流れや、戻りの矢印で表されることもあります。
システムライフサイクルと要件定義の関係
要件定義はシステム作りの土台になる
要件定義は、システムライフサイクルの前半にある大切な段階です。
ここで「何を作るか」を整理します。誰が使うのか、どんな画面が必要か、どんな情報を扱うかを決めます。
この段階がはっきりしていると、設計や開発が進めやすくなります。
要件定義があいまいだと後の工程で困りやすい
要件定義があいまいだと、あとで作り直しが増えることがあります。
たとえば、「予約できるようにする」とだけ決めても、細かい内容は分かりません。何日前まで予約できるのか、キャンセルできるのか、確認メールを送るのかが決まっていないからです。
システムライフサイクルでは、早い段階で必要なことを整理することが大切です。
システムライフサイクルは何年くらいか
年数はシステムの目的や使い方で変わる
システムライフサイクルが何年くらいかは、システムによって変わります。
短いものなら数カ月で見直されることもあります。会社の大きなシステムでは、何年も使われることがあります。
そのため、「必ず何年」と決まっているわけではありません。
長く使うほど運用・保守が大切になる
長く使うシステムほど、運用・保守が大切になります。
使う人が増えたり、仕事の流れが変わったりすると、システムにも見直しが必要になるからです。
古くなったまま使い続けるのではなく、必要に応じて直すことが大切です。
システムライフサイクルと似た言葉の違い
システム開発との違い
システム開発は、システムを作る作業に注目した言葉です。
一方、システムライフサイクルは、作る前の企画から、作った後の運用、保守、廃棄まで含みます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| システム開発 | システムを作る作業に注目した言葉 |
| システムライフサイクル | 企画から廃棄まで、システムの一生を見る言葉 |
システムライフサイクルプロセスとの違い
システムライフサイクルは、システムの一生の流れを表す言葉です。
システムライフサイクルプロセスは、その流れの中で行う作業や手順を表す言葉です。
かんたんに言うと、ライフサイクルは「全体の流れ」です。プロセスは「その中の作業の進め方」です。
SLC・SLCP・共通フレームとの違い
SLCは、System Life Cycleを短くした言い方です。
日本語では、システムライフサイクルとほぼ同じ意味で使われることがあります。
SLCPは、Software Life Cycle Processを短くした言い方です。日本語では、ソフトウェアライフサイクルプロセスと呼ばれます。
共通フレームは、システムやソフトウェアに関わる人が、同じ言葉や考え方で仕事を進めやすくするための枠組みです。
初心者のうちは、SLCは「システムの一生」、SLCPや共通フレームは「その一生を進めるための共通ルール」と考えると分かりやすいです。
ITパスポートでのシステムライフサイクルのポイント
ITパスポートは、ITの基礎を問う国家試験です。
システムライフサイクルは、システムを作る流れや、作った後に使い続ける考え方と関係します。
ITパスポートのマネジメント系をまとめて確認したい場合は、マネジメント系の記事も参考になります。
丸暗記よりも流れで覚える
システムライフサイクルは、言葉だけを丸暗記すると分かりにくくなります。
「何のために作るかを考える」「必要なことを整理する」「作る」「確認する」「使い続ける」という流れで覚えると理解しやすくなります。
特に、企画、開発、運用、保守の大きな流れを意識しましょう。
共通フレームやSLCPは関連語として押さえる
ITパスポートの学習では、共通フレームやSLCPという言葉に出会うことがあります。
難しく見えますが、かんたんに言うと「システムやソフトウェアの一生を、関係者が同じ考え方で進めるためのルール」です。
まずは、この記事で紹介した企画、要件定義、設計、開発、テスト、導入、運用、保守、廃棄の流れを押さえましょう。
IPAという言葉が出たら公的な情報として見る
IPAは、ITの試験や情報セキュリティなどに関わる公的な団体です。
試験の学習で「IPA」と出てきた場合は、公的な資料や試験に関係する情報として見るとよいです。
ただし、初心者のうちは団体名を深く覚えるよりも、システムライフサイクルの流れを先に覚えるほうが理解しやすいです。
企画、要件定義、開発、運用・保守をつなげて理解する
ITパスポートでは、用語を別々に覚えるより、つながりで見ることが大切です。
要件定義で決めたことをもとに設計し、開発し、テストします。その後、導入して、運用・保守で使い続けます。
ITパスポートの用語をまとめて復習したい場合は、IT用語の記事も参考になります。
初心者が間違えやすい点
開発だけを指す言葉ではない
システムライフサイクルは、開発だけを指す言葉ではありません。
企画、要件定義、設計、テスト、導入、運用、保守、廃棄まで含みます。
「システムを作る作業」よりも、「システムの一生」と考えると分かりやすいです。
運用と保守を同じ意味で考えない
運用と保守は、似ていますが同じ意味ではありません。
運用は、システムを日々トラブルなく動かすことです。今の状態を保ちながら、安定して使えるようにします。
保守は、不具合を直したり、機能を追加したりすることです。つまり、システムに手を入れて変更・改善します。
運用は「見守る」、保守は「直す・よくする」と考えると覚えやすいです。
廃棄はパソコンを捨てることだけではない
廃棄と聞くと、パソコンや機械を捨てることを思い浮かべるかもしれません。
システムライフサイクルでの廃棄は、それだけではありません。使わなくなったシステムを整理して、安全に終わらせることです。
必要な情報を残す、不要な情報を消す、新しいシステムへ移す、といった作業も含まれます。
すべてのシステムが同じ年数で終わるわけではない
システムライフサイクルの長さは、システムによって違います。
短い期間で見直すシステムもあれば、長く使うシステムもあります。
大切なのは、年数を決めつけることではありません。目的に合っているかを見直すことです。
この記事で出てくる用語のかんたん説明
ここまでに出てきた言葉を、かんたんに整理します。
| 用語 | かんたんな意味 |
|---|---|
| システム | 予約、注文、在庫管理などを動かす仕組み |
| ライフサイクル | 始まりから終わりまでの流れ |
| プロセス | ものごとを進める順番 |
| 企画 | 何のために作るかを考えること |
| 要件定義 | システムに必要なことを整理する作業 |
| 設計 | どう作るかを決めること |
| 開発 | 画面や仕組みを実際に作ること |
| テスト | 正しく動くか確認すること |
| 導入 | 実際に使える状態にすること |
| 運用 | システムを毎日使えるように管理すること |
| 保守 | 問題を直したり、使いやすく改善したりすること |
| 廃棄 | 使わなくなったシステムを整理して終わらせること |
| データ | 名前、予約日、注文内容などの情報 |
| SLC | システムライフサイクルを短くした言い方 |
| SLCP | ソフトウェアライフサイクルプロセスを短くした言い方 |
| 共通フレーム | システムやソフトウェアに関わる人が、同じ考え方で進めるための枠組み |
| IPA | IT試験などに関わる公的な団体 |
システムライフサイクルとは何かに関するよくある質問
システムライフサイクルとは何ですか?
システムライフサイクルとは、システムを企画し、作り、使い、直し、最後に廃棄するまでの流れです。
かんたんに言うと、システムの一生を表す言葉です。
システムライフサイクルのプロセスには何がありますか?
主なプロセスには、企画、要件定義、設計、開発、テスト、導入、運用、保守、廃棄があります。
システムの種類や会社の進め方によって、名前や分け方が少し変わることもあります。
システムライフサイクルは何年くらいですか?
システムによって変わります。
数カ月で見直されるものもあれば、何年も使われるものもあります。目的や使い方に合わせて見直すことが大切です。
システムライフサイクルとシステム開発は同じですか?
同じではありません。
システム開発は、主にシステムを作る作業に注目した言葉です。システムライフサイクルは、企画から運用、保守、廃棄までを含みます。
SLCPや共通フレームとは何ですか?
SLCPは、ソフトウェアライフサイクルプロセスを短くした言い方です。
共通フレームは、システムやソフトウェアに関わる人が、同じ考え方で仕事を進めるための枠組みです。
初心者のうちは、まずシステムライフサイクルの流れを理解してから、関連語として押さえるとよいです。
ITパスポートではどこを覚えればよいですか?
まずは、企画、開発、運用、保守の大きな流れを覚えるとよいです。
あわせて、要件定義、設計、テスト、導入、廃棄がどの流れに関係するかを見ておきましょう。
まとめ:システムライフサイクルとは、システムの一生を整理した流れ
システムライフサイクルとは、システムを考え、作り、使い、直し、最後に廃棄するまでの流れです。
開発だけでなく、企画、要件定義、設計、テスト、導入、運用、保守、廃棄まで含みます。
初心者は、まず「システムの一生」と考えると理解しやすくなります。
ITパスポートの学習では、各工程をばらばらに覚えるのではなく、流れで見ることが大切です。企画、開発、運用、保守の大きな流れと、SLCPや共通フレームの関連もあわせて押さえておきましょう。
