WBSとは、大きな仕事を小さな作業に分けて、整理する考え方のことです。
かんたんに言うと、「完成までに必要な作業を、もれなく洗い出すための表」です。大きな仕事を小さく分けることで、やることの抜けもれを防ぎやすくなります。
WBSは、まず「何をするか」を整理するものです。そこに担当者や期限を加えると、仕事を進めやすい管理表になります。
ITやシステム開発では、会社のホームページを作る、スマホやパソコンで使うアプリを作る、システムを直すといった仕事でよく使われます。
※この記事では、テレビ番組のWBSではなく、仕事やプロジェクト管理で使うWBSについて解説します。
ここだけ読めばOK
WBSとは、仕事を細かい作業に分けて整理するものです。
まず「何をするか」を洗い出します。そこに担当者や期限を加えると、仕事を進めやすい管理表になります。
ほかのIT用語も知りたい方は、初心者向けのIT用語辞典もあわせてご覧ください。
WBSとは何か

英語の名前や表の名前が出てきますが、まずは「仕事を小さく分ける表」と考えれば大丈夫です。
かんたんに言うと、作業を細かく分けて整理するもの
WBSとは、大きな仕事を小さな作業に分けて、階層にして整理するものです。
階層とは、大きなまとまりの下に、小さな作業がぶら下がる形のことです。
たとえば「文化祭を開く」という大きな仕事があるとします。これだけでは、何から始めればよいか分かりにくいです。
そこで、「会場を決める」「ポスターを作る」「出し物を決める」「当日の係を決める」のように分けます。
このように、大きな仕事を小さな作業に分けて整理する考え方がWBSです。
WBSの正式名称と読み方
WBSは「Work Breakdown Structure」の略です。
読み方は「ダブリュービーエス」です。
英語をそのまま訳すと、「仕事を分けた構造」という意味になります。
英語名まで覚える必要はありません。仕事を分けて、整理するものと考えれば十分です。
テレビ番組のWBSとは意味が違う
WBSという言葉は、テレビ番組の名前として使われることもあります。
この記事で説明するWBSは、テレビ番組のことではありません。
ITや仕事の管理で使うWBSです。作業を分けて、進めやすくするための考え方を指します。
WBSを使う目的
やることを見えるようにする
WBSを使う一番の目的は、やることを見えるようにすることです。
大きな仕事は、そのままだと全体がぼんやりします。
作業を細かく分けると、「今、何をすればよいか」が分かりやすくなります。
作業の抜けもれを防ぐ
仕事を進めていると、あとから「これを忘れていた」と気づくことがあります。
WBSを作ると、必要な作業を前もって確認できます。
そのため、作業の抜けもれを防ぎやすくなります。
担当者や期限を決めやすくする
WBSの中心は、「何をするか」を整理することです。
そこに担当者や期限を加えると、仕事を進めやすい表になります。
担当者とは、その作業を行う人のことです。期限とは、いつまでに終えるかという「しめ切り」のことです。
作業を細かく分けることで、「だれが」「いつまでに」行うのかを決めやすくなります。
WBSの身近な例
文化祭の準備で考えるWBS
文化祭の準備を例に考えてみます。
「文化祭の出し物を行う」という大きな仕事を、次のように分けます。
- 出し物を決める
- 必要な道具を考える
- 買い出しをする
- ポスターを作る
- 当日の係を決める
- 片付けの方法を決める
このように分けると、何をすればよいかが見えます。
WBSも同じです。ITの仕事でも、大きな作業を小さく分けて整理します。
旅行の準備で考えるWBS
旅行の準備でも、WBSの考え方が使えます。
- 行き先を決める
- 交通手段を決める
- 宿を予約する
- 持ち物を準備する
- 当日の予定を決める
「旅行に行く」だけでは、やることが見えにくいです。
作業を分けることで、準備が進めやすくなります。
ITでは作業を整理するために使われる
ITでは、ホームページを作る、スマホやパソコンで使うアプリを作る、システムを直すといった仕事でWBSが使われます。
WBSは、ITパスポートや基本情報技術者試験のマネジメント分野とも関係します。試験対策として学びたい方は、ITパスポートのマネジメント系入門や基本情報技術者試験のマネジメント入門も参考にしてください。
システムとは、仕事や生活を便利にするための仕組みのことです。たとえば、予約サイトや会員登録の仕組みなどもシステムの一つです。
たとえばホームページを作る場合、「デザインを作る」「文章を書く」「画像を用意する」「動きを確認する」などに分けます。
こうすることで、作業の全体が分かりやすくなります。
WBSの作り方

ゴールを決める
まず、何を完成させるのかを決めます。
これがWBSの出発点です。
たとえば、「会社のホームページを作る」「イベントの申し込みページを作る」などです。
大きな作業に分ける
次に、ゴールまでに必要な大きな作業を考えます。
ホームページを作る場合は、次のように分けられます。
- 内容を決める
- 画面の形を決める
- 文章を作る
- 画像を用意する
- ページを作る
- 動作を確認する
この段階では、細かくしすぎなくても大丈夫です。
小さな作業に分ける
大きな作業を、さらに小さな作業に分けます。
たとえば「文章を作る」は、次のように分けられます。
- トップページの文章を書く
- サービス紹介の文章を書く
- 会社情報の文章を書く
- 問い合わせページの文章を書く
小さく分けると、作業の量が見えやすくなります。
担当者と期限を入れる
作業を分けたら、必要に応じて担当者と期限を入れます。
WBSそのものは、作業を分けて整理するものです。担当者や期限は、仕事を管理しやすくするために加える情報です。
だれが行うのかを決めると、作業を進めやすくなります。
また、期限を入れることで、いつまでに終えるべきかが分かります。
最後に抜けもれがないか確認する
最後に、作業の抜けもれがないか確認します。
似た作業が重なっていないかも見ます。
必要に応じて、作業を足したり、まとめたりします。
WBSの具体例
ホームページを作る場合のWBS例
ホームページを作る場合、WBSは次のように作れます。
大きな作業の下に、小さな作業をぶら下げる形にすると、作業のまとまりが分かりやすくなります。
| 大きな作業 | 小さな作業 | 担当者 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 内容を決める | 必要なページを決める | 田中さん | 6月3日 |
| ページの並び方を決める | 田中さん | 6月5日 | |
| 文章を作る | トップページの文章を書く | 佐藤さん | 6月7日 |
| サービス紹介の文章を書く | 佐藤さん | 6月8日 | |
| 画像を用意する | トップ画像を選ぶ | 鈴木さん | 6月10日 |
| 使う画像の大きさを整える | 鈴木さん | 6月11日 | |
| ページを作る | トップページを作る | 山田さん | 6月15日 |
| 問い合わせページを作る | 山田さん | 6月16日 | |
| 確認する | 文字の間違いを確認する | 全員 | 6月18日 |
| リンクが正しく開くか確認する | 全員 | 6月18日 |
このように、大きな作業の下に小さな作業を並べると、WBSらしい形になります。
担当者や期限は、作業を進めやすくするために追加する情報です。
システム開発で使うWBS例
システム開発とは、仕事で使う仕組みやアプリなどを作ることです。
システム開発では、次のように作業を分けることがあります。
- どんな機能が必要かを決める
- 画面の形を決める
- プログラムを作る
- 正しく動くか確認する
- 使う人に説明する
機能とは、「できること」のことです。たとえば、ログインできる、申し込みができる、検索できるといったものです。
プログラムとは、コンピューターに動きを伝えるための指示です。
WBSを使うと、作る前の準備から確認まで、全体の流れを整理できます。
WBSとガントチャートの違い

WBSは作業を分けるもの
WBSは、仕事を作業に分けるためのものです。
中心になるのは、「何をするか」です。
そのため、WBSを見ると、必要な作業の一覧が分かります。
ガントチャートは日程を見るもの
ガントチャートとは、作業の予定を横長の表で表したものです。
カレンダーの上に、作業の期間を線で引いた表のようなものです。
いつからいつまで行うのかを見えるようにします。
中心になるのは、「いつ行うか」です。
両方を組み合わせると管理しやすい
WBSとガントチャートは、どちらか一方だけを使うものではありません。
まずWBSで作業を分けます。そのあと、ガントチャートで日程を見えるようにします。
つまり、WBSは作業の整理、ガントチャートは日程の整理に向いています。
WBSとスケジュール表の違い
スケジュール表は日付が中心
スケジュール表は、予定を日付ごとに整理する表です。
たとえば、「6月1日に会議」「6月3日に資料作成」のように書きます。
スケジュール表は、「いつ、何があるか」を見るためのものです。
WBSは作業の中身が中心
WBSは、作業の中身を中心に考えます。
「どんな作業が必要か」「どこまで分けるか」を整理します。
スケジュール表が日付を見るものなら、WBSはゴールまでに必要な作業全体を見るものです。
WBSテンプレートを使うときの注意点

テンプレートをそのまま使わない
WBSテンプレートとは、あらかじめ形が用意された表のことです。
Excelやスプレッドシートで使えるものもあります。
Excelとは、表を作ったり計算したりできるソフトのことです。スプレッドシートとは、インターネット上で使える表作成ツールのことです。
ただし、テンプレートをそのまま使うと、自分の仕事に合わないことがあります。
自分の仕事に合わせて直す
WBSは、仕事の内容に合わせて直すことが大切です。
必要のない項目は消します。足りない作業は追加します。
テンプレートは、あくまで出発点として使うとよいです。
細かくしすぎない
WBSは、細かく分ければよいというものではありません。
細かくしすぎると、表を見るだけで大変になります。
初心者は、「1人が担当できて、数日から1週間以内で終わるくらい」を目安にすると分かりやすいです。
たとえば「ホームページを作る」では大きすぎます。一方で「画像を1枚保存する」だけでは細かすぎることがあります。
初心者が間違えやすいポイント
作業を大きなままにしてしまう
「ホームページを作る」「資料を作る」のように、作業が大きすぎることがあります。
これでは、何から始めるかが分かりにくいです。
「文章を書く」「画像を用意する」「確認する」のように分けると、進めやすくなります。
担当者を決めないまま進めてしまう
作業だけを並べても、担当者が決まっていないと進みにくくなります。
「だれかがやるだろう」と思っていると、作業が残ることがあります。
WBSを使うときは、作業を洗い出したあとに担当者も書いておくと安心です。
期限だけを先に決めてしまう
期限だけを先に決めると、作業の量に合わない予定になることがあります。
まずは作業を分けます。そのうえで、どのくらい時間がかかるかを考えます。
そのあとに期限を決めると、無理のない予定に近づきます。
WBSだけで進捗管理が終わると思ってしまう
進捗管理とは、作業がどこまで進んでいるかを確認することです。
WBSは、作業を整理するために役立ちます。
ただし、作ったあとも見直しが必要です。作業が終わったか、遅れていないかを確認しながら使います。
WBSについてよくある質問
WBSは何の略ですか?
WBSは「Work Breakdown Structure」の略です。
仕事を細かく分けて整理するための考え方を指します。
英語名を覚えるよりも、「仕事を小さく分けるもの」と覚えると分かりやすいです。
WBSはIT以外でも使えますか?
はい、使えます。
文化祭、旅行、引っ越し、イベント準備などでも使えます。
大きな仕事を小さな作業に分けたいときに役立ちます。
WBSとガントチャートはどちらを先に作りますか?
基本は、WBSを先に作ります。
まず作業を分けてから、日程を考えると整理しやすいです。
そのあとにガントチャートを作ると、いつ何をするかが見えやすくなります。
WBSはExcelで作れますか?
はい、Excelでも作れます。
スプレッドシートでも作れます。
最初は、作業名、担当者、期限、進み具合を書ける表にすると分かりやすいです。
まとめ:WBSとは作業を分けて見えるようにするためのもの
WBSとは、大きな仕事を小さな作業に分けて整理するものです。
まずは、ゴールまでに必要な作業を洗い出します。そこに担当者や期限を加えると、仕事を進めやすい管理表になります。
WBSは、ITやシステム開発だけでなく、学校行事や旅行の準備にも使える考え方です。
まずは「何を完成させるのか」を決めます。次に、大きな作業、小さな作業の順に分けていきます。
WBSで作業を整理し、ガントチャートで日程を見えるようにすると、仕事を進めやすくなります。
