なぜなぜ分析とは、問題が起きたときに「なぜ?」をくり返して、本当の原因を探す方法です。 かんたんに言うと、同じ失敗をくり返さないために、理由を順番にたどる考え方です。
たとえば、スマホの充電を忘れたとします。 「なぜ忘れたのか」「なぜ気づかなかったのか」と考えると、ただのうっかりではなく、置き場所や確認の習慣に原因があるかもしれません。
ITの仕事でも考え方は同じです。 Webサイトやアプリがうまく動かないとき、メールを見落としたとき、確認もれでミスが起きたときなどに使えます。
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なぜなぜ分析とは、問題の表面だけを見ずに、「なぜ」をくり返して本当の原因を探す方法です。 大切なのは、人を責めることではなく、同じ問題を防ぐ仕組みを考えることです。
ほかのIT用語も知りたい方は、初心者向けのIT用語辞典もあわせてご覧ください。
なぜなぜ分析とは

なぜなぜ分析とは、起きた問題に対して「なぜそうなったのか」を何度か考え、原因を深く見ていく方法です。 原因とは、「そうなった理由」のことです。
なぜなぜ分析は、英語で「5 Whys」や「Five Whys」と呼ばれることがあります。 「5回のなぜ」という意味です。
ただし、必ず5回で終わらせる必要はありません。 大切なのは、回数ではなく、同じ問題を防ぐために役立つ原因まで考えることです。
なぜなぜ分析を身近な例で考える
まずは、身近な例で考えてみましょう。 ここでは、スマホの充電を忘れた場合を例にします。
スマホの充電を忘れた例
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 問題 | 朝、スマホの充電が切れていた |
| なぜ1 | 夜に充電しなかったから |
| なぜ2 | 充電器を別の部屋に置いていたから |
| なぜ3 | 寝る前にスマホを置く場所が決まっていなかったから |
| 防ぐためにやること | ベッドの近くに充電器を置き、寝る前に充電する習慣を作る |
この例では、「忘れた人が悪い」で終わっていません。 充電しやすい置き場所や習慣を作ることで、同じことを防ごうとしています。
ITでも同じです。 「担当者が悪い」ではなく、「なぜ見落としが起きたのか」「どうすれば次から防げるのか」を考えます。
なぜなぜ分析が使われる場面
なぜなぜ分析は、仕事や学習のいろいろな場面で使われます。 ITだけでなく、製造、医療、介護、学校、店舗運営などでも使われます。
仕事のミスを減らしたいとき
書類の確認もれ、連絡の忘れ、入力ミスなどが続くときに使えます。 ただ注意するだけではなく、ミスが起きにくい手順を考えるためです。
Webサイトやアプリがうまく動かないとき
Webサイトやアプリが、いつも通りに動かないことがあります。 たとえば、ページが開かない、データが保存できない、知らせるメッセージが届かないといった状態です。
このようなときも、なぜなぜ分析が使えます。 「何が起きたか」だけでなく、「なぜ気づくのが遅れたのか」「なぜ同じミスが起きたのか」まで考えられます。
同じトラブルをくり返したくないとき
なぜなぜ分析の目的は、同じ問題を防ぐことです。 再発とは、同じことがまた起きることです。
何度も起きている問題ほど、なぜなぜ分析が役立ちます。 表面だけを直すのではなく、問題が起きにくい形に変えられるからです。
なぜなぜ分析のやり方

なぜなぜ分析のやり方は、むずかしくありません。 ただし、順番をまちがえると、思い込みや人を責める話になりやすいので注意が必要です。
手順1:起きた問題を1つにしぼる
まず、何が起きたのかを短く書きます。 このとき、問題を大きくしすぎないことが大切です。
たとえば、「仕事がうまくいかない」では広すぎます。 「お客さまへの返信が1日遅れた」のように、起きたことを具体的に書きます。
手順2:最初の「なぜ」を考える
次に、その問題がなぜ起きたのかを考えます。 ここでは、すぐに思いつく理由でかまいません。
ただし、「注意不足だった」「やる気がなかった」のように、人の性格で終わらせないようにします。 できるだけ、実際に見えることを書きます。
手順3:答えに対して、さらに「なぜ」を考える
1つ目の答えに対して、さらに「なぜ?」と考えます。 これをくり返すことで、表面に見えない原因に近づきます。
たとえば、「確認しなかった」だけで終わらせません。 「なぜ確認しなかったのか」「確認する時間はあったのか」「確認する決まりはあったのか」と考えます。
手順4:原因と原因がつながっているか見る
書いた内容が自然につながっているかを見ます。 途中で話が飛んでいると、正しい原因に近づきにくくなります。
「なぜ1」と「なぜ2」が本当につながっているか。 「なぜ2」と「なぜ3」が本当につながっているか。 1つずつ見直します。
手順5:同じ問題を防ぐためにやることを書く
最後に、同じ問題を防ぐためにやることを書きます。 これを対策と呼ぶことがあります。
「次から気をつける」だけでは、また同じことが起きるかもしれません。 「チェック表を作る」「知らせるメッセージの送り先を増やす」「2人で確認する」など、行動が分かる形にします。
なぜなぜ分析の例

ここでは、なぜなぜ分析の例を見ていきます。 ITに詳しくない人でも分かるように、身近な仕事のミスで考えます。
例1:確認不足でミスが起きた場合
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 問題 | 資料に古い金額を書いてしまった |
| なぜ1 | 新しい金額を確認しなかったから |
| なぜ2 | どの資料を見ればよいか分からなかったから |
| なぜ3 | 最新版の置き場所が決まっていなかったから |
| なぜ4 | 共有フォルダの運用ルール、つまり整理や管理の決まりが作られていなかったから |
| 防ぐためにやること | 最新版の置き場所を1つにし、資料を更新したときの知らせ方を決める |
この例では、「確認不足」で終わらせていません。 資料の置き場所や管理の決まりに目を向けています。
例2:メールの見落としで対応が遅れた場合
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 問題 | 大切なメールへの返信が遅れた |
| なぜ1 | メールに気づかなかったから |
| なぜ2 | ほかのメールに埋もれていたから |
| なぜ3 | 大切なメールを分ける設定をしていなかったから |
| なぜ4 | 返信が必要なメールを確認する時間が決まっていなかったから |
| 防ぐためにやること | 大切なメールに印を付け、午前と午後に確認する時間を作る |
例3:Webサイトの不具合への対応が遅れた場合
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 問題 | Webサイトがうまく動かないことに気づくのが遅れた |
| なぜ1 | 知らせるメッセージに気づかなかったから |
| なぜ2 | 知らせるメッセージを担当者だけが受け取っていたから |
| なぜ3 | 担当者が休みのときの確認方法、つまり代理で見る人が決まっていなかったから |
| なぜ4 | 特定の担当者だけに知らせる設定のまま、Webサイトが運用されていたから |
| 防ぐためにやること | 知らせるメッセージを、チーム全員が見られる連絡画面にも送る |
このように、ITの場面でもなぜなぜ分析は使えます。 人のがんばりだけに頼らず、チームで気づける形にすることが大切です。
なぜなぜ分析のフォーマット・テンプレート
なぜなぜ分析は、書き方の型を使うと整理しやすくなります。 この書き方の型を、フォーマットと呼ぶことがあります。
テンプレートとは、すぐ使えるひな形のことです。 はじめて行う人は、空白の紙に書くよりも、ひな形に沿って書くほうが進めやすいです。
基本のフォーマット
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 問題 | 起きたことを短く書く |
| なぜ1 | 直接の理由を書く |
| なぜ2 | さらに深い理由を書く |
| なぜ3 | 手順や確認の問題を見る |
| なぜ4 | ルールや仕組みの問題を見る |
| なぜ5 | 本当の原因に近い内容を書く |
| 防ぐためにやること | 同じ問題を防ぐ方法を書く |
| 担当 | だれが対応するかを書く |
| 期限 | いつまでに行うかを書く |
エクセルで作るときの項目
エクセルとは、表を作るためのソフトです。 エクセルで作る場合も、むずかしい形にする必要はありません。
「問題」「なぜ」「防ぐためにやること」「担当」「期限」があれば、まずは十分です。 項目を増やしすぎると、書くこと自体が目的になりやすいので注意しましょう。
テンプレートに入れる項目
テンプレートに入れるなら、次の項目が使いやすいです。
- 起きた問題
- いつ起きたか
- どこで起きたか
- なぜ1からなぜ5
- 分かった原因
- 同じ問題を防ぐためにやること
- 担当者
- 期限
この記事では、すぐに使える形として、表に書く項目を紹介しています。 まずは「問題」「なぜ」「防ぐためにやること」の3つから始めると、初心者でも整理しやすくなります。
エクセルで使う場合は、上の表と同じ項目を横に並べるだけでも十分です。 慣れてきたら、担当者や期限を加えると、実際の改善につなげやすくなります。
なぜなぜ分析のコツ
なぜなぜ分析は、やり方そのものは簡単です。 しかし、進め方をまちがえると、よい改善につながりません。
事実をもとに考える
まず、事実をもとに考えます。 事実とは、実際に起きたことや、記録で確認できることです。
「たぶん忙しかったから」では、想像が入っています。 「返信が必要なメールが30件あった」のように、見て分かる内容にすると考えやすくなります。
人ではなく仕組みに目を向ける
なぜなぜ分析では、人を責めるのではなく、仕組みに目を向けます。 仕組みとは、手順、ルール、確認方法、連絡方法などのことです。
「担当者が悪い」で終わると、次に同じ問題が起きるかもしれません。 「確認する手順がなかった」と考えると、改善につなげやすくなります。
思い込みで決めつけない
最初に思いついた原因が、正しいとは限りません。 できれば、関係する人に話を聞いたり、記録を見たりして確認します。
思い込みで進めると、本当の原因からずれることがあります。 「本当にそうか」を見直しながら進めることが大切です。
防ぐためにやることまで決める
なぜなぜ分析は、原因を書いて終わりではありません。 同じ問題を防ぐためにやることまで考えます。
「気をつける」よりも、「チェック表を作る」のほうが分かりやすいです。 だれが見ても行動できる形にしましょう。
5回にこだわりすぎない
なぜなぜ分析は「5回なぜを聞く」と説明されることがあります。 ただし、いつも5回ぴったりで終わるわけではありません。
3回で十分なこともあります。 逆に、5回でも足りないこともあります。
回数よりも、原因と防ぐためにやることがつながっているかを大切にしましょう。
なぜなぜ分析が意味ないと言われる理由
なぜなぜ分析は役に立つ方法です。 ただし、使い方をまちがえると「意味ない」と感じられることがあります。
犯人探しになってしまう
「なぜできなかったのか」と強く聞きすぎると、責められているように感じる人もいます。 その状態では、正しい原因を話しにくくなります。
大切なのは、「だれが悪いか」ではありません。 「なぜその問題が起きたか」です。
思い込みで原因を決めてしまう
はじめから原因を決めていると、分析ではなく確認作業になってしまいます。 たとえば、「どうせ確認不足だろう」と決めつけると、別の原因を見落とします。
形だけで終わってしまう
テンプレートを埋めるだけになると、なぜなぜ分析の意味が弱くなります。 表を作ることが目的ではありません。
本当の目的は、同じ問題を防ぐことです。 書いた内容が、実際の改善につながるかを見直しましょう。
防ぐためにやることがあいまいになる
「注意する」「意識する」「がんばる」だけでは、行動が分かりにくいです。 そのため、同じ問題がまた起きることがあります。
「毎朝9時に確認する」「2人で確認する」など、だれが見ても分かる形にしましょう。
なぜなぜ分析を個人攻撃にしないための注意点

なぜなぜ分析で一番気をつけたいのは、個人攻撃にしないことです。 個人攻撃とは、人の性格や能力を責めるような言い方をすることです。
「だれが悪いか」ではなく「なぜ起きたか」を見る
分析するときは、人ではなく出来事に目を向けます。 「だれがやったか」よりも、「どの手順で問題が起きたか」を見ます。
性格や気持ちを原因にしない
「集中力がない」「責任感がない」のような書き方は避けます。 それでは、改善できる方法につながりにくいからです。
代わりに、「確認する時間がなかった」「確認する相手が決まっていなかった」のように書きます。 すると、手順やルールを見直しやすくなります。
本人の努力だけにしない
「次から本人が気をつける」だけでは、改善として弱いことがあります。 人は忙しいと、また同じミスをすることがあります。
チェック表、知らせるメッセージ、2人で確認することなど、ミスに気づける仕組みを作ると安心です。
なぜなぜ分析とトヨタの関係
なぜなぜ分析は、トヨタの改善の考え方として知られています。 「なぜ」をくり返して、本当の原因に近づく考え方です。
ただし、今では製造業だけで使われるものではありません。 IT、事務、教育、医療、サービス業など、いろいろな場面で使われています。
トヨタ式を深く知らなくても使える
なぜなぜ分析を使うために、トヨタ式をすべて知る必要はありません。 まずは、問題を1つにしぼり、「なぜ」を順番に考えるだけでも始められます。
なぜなぜ分析に似た言葉との違い
なぜなぜ分析には、似た言葉があります。 ここでは、初心者が混乱しやすい言葉をかんたんに整理します。
なぜなぜ分析と5 Whysの違い
5 Whysは、なぜなぜ分析の英語表現です。 意味はほぼ同じです。
英語の記事や海外の資料では、「5 Whys」と書かれることがあります。
なぜなぜ分析と4M分析の違い
4M分析とは、人、機械、材料、方法という4つの面から原因を考える方法です。 製造や現場の改善で使われることがあります。
ITや事務の仕事に置きかえると、機械は「システムやパソコン」、材料は「データやマニュアル」と考えると分かりやすいです。 なぜなぜ分析は、「なぜ」をくり返して原因を深く見る方法です。
4M分析は、原因を考える切り口を分ける方法です。 なぜなぜ分析は、1つの原因を深くたどる方法です。
なぜなぜ分析と魚の骨図の違い
魚の骨図とは、問題の原因を図にして整理する方法です。 図の形が魚の骨のように見えるため、そう呼ばれます。
仕事では、特性要因図と呼ばれることもあります。 少しむずかしい言い方ですが、問題の原因を広く書き出すための図と考えると分かりやすいです。
なぜなぜ分析は、1つの原因を深くたどるときに向いています。 魚の骨図は、原因の候補を広く出したいときに向いています。
なぜなぜ分析で初心者が間違えやすい点
なぜなぜ分析は、はじめてでも使いやすい方法です。 ただし、いくつか間違えやすい点があります。
原因を1つだけに決めてしまう
問題の原因は、1つとは限りません。 手順、時間、連絡、道具、確認方法など、いくつかの原因が重なっていることがあります。
「注意する」で終わらせてしまう
「次から注意する」は、よくある対策です。 しかし、それだけでは行動がはっきりしません。
「作業後にチェック表へ記入する」のように、実際に行うことを書きましょう。
問題が大きすぎるまま始めてしまう
問題が大きすぎると、原因も防ぐためにやることもぼやけます。 「売上が悪い」よりも、「今月の問い合わせ返信が遅れた」のように小さくします。
事実ではなく想像で書いてしまう
想像だけで書くと、本当の原因からずれることがあります。 分からないことは、記録を見たり、人に確認したりしましょう。
なぜなぜ分析に関するよくある質問
なぜなぜ分析は必ず5回行う必要がありますか?
必ず5回行う必要はありません。 5回は、本当の原因に近づくための目安です。
3回で十分なこともあります。 大切なのは、原因と防ぐためにやることがつながっていることです。
なぜなぜ分析は英語で何といいますか?
なぜなぜ分析は、英語で「5 Whys」や「Five Whys」と呼ばれます。 「5回のなぜ」という意味です。
なぜなぜ分析はITでも使えますか?
はい、ITでも使えます。 Webサイトやアプリの不具合、メールの見落とし、設定ミス、連絡もれなどの原因を考えるときに役立ちます。
なぜなぜ分析は意味ないのですか?
使い方によっては、意味が弱くなることがあります。 たとえば、犯人探しになったり、テンプレートを埋めるだけになったりする場合です。
事実をもとに考え、同じ問題を防ぐためにやることまで決めれば、役に立つ方法になります。
なぜなぜ分析で個人攻撃にならないためには何が大切ですか?
人ではなく、仕組みに目を向けることです。 「だれが悪いか」ではなく、「なぜその問題が起きたか」を考えます。
手順、ルール、確認方法、連絡方法などを見直すと、個人攻撃になりにくくなります。
まとめ:なぜなぜ分析とは、同じ問題を防ぐために原因を深く考える方法
なぜなぜ分析とは、問題が起きたときに「なぜ」をくり返して、本当の原因を探す方法です。 表面の理由だけで終わらせず、同じ問題を防ぐために使います。
大切なのは、人を責めることではありません。 手順、ルール、確認方法、連絡方法などを見直し、問題が起きにくい仕組みを作ることです。
はじめて行う場合は、シンプルなテンプレートを使うと進めやすくなります。 「問題」「なぜ」「防ぐためにやること」を順番に書き、原因と行動がつながっているかを確認しましょう。
