エスカレーションとは、自分だけで対応できない問題を、上司やくわしい担当者に相談することです。
仕事やITの場面では、問題を一人で抱えこまないために使われます。この記事では、仕事やITで使う「エスカレーションとは何か」を、初心者向けにわかりやすく解説します。
ここだけ読めばOK
エスカレーションとは、自分だけで判断できない問題を、上司やくわしい担当者に相談することです。
たとえば、お店の店員さんが対応に迷ったとき、店長に相談するようなイメージです。
ほかのIT用語も知りたい方は、初心者向けのIT用語辞典もあわせてご覧ください。
エスカレーションとは

エスカレーションとは、問題や相談ごとを、上司やくわしい担当者に引き継ぐことです。
仕事では、担当者だけでは判断できないときに使われます。ITでは、パソコンやシステムの困りごとを、よりくわしい人へつなぐときに使われます。
かんたんに言うと「自分だけで抱えず、くわしい人に相談すること」
エスカレーションをかんたんに言うと、「自分だけで抱えず、必要な人に相談すること」です。
たとえば、学校でわからないことがあったとき、友だちに聞いても解決しなければ先生に聞きます。これに近い考え方です。
ITの仕事でも同じです。最初に対応した人が解決できないときは、くわしい人や管理する人に相談します。
エスカレーションの意味
エスカレーションには、「段階を上げる」という意味があります。
仕事では、対応する人や判断する人を、より上の段階へ上げることを指します。問題を大きくすることではなく、正しく解決へ近づけるための動きです。
エスカレーションを日本語で言うと
エスカレーションを日本語で言うと、次のような表現になります。
- 上司に相談する
- くわしい担当者へ引き継ぐ
- 責任者へ報告する
- 専門の人に確認する
日常の言葉にすると、かなりわかりやすくなります。つまり、エスカレーションとは「適切な人に助けを求めること」です。
言い換えると
むずかしく言うと、エスカレーションは「上司や専門の部署へ引き継ぐこと」です。
やさしく言うと、「自分だけで決めず、くわしい人に相談すること」です。
エスカレーションが必要な理由

エスカレーションは、問題を早く、正しく解決するために必要です。
自分だけで抱えこむと、対応が遅れたり、まわりが状況をつかめなかったりすることがあります。
問題を早く解決しやすくなる
早めにエスカレーションすると、くわしい人が早く状況を確認できます。
たとえば、システムの不具合を早く担当者へ伝えれば、原因を調べる時間を早く取れます。結果として、利用している人への影響を小さくしやすくなります。
お客さまや会社への影響を小さくしやすい
問い合わせやトラブルをそのままにすると、対応が遅れてしまうことがあります。
その結果、お客さまが困る時間が長くなったり、会社の損失が大きくなったりする場合があります。早く相談することは、お客さまや会社を守ることにもつながります。
担当者の負担を減らせる
エスカレーションは、担当者を守るためにも大切です。
新人や経験が浅い人が、すべてを一人で判断する必要はありません。迷ったときに相談できる流れがあると、落ち着いて対応しやすくなります。
一言でいうと
早く相談することは、自分を守るためでもあり、お客さまや会社を守るためでもあります。
エスカレーションが使われる場面
エスカレーションは、仕事やITのいろいろな場面で使われます。
共通しているのは、「今の担当者だけでは判断や対応が難しい」という点です。
仕事で判断に迷ったとき
仕事では、自分だけで決めてよいか迷う場面があります。
たとえば、金額が大きい見積もり、取引先からの特別なお願い、いつもの決まりにない対応などです。このようなときは、上司にエスカレーションします。
早めに相談することで、判断のずれを防ぎやすくなります。
お客さまからの問い合わせが難しいとき
お客さまからの問い合わせで、すぐに答えられないことがあります。
たとえば、契約内容の細かい確認、返金の判断、強いお申し出などです。この場合は、担当者だけで決めず、責任者やくわしい部署にエスカレーションします。
エスカレーションは、お客さまへの対応を止めないためにも大切です。
パソコンやシステムのトラブルが起きたとき
ITでは、パソコン、アプリ、社内システムなどでトラブルが起きることがあります。
たとえば、ログインできない、画面が動かない、データが見られないといった場面です。最初に受けた担当者で直せないときは、システムにくわしい担当者へエスカレーションします。
ITのエスカレーションは、問題を早く見つけて、正しく直すための流れです。
ITでのエスカレーションとは

ITでのエスカレーションとは、問い合わせやトラブルを、よりくわしい担当者へ引き継ぐことです。
ITとは、パソコン、スマホ、インターネット、システムなどの技術のことです。ITに詳しくない人が最初に問い合わせを受けることもあるため、解決できないときは、くわしい人へつなぎます。
最初の担当者から、くわしい担当者へ引き継ぐこと
ITの問い合わせでは、最初に電話やメールを受ける担当者がいます。
この最初の対応を、仕事では「一次対応」と呼ぶことがあります。むずかしく考えず、「最初の受付」と考えるとわかりやすいです。
最初の担当者で解決できない問題は、くわしい担当者に引き継がれます。この引き継ぎが、ITでよく使われるエスカレーションです。
ITでは段階を上げながら対応することがある
ITの現場では、エスカレーションの流れが階段のように決まっていることがあります。
最初の担当者で解決できない場合は、次の段階の担当者へ引き継ぎます。さらに難しい問題であれば、開発した会社やメーカーに相談することもあります。
- 一次対応:最初の受付。よくある質問や、かんたんな操作方法を案内する。
- 二次対応:一次対応で解決しない問題を受ける、くわしい担当者やチーム。
- 三次対応:さらに難しい問題を確認する、開発元やメーカーなど。
このように段階を上げて対応する仕組みがあると、最初の担当者がすべてを知っていなくても、問題を解決へ進めやすくなります。
社内の困りごとを受ける窓口から引き継ぐこと
会社には、パソコンやシステムの困りごとを受ける窓口があります。
この窓口を「ヘルプデスク」と呼ぶことがあります。ヘルプデスクとは、社内の困りごとを受け付ける場所や担当者のことです。
ヘルプデスクで解決できない内容は、システムを管理する人や、くわしい担当者へエスカレーションします。
システムの不具合を担当者へ知らせること
システムが止まったり、エラーが出たりしたときも、エスカレーションが行われます。
システムとは、決まった作業を行うための仕組みやサービスのことです。たとえば、予約システム、会員サイト、社内の勤怠システムなどがあります。
エラーとは、処理がうまくいかないときに出る知らせのことです。現場で見つけた問題を、システム担当者へ伝えることで、原因を調べやすくなります。
セキュリティ上の問題を管理する人へ報告すること
セキュリティ上の問題でも、エスカレーションは大切です。
セキュリティとは、情報やシステムを守ることです。あやしいメール、知らないログイン通知、見覚えのないファイルなどに気づいたら、管理する人へ報告します。
早く伝えることで、落ち着いて確認しやすくなります。
ITの基本用語もあわせて知りたい人は、IT用語まとめも参考にしてください。
エスカレーション対応とは
エスカレーション対応とは、問題の内容を整理して、必要な人へ伝える対応のことです。
ただ「困っています」と伝えるだけでは、相手が判断しにくい場合があります。何が起きているのかを、短くまとめることが大切です。
状況を整理して、必要な人へ伝える対応
エスカレーションするときは、まず状況を整理します。
いつ起きたのか、誰に影響があるのか、今どこまで確認したのかをまとめます。これだけで、受け取る側は対応しやすくなります。
エスカレーションするときに伝える内容
エスカレーションでは、次の内容を伝えるとわかりやすいです。
- 何が起きているか
- いつから起きているか
- 誰が困っているか
- すでに試したこと
- 判断してほしいこと
大切なのは、事実とお願いを分けて伝えることです。
たとえば、「画面が開きません」は事実です。「次に何をすればよいか確認したいです」はお願いです。
エスカレーションメールの簡単な例文

上司やくわしい担当者へメールでエスカレーションするときは、状況と「相手にどうしてほしいか」をはっきり書きます。
指示がほしいのか、対応を引き継いでほしいのかが分かると、相手も動きやすくなります。
件名:【ご相談】社内システムへのログイン不可について
〇〇部長
お疲れさまです。営業部の田中です。
社内システムのログイン不具合について、自分では判断がつかないため、エスカレーションさせてください。
■ 起きている状況
本日10時ごろから、営業部のメンバー3名が社内システムにログインできない状態です。
■ すでに確認したこと
・パスワードの再入力を試しましたが、エラーになります。
・パソコンの再起動を行いましたが、解決していません。
・別のブラウザーでも試しましたが、同じ状態です。
お手数をおかけしますが、次の確認手順についてご指示をいただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
専門チームに送る場合は、宛名を「システム管理課 〇〇さん」などに変えると使いやすいです。
エスカレーションフローとは、相談する流れのこと
エスカレーションフローとは、誰に、いつ、何を伝えるかを決めた流れのことです。
フローとは「流れ」という意味です。エスカレーションフローを決めておくと、問題が起きたときに迷いにくくなります。
誰に、いつ、何を伝えるかを決めた流れ
エスカレーションフローでは、主に次のことを決めます。
- 最初に対応する人
- 解決できないときに相談する人
- どの時点で相談するか
- どんな情報を伝えるか
たとえば、「30分たっても解決しない場合は、システム担当者に連絡する」と決めておく形です。
エスカレーションルールとは、相談するための決まりのこと
エスカレーションルールとは、エスカレーションする条件を決めたものです。
かんたんに言うと、「どんなときに、誰へ相談するか」という決まりです。
ルールがないと、人によって判断が変わりやすくなります。早すぎる相談や、反対に遅すぎる相談が起きることもあります。
ルールを決めることで、だれでも同じように動きやすくなります。
相談する相手を決めておくメリット
エスカレーション先とは、相談や報告をする相手のことです。
やさしく言うと、「次に相談する人」です。相談する相手が決まっていると、問題が起きたときに「誰に聞けばよいか」で迷いません。
担当者にとっても、一人で抱えこまなくてよいという安心感につながります。
エスカレーションの具体例
ここでは、エスカレーションの具体例を見ていきます。
身近な場面で考えると、意味がつかみやすくなります。
コールセンターでの例
コールセンターとは、電話やメールなどでお客さまからの問い合わせを受ける場所です。
コールセンターでは、最初に電話を受けた人が案内します。しかし、返金や契約変更など、担当者だけでは判断できない内容もあります。
その場合は、上司やくわしい部署へエスカレーションします。これは、より正確な対応をするための流れです。
社内システムでの例
社内システムにログインできない社員がいたとします。
困りごとを受ける窓口が基本的な確認をしても直らない場合、システム担当者にエスカレーションします。システム担当者は、設定やサーバーの状態を確認します。
サーバーとは、データやサービスを提供するコンピューターのことです。たとえば、会員情報やメールのデータを置いておく大きな保管場所のようなものです。
プロジェクトでの例
プロジェクトとは、決まった目的に向けて進める仕事のまとまりです。
たとえば、予定より作業が遅れているとします。担当者だけで調整できない場合は、リーダーにエスカレーションします。
リーダーは、人を増やす、予定を見直す、関係者に相談するなどの判断をします。
エスカレーションとエスカレートの違い
エスカレーションと似た言葉に、エスカレートがあります。
どちらも似ていますが、使い方は少し違います。
エスカレーションは「上司やくわしい人に相談する行動」
エスカレーションは、問題や相談を上司やくわしい人に上げる行動です。
仕事やITでは、対応を正しく進めるために使います。よい意味でも悪い意味でもなく、必要な手順として使われることが多いです。
エスカレートは「物事が大きくなること」
エスカレートは、物事がだんだん大きくなることです。
たとえば、「話し合いがエスカレートする」と言うと、話が強くなったり、対立が大きくなったりする意味になります。
ITや仕事で「エスカレーションする」と言う場合は、基本的に「上司やくわしい担当者へ上げる」という意味で使います。
エスカレーションの言い換え
エスカレーションは、カタカナ語なのでわかりにくいと感じる人もいます。
相手に合わせて、やさしい言葉に言い換えると伝わりやすくなります。
上司に相談する
もっともわかりやすい言い換えは、「上司に相談する」です。
たとえば、「この件は上司にエスカレーションします」は、「この件は上司に相談します」と言い換えられます。
くわしい担当者へ引き継ぐ
ITや問い合わせ対応では、「くわしい担当者へ引き継ぐ」もよく合います。
たとえば、「システム担当者へエスカレーションします」は、「システムにくわしい担当者へ引き継ぎます」と言うとわかりやすくなります。
責任者へ報告する
少しきちんとした言い方にするなら、「責任者へ報告する」も使えます。
責任者とは、その件について判断する立場の人のことです。
初心者が間違えやすい点
エスカレーションは、意味を知っていても使い方で迷いやすい言葉です。
ここでは、初心者が間違えやすい点を整理します。
丸投げとは違う
エスカレーションは、仕事を丸投げすることではありません。
自分でわかる範囲を確認したうえで、必要な人に相談することです。何も調べずに渡すだけでは、相手も困ってしまいます。
「ここまで確認しました」と伝えることが大切です。
失敗したときだけに使う言葉ではない
エスカレーションは、失敗したときだけに使う言葉ではありません。
判断に迷ったときや、自分だけでは決められないときにも使います。問題を早く、正しく解決するための行動です。
早く伝えるほど対応しやすい
問題は、時間がたつほど状況がわかりにくくなることがあります。
そのため、判断に迷ったら早めに相談する方がよい場合があります。エスカレーションは、助けを求めるための前向きな行動です。
エスカレーションに関するよくある質問
エスカレーションは悪い意味ですか?
エスカレーションは、悪い意味の言葉ではありません。
問題を正しく解決するために、必要な人へ相談することです。仕事では、大切な対応の一つです。
エスカレーションは誰にすればよいですか?
基本的には、上司、責任者、くわしい担当者、システムを管理する人などに行います。
誰にエスカレーションするかは、会社やチームの決まりによって変わります。迷う場合は、まずふだん相談する上司に確認するとよいでしょう。
エスカレーションメールには何を書けばよいですか?
エスカレーションメールには、何が起きているか、いつから起きているか、誰に影響があるかを書きます。
あわせて、すでに試したことと、判断してほしいことも書くと伝わりやすくなります。
エスカレーションの反対語はありますか?
決まった反対語はありません。
文脈によっては、「自分で解決する」「担当内で対応する」などが近い表現になります。ただし、反対語を無理に使うより、文章で説明した方がわかりやすいです。
エスカレーションと報告は同じですか?
エスカレーションと報告は、少し違います。
報告は、起きたことを伝えることです。エスカレーションは、報告に加えて、判断や対応をお願いする意味があります。
まとめ|エスカレーションとは、問題を正しく引き継ぐこと
エスカレーションとは、自分だけで対応できない問題を、上司やくわしい担当者へ上げることです。
仕事では、判断に迷ったときや、お客さま対応が難しいときに使います。ITでは、問い合わせやシステムのトラブルを、くわしい担当者へ引き継ぐときに使います。
エスカレーションは、責任を逃れることではありません。問題を早く、正しく解決するための大切な流れです。
早く相談することは、自分を守るためでもあり、お客さまや会社を守るためでもあります。
