損益分岐点とは、売上と費用が同じになり、利益が0円になる売上高のことです。
かんたんに言うと、赤字と黒字の分かれ目です。お店や会社が「いくら売れば赤字にならないか」を考えるときに使います。
この記事では、損益分岐点の意味、計算方法、計算式、グラフの見方を初心者向けにわかりやすく解説します。ITパスポート試験で押さえたいポイントも紹介します。
ここだけ読めばOK
損益分岐点とは、売上と費用が同じになり、利益が0円になる売上高のことです。
損益分岐点を超えると黒字になり、下回ると赤字になります。
ほかのIT用語も知りたい方は、初心者向けのIT用語辞典もあわせてご覧ください。
損益分岐点とは
かんたんに言うと「赤字と黒字の分かれ目」
損益分岐点とは、売上と費用がちょうど同じになる点です。
売上が損益分岐点より少ないと赤字です。売上が損益分岐点を超えると黒字になります。
たとえば、1か月に30万円の費用がかかるお店があるとします。そのお店が30万円を売り上げると、利益は0円です。
この「利益が0円になる売上」が、損益分岐点です。
「損益」と「分岐点」の意味
「損益」とは、損と利益のことです。ここでは、赤字になるか黒字になるかという意味で使います。
「分岐点」とは、分かれ目のことです。つまり、損益分岐点は、赤字と黒字の分かれ目という意味です。
言葉を分けて考えると、むずかしく見える名前でも理解しやすくなります。
損益分岐点が分かると何が見えるのか
損益分岐点が分かると、赤字を避けるために必要な売上が見えます。
たとえば、損益分岐点が50万円なら、50万円が赤字と黒字の分かれ目です。50万円を超えた分が利益になります。
会社やお店では、商品をいくつ売ればよいか、どれくらいの売上を目標にすればよいかを考えるときに使います。
損益分岐点の身近な例
文化祭の出店で考える損益分岐点
損益分岐点は、文化祭の出店で考えると分かりやすいです。
たとえば、クレープ屋を出すとします。クレープを売るには、材料や包み紙などのお金がかかります。
また、看板や調理道具など、出店するだけでかかるお金もあります。
売上がこれらの費用と同じになったところが、損益分岐点です。
売上が増えてもすぐ利益になるとは限らない
売上があるだけでは、必ず利益が出るとは限りません。
売上から、材料費や家賃などの費用を引く必要があるからです。売上より費用が多ければ、赤字になります。
損益分岐点は、「ここまで売れれば赤字ではない」と見るための目安です。
文化祭の例から戻すと、損益分岐点は、会社やお店の売上と費用の関係を見るための考え方です。
損益分岐点を理解するためのミニ用語集
損益分岐点の計算では、いくつかのお金に関する言葉が出てきます。
先に意味を押さえておくと、計算式が分かりやすくなります。
| 言葉 | かんたんな意味 |
|---|---|
| 売上高 | 商品やサービスを売って得た金額 |
| 費用 | 商品を作る、売る、店を続けるためにかかるお金 |
| 利益 | 売上から費用を引いて残るお金 |
| 固定費 | 売れても売れなくてもかかるお金 |
| 変動費 | 売れる数に合わせて増えるお金 |
| 限界利益 | 売上から変動費を引いて残るお金 |
損益分岐点で使う3つの言葉
損益分岐点を理解するには、固定費、変動費、限界利益の3つを押さえると分かりやすいです。
どれも、売上と費用の関係を見るための言葉です。
固定費とは
固定費とは、売上の多い少ないに関係なく、一定してかかる費用のことです。
たとえば、お店の家賃、社員の給料、月額サービス代などです。
商品が1個も売れなくても、固定費はかかります。そのため、固定費が大きいほど、損益分岐点は高くなります。
変動費とは
変動費とは、売上や販売数に合わせて増えたり減ったりする費用のことです。
たとえば、商品の材料費、仕入れ代、発送費などです。
商品を多く売れば、その分だけ変動費も増えます。商品を売らなければ、変動費は少なくなります。
限界利益とは
限界利益は、少しむずかしく見える言葉です。
ただし、意味はシンプルです。売上から、商品を売るたびにかかる費用を引いて残るお金のことです。
計算式で書くと、次のようになります。
限界利益の考え方
限界利益 = 売上高 − 変動費
たとえば、1個500円の商品を売り、その商品を作るのに200円かかったとします。この場合、限界利益は300円です。
この300円が積み上がって、固定費を超えると利益が出ます。
損益分岐点の計算式
損益分岐点を出すときは、まず「損益分岐点売上高」を求めます。
損益分岐点売上高とは、利益が0円になる売上高のことです。
損益分岐点売上高の計算式
損益分岐点売上高の計算式は、次の通りです。
計算式
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
限界利益率とは、売上高のうち「限界利益」、つまり変動費を引いたあとに残るお金がどれくらいあるかを表す割合です。
最終的な利益ではなく、ここでは「売上のうち、固定費を回収するために使えるお金の割合」と考えると分かりやすいです。
限界利益率の計算式
限界利益率の計算式は、次の通りです。
計算式
限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高
たとえば、売上高が100万円で、変動費が40万円なら、限界利益は60万円です。
この場合、限界利益率は60万円÷100万円で、60%です。
計算式を覚えやすくする考え方
損益分岐点の計算式は、丸暗記だけだと忘れやすいです。
考え方としては、固定費を限界利益で回収するイメージです。
固定費が大きいほど、必要な売上は増えます。限界利益率が高いほど、必要な売上は少なくなります。
損益分岐点の計算方法を例で解説
ここからは、具体的な数字を使って計算します。
一つずつ順番に見れば、むずかしくありません。
例題の条件
次の条件で考えます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 100万円 |
| 変動費 | 40万円 |
| 固定費 | 30万円 |
この例では、まず限界利益を出します。
まず限界利益を出す
限界利益は、売上高から変動費を引いて出します。
100万円 − 40万円 = 60万円
限界利益は60万円です。
次に限界利益率を出す
限界利益率は、限界利益を売上高で割って出します。
60万円 ÷ 100万円 = 0.6
0.6は60%です。つまり、限界利益率は60%です。
最後に損益分岐点売上高を出す
損益分岐点売上高は、固定費を限界利益率で割って出します。
30万円 ÷ 0.6 = 50万円
この場合、損益分岐点売上高は50万円です。
つまり、売上が50万円ぴったりなら利益は0円です。50万円を1円でも超えれば黒字になります。
逆に、50万円より少ないと赤字になります。
損益分岐点売上高とは
利益が0円になる売上高のこと
損益分岐点売上高とは、利益が0円になる売上高のことです。
「損益分岐点」と同じ意味で使われることもあります。ただし、計算では「売上高」として金額で表すことが多いです。
たとえば、損益分岐点売上高が50万円なら、50万円売ると利益は0円です。50万円を超えた分が利益になります。
損益分岐点売上高が低いほどよい理由
損益分岐点売上高は、低いほど赤字になりにくいです。
少ない売上でも費用をまかなえるからです。
反対に、損益分岐点売上高が高いと、多く売らないと赤字になります。
そのため、会社やお店では、固定費を見直したり、仕入れ代を下げたりして、損益分岐点を下げようとします。
損益分岐点比率とは
今の売上に対して損益分岐点がどれくらい近いかを見る数字
損益分岐点比率とは、今の売上に対して、損益分岐点がどれくらい近いかを見る数字です。
低いほど、売上に余裕があると考えられます。
たとえば、実際の売上高が100万円で、損益分岐点売上高が50万円なら、損益分岐点比率は50%です。
損益分岐点比率の計算式
損益分岐点比率の計算式は、次の通りです。
計算式
損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高 × 100
損益分岐点比率は、会社やお店の売上にどれくらい余裕があるかを見るときに使います。
初心者は、まず「低いほど余裕がある」と覚えておくとよいです。
安全余裕率との違い
安全余裕率とは、売上がどれくらい下がっても赤字になりにくいかを見る数字です。
損益分岐点比率と反対の見方をします。
| 言葉 | 意味 | 見方 |
|---|---|---|
| 損益分岐点比率 | 売上に対して損益分岐点がどれくらいか | 低いほど余裕がある |
| 安全余裕率 | 売上がどれくらい下がっても赤字になりにくいか | 高いほど余裕がある |
損益分岐点グラフの見方
売上線と費用線が交わる場所を見る
損益分岐点は、グラフで見ると分かりやすいです。
グラフでは、売上を表す線と、費用を表す線を見ます。この2つの線が交わる場所が、損益分岐点です。
交わる場所では、売上と費用が同じです。つまり、利益は0円です。
グラフで赤字と黒字の境目を確認する
損益分岐点より左側は、売上が少ない状態です。費用の方が大きくなり、赤字になります。
損益分岐点より右側は、売上が多い状態です。売上が費用を上回り、黒字になります。
グラフを見ると、「どこから利益が出るのか」がひと目で分かります。
損益分岐点を下げる方法
損益分岐点は、できるだけ低い方が赤字になりにくいです。
ここでは、損益分岐点を下げる主な方法を3つ紹介します。
固定費を下げる
1つ目は、固定費を下げることです。
家賃、月額サービス代、使っていない契約などを見直すと、固定費を下げられる場合があります。
固定費が下がると、少ない売上でも費用をまかないやすくなります。
変動費を下げる
2つ目は、変動費を下げることです。
材料費や仕入れ代を見直すと、商品1つあたりに残るお金が増えます。
ただし、安さだけを優先すると品質に影響する場合があります。無理のない見直しが大切です。
売上単価を上げる
3つ目は、売上単価を上げることです。
売上単価とは、商品やサービス1つあたりの販売価格のことです。
1つ売れたときに残るお金が増えると、固定費を回収しやすくなります。その結果、損益分岐点を下げやすくなります。
損益分岐点と似た言葉の違い
利益との違い
利益とは、売上から費用を引いたあとに残るお金です。
損益分岐点は、利益が0円になる売上高です。
つまり、利益は「残ったお金」、損益分岐点は「利益が出るかどうかの境目」です。
売上高との違い
売上高とは、商品やサービスを売って得た金額のことです。
ただし、売上高が大きくても、費用が多ければ利益は少なくなります。
損益分岐点売上高は、利益が0円になる売上高です。ふつうの売上高とは意味が少し違います。
限界利益との違い
限界利益とは、売上高から変動費を引いた金額です。
損益分岐点は、その限界利益で固定費をまかなえる売上高のことです。
限界利益は「固定費を回収するために使えるお金」、損益分岐点は「赤字と黒字の分かれ目」と考えると分かりやすいです。
初心者が間違えやすい点
売上があるだけで利益が出ると思ってしまう
売上があると、利益も出ているように見えることがあります。
しかし、売上から費用を引くと、利益が残らない場合があります。
損益分岐点は、売上だけでなく、費用も合わせて見るための考え方です。
固定費と変動費を混同してしまう
固定費と変動費を混同すると、計算を間違えやすくなります。
固定費は、売上に関係なくかかる費用です。変動費は、売上や販売数に合わせて増えたり減ったりする費用です。
この2つを分けて考えることが、損益分岐点を理解する第一歩です。
損益分岐点を「利益が最大になる点」と思ってしまう
損益分岐点は、利益が最大になる点ではありません。
利益が0円になる点です。
ここを超えると黒字になりますが、どれだけ利益が出るかは、売上や費用によって変わります。
ITパスポート試験での損益分岐点のポイント
ITパスポート試験では、損益分岐点はストラテジ系の内容として出てきます。
ストラテジ系とは、会社の経営や事業の考え方に関する分野です。
固定費・変動費・売上高の関係を押さえる
試験では、固定費、変動費、売上高の関係を問われることがあります。
特に、固定費が増えると損益分岐点がどう変わるかを押さえておくとよいです。
固定費が増えると、損益分岐点は高くなります。つまり、より多く売らないと赤字になります。
過去問では計算問題が出やすい
ITパスポート試験では、具体的な数字が与えられて「損益分岐点売上高はいくらか」を計算させる問題がよく出ます。
公式だけを覚えるより、数字の流れを理解しておくと問題文を読み取りやすくなります。
計算式だけでなく意味も理解する
計算式を覚えるだけでは、問題文を読み間違えることがあります。
損益分岐点は、赤字と黒字の分かれ目です。この意味を先に理解しておくと、式も覚えやすくなります。
試験では、どの数字が固定費で、どの数字が変動費かを見分けることが大切です。
グラフ問題にも対応できるようにする
損益分岐点は、グラフで問われることもあります。
売上線と費用線が交わる場所が、損益分岐点です。
左側は赤字、右側は黒字と考えると、グラフの意味をつかみやすくなります。
損益分岐点に関するよくある質問
損益分岐点とは何ですか?
損益分岐点とは、売上と費用が同じになり、利益が0円になる売上高のことです。
赤字と黒字の分かれ目と考えると分かりやすいです。
損益分岐点の計算方法は?
損益分岐点売上高は、固定費を限界利益率で割って求めます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率です。
損益分岐点売上高とは何ですか?
損益分岐点売上高とは、利益が0円になる売上高のことです。
この売上高を超えると、黒字になります。
損益分岐点比率とは何ですか?
損益分岐点比率とは、今の売上に対して、損益分岐点がどれくらい近いかを見る数字です。
低いほど、売上に余裕があると考えられます。
損益分岐点は英語で何と言いますか?
損益分岐点は英語で、break-even pointといいます。
略してBEPと書かれることもあります。
まとめ:損益分岐点とは赤字と黒字の分かれ目
損益分岐点とは、売上と費用が同じになり、利益が0円になる売上高のことです。
かんたんに言うと、赤字と黒字の分かれ目です。
- 損益分岐点を超えると黒字になる
- 損益分岐点を下回ると赤字になる
- 固定費は、売れても売れなくてもかかるお金
- 変動費は、売れる数に合わせて増えるお金
- 限界利益は、売上から変動費を引いて残るお金
- 限界利益率は、売上高のうち限界利益がどれくらいあるかを表す割合
- 損益分岐点グラフでは、売上線と費用線が交わる場所を見る
損益分岐点は、会社やお店が「どれくらい売れば赤字にならないか」を考えるための大切な考え方です。
ITパスポート試験でも出てくる内容なので、計算式だけでなく、意味も合わせて理解しておきましょう。
